業務システム導入のメリットとは? ~種類と必要性、選び方を解説~
目まぐるしいテクノロジー推進や、移り変わりの激しい情勢の波を受け、業務システムの見直しや、導入に取り組む企業が増えています。
その中には、競合他社がこぞって改革に取り組むがゆえ、流れに乗り遅れまいと、導入検討が急務となっている企業もいるのではないでしょうか。
そこで当コラムでは、導入検討の材料となるべく、業務システムの基礎知識や導入メリット、選び方について解説します。
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業務システムとは?
業務システムとは、平たくいえば、特定の業務を、デジタル上で操作・管理できるシステムです。
市場には、あらゆる業態や業務内容に対応した業務システムがありますが、ここでは、業務システムに広く見られる共通項としてご紹介します。
【最初に】業務システム導入時は、目的を明確化することが重要
業務システムを導入する際に、システム導入によって何を成し遂げたいかという「目的」を明確化することが重要です。
システムはミスやロス、コストの削減などさまざまなことが可能ですが、予算や納期などの関係もあり、できることには制限があります。
そこで目的を定めた上で、それをどういった範囲で実現したいかを決定すると良いでしょう。
導入後、社内の誰がどのように使うかもはっきりさせる必要があります。
システムの内容自体を突き詰めることも大事ですが、それを自社に導入した後、どのように自分達でそれを運用していくかが鍵になるからです。
業務システム活用のメリット
業務システムを活用することによる具体的なメリットを紹介します。
・業務効率&生産性の向上
システム導入のメリットとして第一に挙げられるのは業務の効率化です。
業務システムの特徴としてよく挙げられることとして、「情報の一元化」があります。
企業の業務の中でもいかに情報の共有を正確かつスピーディーに行うかは非常に重要なことは疑いようがないでしょう。
しかし、組織の構造上そういった情報の共有が難しい場面は多々あります。
例えば営業担当者が顧客から商品の納期について尋ねられたとして、即座に対応するためには在庫の有無や製造の進捗状況が正確かつすぐに把握できる必要があります。
従来であればこういった情報の共有は部署同士での電話やメールによって行われていました。
しかしこれでは連絡を取る手間がかかってしまいます。
そこでシステムを導入すれば、部署に関わりなく社内の誰でも自社の「モノ」と「カネ」の流れをリアルタイムで把握することができます。
このようにシステム導入によってそれまで多くの時間を割いていた情報の共有が非常に簡単になり、業務の効率化を図れるのです。
・ミス&ロスの削減
企業にとってミスは企業の信用にも関わる重要事項です。
例えば、飲食業や医療業界では小さなミスが人の人命や健康に関わる場合もあり、この点をいかに削減できるかは、経営上非常にプライオリティーが高いと言えます。
従来の業務管理の現場においては属人的かつ原始的な方法が採られる場面も多くありました。
例えば、ある会社では顧客からの受注を営業担当が手書きで伝票に記入し、それを自社に持ち帰って、事務員が改めてそれをパソコンに記入していました。
これでは同じ情報を別の人物が2回に記入しており非効率的です。
また伝言ゲームのように、転記の回数が増えればそれだけミスが起こる可能性が増えます。
そもそも膨大な量の情報を事務員が手作業で入力すればヒューマンエラーは避けられません。
そこで業務システムがあれば、情報のインポート・エクスポートの回数を減らすことができるため、結果的にミスや時間のロスを減らすことが可能になるのです。
・コストの削減
すでにメリットとして挙げたように、業務システムの導入は業務の効率化を可能にします。
それまで何日もかかっていたような集計業務がいらなくなったり、二度手間だった請求内容の入力が一度で済むようになったりします。
このように業務の効率化がなされれば、その分少ない社員で情報管理ができるので、これは結果的に人件費の削減につながります。
また従来紙ベースで行われていた情報の管理、共有が業務システムを導入しクラウド上などでできるようになる結果、ペーパーレス化によって経費の削減も行えます。
また後述するデータ分析が行えれば需要の予測なども可能になります。
それによって無駄に在庫を抱え込む、余剰在庫や滞留在庫の問題を未然に防ぐことが可能になり、コストの削減を達成できます。
このように業務システムの導入はさまざまな形で会社のランニングコストを抑えられるというメリットがあると言えます。
・現状分析に活用
業務システムのメリットは業務の効率化や経費削減にとどまりません。
業務システムによって社内のさまざまな情報の集積ができるわけですから、当然その膨大な情報をもとにさまざまな分析が行えます。
つまりシステムの導入は単なる業務の効率化を超えて、経営判断のリソースにもなり得るのです。
例えば飲食店において業務システムを利用し、過去の販売実績のデータ、季節や天気、市場の状況なども加味して必要な在庫数の予測を行ったとします。
その日の予測に応じて商品を仕入れることができるため、適正在庫を維持しやすくなります。
飲食業界においては食材の期限もあり、いかに無駄のない在庫を維持し続けるかが重要になります。
予測できることにより、食品のロスも防げますが、仕入れの金額も抑えられるという意味で非常に有用性が高いと言えます。
実際に某大手回転寿司チェーンでもこのような需要予測が行われるようになるなど、今後は情報の管理に加えてこういった「情報の活用」の重要性も上がっていくでしょう。
業務システム活用のデメリット(留意点)
もちろん、メリットだけではない点に注意が必要です。
