コラム


システムにおけるSLAとは?締結する重要性を解説

2022年01月19日
システム導入

システム開発や導入の際、よく目にするのが“SLA”という単語です。

SLAは、システム提供者と利用者の間で交わされる、保証するサービスの水準に関する契約のことですが「いまいちピンとこない」「SLMなど似たような単語があって良くわからない」といった方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、システムにおけるSLAの概要やSLAを定めるメリットなどの基本情報を解説します。また、SLAに盛り込みたい内容など、SLAを締結する際に知っておきたい内容もまとめていきます。

基礎知識を身につけたい方はもちろん、システムの開発や導入を検討中の方は、ぜひご覧ください。

 

知っておきたいSLAの意味

■SLAの意味

SLAは「Service Level Agreement(サービス・レベル・アグリーメント)」の頭文字をとったもの。日本語では「サービス品質保証制度」「サービスレベル合意書」などと呼ばれます。これは、システム提供者と利用者(委託者)の間で「保証するサービスの水準や責任範囲、提供側の運用ルールを明確に定めたもの」、またはその契約書を指します。SLAはそれ単独で締結されるケースは少なく、契約書に付随する資料の一つとしてあることが一般的です。契約済みのシステムにおけるSLAの内容を知りたい場合は、契約書を確認するとよいでしょう。

SLAは元々、ネットワーク通信事業者が使っていた技術用語です。インターネットが生まれた当初は、現在のように通信の品質が高くなかったため、ネットワーク接続の不安定な時期がありました。データ転送速度の低下や通信障害といったトラブルが生じるなか、不安定な通信状況を改善するために、通信事業者はデータ転送速度の下限や、通信障害発生時の停止時間の上限を設定。その基準を満たせない場合はペナルティを設けるなどして、通信品質を保証しました。これが、SLAのはじまりと考えられています。

現在では、通信サービス・クラウドサービスに留まらず、システム運用をアウトソーシングする際の運用保守サービスなどでSLAが利用されています。

2008年には経済産業省が「SaaS 向け SLA ガイドライン」を策定。システム提供者と利用者側で適切な取引が行われるよう促しています。

※参考:「SaaS向けSLAガイドライン」/経済産業省

■SLMとは?

SLAについて調べていると「SLM」という単語に出会います。似たような言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。SLMは「Service Level Management(サービス・レベル・マネジメント)」の頭文字をとったもの。サービス水準の管理を目的とした考え方です。

SLAはサービスの水準を明確にする取り決めですが、水準だけを決めても意味がありません。どうすれば定めた水準を守れるのか。どうすれば水準を維持できるのか。SLAを達成するために具体的な計画を立て、マネジメント(管理)することがSLMです。

■SLOとは?

SLOは「Service Level Objective(サービス・レベル・オブジェクティブ)」の頭文字をとったもの。日本語では「サービスレベル目標」などと訳されます。SLAが提供するサービス品質についての最低保証なのに対し、SLOは提供するサービス品質についての目標を指します。SLOはSLAを遵守するために設定され、SLAより高い数値を目標にするのが通例です。

システムにおいてSLAを締結するメリット

次にSLAを締結するメリットについてお伝えします。システム提供側と利用側、それぞれにメリットがあります。

■システム提供側のメリット

・サービスの範囲を定義できる

システムを提供する側にとって、サービスに対する利用者の期待値を知り、コントロールすることは大切です。想定を超えるサービス内容や品質が求められれば、対応が困難になったり、大きなコストが発生することにつながりかねません。SLAを締結することで、サービスの範囲を定めておけば、期待値の調整ができ、トラブルも回避しやすくなります。

・説明責任が果たせる

SLAで定めるのは、サービス内容や範囲だけではなく、障害などが発生した場合の対応や保証についても含まれます。事前にSLAに記載しておけば、それに沿って説明責任を果たせるためスピーディな対応が可能となり、利用者に安心感を与えられるでしょう。

■システム利用側のメリット

・サービス水準を定義できる

SLAを締結することで、提供されるサービスの品質水準が明確になります。SLAは双方合意のうえで結ばれるため「品質はこれくらいだろう」といった曖昧さがなくなります。また、常に定義通りの品質が確保できているかを検証する基準にもなるでしょう。

・サービスを比較できる

システムを導入したり、システムの運用をアウトソーシングする場合、進め方としては、まず複数社に相見積もりを取るのが一般的です。相見積もりの際は、コストやスケジュールの比較だけではなく、同時にSLAもあわせて比較するようにしましょう。SLAも確認することで、サービスの内容や範囲、品質が把握できるため、各社のシステムやサービス内容をより正確に理解できます。