以下の点に気を付けて業務システムを導入しないと、成功しづらい可能性があります。
・現状課題の洗い出しが必要
ステムに搭載されている機能は限定的のため、導入によって困りごとを即解決できるとは限りません。
企業ごとに改善したい課題はさまざまなはずですので、どのシステムを導入すればよいか、現状の課題を洗い出すひと手間は必要不可欠です。
・一時的にシステム停止のリスクがある
とくにシステムをカスタマイズ開発(後述)、リリース直後に起こりやすい事象です。
システムバグが発生、最悪システムが停止した場合、原因特定~修正までシステムを利用することができずロスタイムとなります。
また、バグが発生しないよう定期的にシステムメンテナンスも行う必要があるため、その間もシステムを触ることはできません。
基幹システムとの違い どちらも、大枠は「各事業や業務を円滑に進めるためのシステム」ですが、システム停止時に与える事業・業務への影響度で、違いが分かれます。
停止時、即座に経営が困難となるほど重要度が高ければ「基幹システム」として扱われるのが一般的ですが、判別の粒度・基準は、企業ごとによって左右されます。
・Tips:混同されやすい「ERP」
システムのジャンルとして認識されがちな「ERP」。
ですが、本来の意味は「企業資源計画」であり、社内資産(ヒト・モノ・カネ・資産)を適切に管理し、経営価値を高めるための「考え方」を指す言葉でした。
基幹システムが主に「情報管理・効率化」を図るためのシステムであるのに対し、「ERP」はリソース把握、戦略立案などの経営判断に活用され、経営基盤を強化するための役割を担っています。
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代表的な業務システムの種類
業務システムは、業態や機能に応じて種類が分かれています。
ここでは、あらゆる業態で使われる、汎用性の高いシステムの種類をご紹介します。
在庫管理システム
在庫商品の「個数」や「種類」、「発注タイミング」など、在庫管理に必要な情報を可視化できるシステムです。
導入により、欠品や発注ミスが減り、作業のムダとコスト削減に役立ちます。
・在庫管理システム導入後の改善例
在庫管理において重要なのは「何が、どこに、どれだけ」あるのかが正確にわかることです。
例えば倉庫での在庫管理ではピッキング業務が重要になりますが、システム導入をしなければ、商品の位置は人の記憶頼りになってしまうことさえあります。
そこである企業では在庫管理システムを導入したことにより、どんな人でも「何が、どこに、どれだけ」あるのかを瞬時に把握できるようになり、結果ピッキングの業務も以前の二倍程度の速度にまで上がったという事例があります。
※以下も併せてご覧ください(i-common tech関連コラム) 最適な在庫管理システムを導入するためには
生産管理システム
「生産計画」「品質」「調達」など、あらゆる生産工程を可視化できるシステムです。
導入により各工程の分析が可能となり、利益率や生産計画などの検討材料となるため、QCD(品質・コスト・納期)向上に貢献します。
・在庫管理システム導入後の改善例
ある企業ではそれまで現場の生産状況を手書きの日報によって管理していました。
しかもそこに記載された情報については特に集計などされておらず、分析等の業務も行われていませんでした。
そこでそれまで手書きで管理していた不良品などの数をシステム導入によってデータ化して管理するように変えました。
その結果不良品の傾向などが「見える化」するようになり、それを社員全体で共有することで品質向上が達成されるようになったのです。
※以下も併せてご覧ください(i-common tech関連コラム) 【生産管理システム】開発の課題と検討すべきポイント、失敗しないための人材選び
文書管理システム
文書を電子化し、一元管理できるシステムです。
文書の更新や、検索・共有を簡易化でき、生産性向上につながる他、文書の保管スペースが不要となる点も大きなメリットです。
・生産管理システム導入後の改善例
る企業ではそれまで契約書の原本を紙ベースで保管して、他部署から契約書について問い合わせがあるたびに、膨大にある保管庫からいちいち契約書を探し出して送付していました。
そこで文書管理システムを導入したところ、それまで記憶などを頼りに行なっていた必要書類を探すという業務も、システム付属の検索機能を用いることで迅速に行うことができるようになりました。
また、毎回原本を確認せずにシステム上で契約内容を確認できるようになり、業務の効率化も実現できるようになったのです。
※以下も併せてご覧ください(i-common tech関連コラム) ニーズを満たす、最適な文書管理システムの導入の進め方とは
販売管理システム
「見積り」「仕入れ」「入金確認」などの情報を可視化できるシステムです。
販売業務をより効率化できるほか、利益向上のための分析にも役立ちます。
・販売管理システム導入後の改善例
販売管理の業務では、細かなお金の動きも多く、他の業務と比較しても細やかなデータの管理が重要になります。
例えば、ある企業ではそれまで営業担当から受け取った手書きの伝票を事務の社員が毎回手作業でパソコンに入力していました。
これでは情報のインポートが二重に行われるという意味で非効率ですし、ミスも発生しやすくなります。
システムを導入した結果、手書きや手入力での情報管理がなくなり、業務の効率化が達成されたのです。
※以下も併せてご覧ください(HiPro Tech関連コラム)販売管理システム導入のメリット・知っておきたい基本と選定のポイント
勤怠・労務管理システム
出退勤時刻を記録・管理できるシステムです。