盛り込む必要がある項目

SLAで定める項目には、明確な決まりがありません。そのため、システム提供側と利用側で「どんな項目を定めるべきか」を検討する必要があります。設定項目はシステムやサービス内容などによってそれぞれですが、代表的なものは以下の通りです。

・前提条件

サービス水準に影響を及ぼす、業務上またはシステム上の前提条件です。たとえば業務の量、運用する端末数、拠点数などが当てはまります。

・SLAの範囲、内容

SLAが適用されるサービスの範囲と、サービスの内容について定めます。

・サービスレベル

サービスの品質を明確にするには、サービスを測定するため指標が必要です。測定できるサービスレベルには、稼働率、遅延時間、システム障害発生時の復旧までの時間などがあります。

・役割や責任

サービスの役割や責任の所在を明確にします。こちらはシステム提供側だけでなく、利用側についても記載が必要です。

・SLAの改定方法

ビジネス環境やIT技術が変わりゆくなかで、SLAも改定されるケースがあります。そのときのために、SLAの改定の手順などを定めておきます。

・サービス水準が未達時の対応

サービス水準を保証している場合、目標未達率に応じて改善提案を行うなどの対応を定めておきます。契約内容によっては、ペナルティとして利用額を減額するなどの対応がとられるケースもあります。

適切な項目が盛り込まれていなければ、SLAを締結する意味が薄れてしまうかもしれません。社内SEなど、システムについて知識が深い人材と連携しながら、盛り込む必要がある内容を検討するのもよいでしょう。

SLA

締結しないリスクは?

ここまで、SLAの概要、締結するメリット、SLAに盛り込む必要がある項目について解説してきました。では、もしSLAを締結しないと、どのようなリスクがあるのでしょうか。締結しないことで起こり得るリスクを解説しながら、SLAの重要性を考えていきます。

■サービスの品質を担保できない

サービスの品質水準について明確な取り決めがなければ、利用側はそのサービスについて品質を評価できず、システム提供者に改善を依頼することも難しくなるでしょう。SLAでは曖昧な表現を避けるために、稼働率など、品質を数値で評価できる基準が設けられています。品質を維持するためにも、SLAは欠かせません。

■トラブルが起きやすくなる

サービスの内容・品質を定めていないと、システム提供側と利用側で認識に齟齬が生まれる可能性があります。システム障害が発生した場合には、それが保証範囲なのか、システム提供者と利用者のどちらが責任をもつかなどで意見が食い違いトラブルに発展することも。認識の食い違いによって生じるトラブルを防ぐためにも、SLAは需要です。

IT人材を確保するなら

本コラムでは、SLAの概要や締結するメリット、締結時に盛り込む必要がある項目、重要性などについて解説してきました。

SLAの重要性は理解できるものの、締結には合意水準のすり合わせをはじめ、さまざまな対応が必要となるため、つい締結が後手に回ってしまうというケースも少なくありません。IT人材が不足している企業であれば、なおさらでしょう。

日本のIT人材不足はたびたび話題になりますが、その一方で現在は働き方の多様化が進んできたこともあり、副業を検討するエンジニアやフリーランスとして働く人材も増えてきています。システムにおけるSLAの締結において、社内のIT人材だけで手が回らない場合は、フリーランスのIT人材をスポット活用するのも一つの手です。

フリーランスITエンジニア専門エージェント「HiPro Tech」では、さまざまな案件に携わってきたIT人材が多数登録しています。弊社の担当スタッフが、求めるスキル要件の整理を行い、貴社に合ったIT人材をご提案いたしますので、フリーランスエンジニアの活用が初めての場合も安心してご利用いただけます。

「システム導入に際しSLAを締結したいが、社内に詳しい人材がいない」

そのような場合は、ぜひ HiPro Techにご相談ください。

記事監修
パーソルキャリア株式会社 HiPro Techサービス責任者
荒井 雅人

株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)入社後、 人材紹介事業部にてキャリアアドバイザーおよびリクルーティングアドバイザーを歴任。

その後、経営顧問人材による経営支援サービスのi-common(現:HiPro Biz)立ち上げを行い、2020年よりフリーランスITエンジニア専門エージェント事業のi-common tech(現:HiPro Tech)サービス責任者に着任。

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