勤務時間や残業時間を可視化できるほか、一定の勤務時間を超えるとアラートが自動であがる機能などがあり、適切な労務管理に役立ちます。
・勤怠、労務管理システム導入後の改善例
近年の労働環境のコンプライアンス意識の高まりや、コロナ禍での働き方の変化に伴い、勤怠労務管理の業務においてもシステム導入が進みつつあります。
例えばある企業ではそれまで残業時間と残業代の集計業務を全て手作業で行なっていました。
手作業なので当然ミスの可能性も増えてしまいますし、導入前は一週間程度集計に時間がかかっていました。
しかし勤怠管理システムを導入することで社員が各々直接勤怠をシステムに入力するようになり、出勤の集計作業自体がなくなり、データを確認するだけで済むようになったのです。
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業務システムの導入事例
業務システムによる恩恵の大きい業界と、業界ごとに導入の多いシステムをご紹介します。
小売業界
- POSシステム
- 顧客管理システム(CRM)
- 在庫管理システム
「業務が店舗ごとに属人化しやすい」「アナログ作業が多い」など、レガシーな体制による課題が見受けられやすい小売業界。
上記3つのシステム導入により、店舗ごとの状況把握・分析がラクになるメリットや、各社員の生産性向上、ひいては働き方改革にもつなげることが可能です。
なお、1は商品個々の売上詳細を把握できるシステム、2は顧客の情報を管理できるシステムとなります(3は先述のため割愛)。
製造業界
- 生産管理システム
- 在庫管理システム
- 工程管理システム
急な生産スケジュールの変更や、現場カイゼンなど、変動に見舞われやすい製造業界。
とくに大量生産を軸におく企業の場合、QCD向上のために各業務の数値化・コントロールは欠かせません。
なお、製造業向けのシステムは多岐にわたるため、上記の持つ機能を一括して活用できるシステムも販売されています。
どのシステムが最適解かは企業ごとの状況によって変わるため、自社の目指したいゴールと、かかる費用を照らし合わせて相見積もりを取るのが賢明です。
建築業界
- 販売(見積)管理システム
- 受発注管理システム
- 労務管理システム
とりわけ高い技術力と専門性が求められる建築業界。
その影響から、依然としてアナログ作業や業務量が多いというイメージが根付いていますが、近年では働き方改革の一環で、上記をはじめとするシステムが多く導入されるようになりました。
この風潮は今後さらに広まることが予想されるため、今後いかにシステムの力で効率化を図っていくかが、世間や就活生から「選ばれる」企業となれるかの明暗を握っているといえます。
なお、2は施工に必要な設備や資材の受発注を管理するシステムとなります(1・3は先述のため割愛)。
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業務システムの導入判断軸
業務システムは導入形態によってメリット・デメリットが分かれるため、「導入時間」「コスト」「カスタマイズ性」の3軸を中心に選定するのが無難です。それぞれ、形態ごとで解説します。
パッケージ/クラウド
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双方ともに、比較的短時間で導入できるほか、初期投資を相対的に抑えられる点が魅力です。既存のソフトウェア製品を、外付けのサーバーから自分のパソコンにインストールして利用する「パッケージ」と、インターネットを介して直接システムを利用する「クラウド」。
セミオーダー
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一定の使いやすさを残しつつ、自社の独自性に合わせてカスタマイズできる点は魅力ですが、カスタマイズは自社で賄わなければならないため、カスタマイズへの時間と、外注する場合はその分のコストがかかります。既存のパッケージをカスタマイズし導入する形態です。
フルスクラッチ
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独自性の強い業務や顧客、事業に合わせてシステムを活用したい場合、当手法がオススメです。完全オーダーメイドでシステムを開発する「フルスクラッチ」は、大手企業でよく導入されている形態です。
ただし、すべてをゼロから開発するため、導入までの初期コストと時間がかかります。
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導入検討には、プロの視点を
ここまで、各システムにおける特徴から、大枠での選び方までをご紹介しました。
とはいえ、企業ごとに抱えるお悩みは千差万別。画一化されたチェックポイントだけで、自社に合うシステムを判断するのは、よほど熟知していない限り、至難の業ともいえます。
「他社のシステム導入状況やトレンドを教えてほしい」「客観的に導入の壁打ち相手がほしい」
もし、このようなお悩みを抱えた場合、第三者の視点を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
たとえば、フリーランスITエンジニア専門エージェント「HiPro Tech」には2500名以上(2021年7月時点)のエンジニアが登録。
システム導入から開発に長けたエンジニアによって、貴社の現状分析からシステム導入~開発、その後の運用に至るまで、アドバイスやご支援が可能です。
まずは他社と足並みをそろえたい。ひいては、もう1歩前に進み出したい。
その決意を、私たちは最大限に尊重し、パートナーとして、伴走させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。