地方エンジニアの活用方法、採用難易度、地方のIT化遅れの影響は?
IT人材の不足によって、エンジニア採用に苦戦している企業が多くなっています。
エンジニアのニーズは、特に都市部に多く、それに伴ってSIerやSES企業なども都市部に多い傾向にあります。
そのため、都市部においてはエンジニアの不足が一層深刻化しています。
難しい状況ですが、視点を変えることで人材確保の筋道が見えることもあります。
今回の記事では、地方のエンジニアを採用・活用する方法について紹介します。
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地方エンジニアの活用が注目されている背景
現在、少しずつ地方エンジニアの活用が進んでいます。その背景には次のようなものがあります。
◇オンラインシフト化
働き方改革やコロナ禍の影響によって、オンラインで仕事を行う人が増えてきました。
テレワークといった新しい働き方が普及し、企業の情報システムもテレワークに対応したものが増えたことで、どこにいても働くことができる状況が整ってきているからです。
こうしたオンラインシフトにより、事業所近辺のエリアに限定せずに人材活用を考えることができるケースが増えています。
◇都内のIT人材不足、採用難易度の難化
都内では、供給に対して需要が多く、供給が追いつかない状況です。
そのため、採用費用も高くなり、その中で自社の要望や条件に合ったエンジニアを採用するとなると難易度が高い傾向にあります。
しかし、まだ地方ではエンジニアの採用余地が残っているため、地方のエンジニアを頼る企業も増えています。
◇地方のテレワーク推進
都市部への一極集中の流れがオンラインシフトによって変わり始め、地方移住者が少しずつ増えてきています。
こうした流れがあることから、テレワークやワーケーションに関する支援や情報公開などを推進している自治体も多いです。
地方でテレワークを行うための環境整備も進んできたことから、時流に乗って地方に移住するエンジニアも出てきています。
現地でなければできない業務もありますが、テレワークが可能な業務であれば、地方勤務でも問題ないでしょう。
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地方エンジニアは少ない?
地方のエンジニアは少ないと考えられることが多いです。
確かに、求人サイトを見ると、本社が都心にある案件は非常に多いと言えるでしょう。
しかし、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が2020年に実施した、東京圏在住者の「東京圏以外の地域(地方圏)での暮らし」の意識・行動を把握するためのWebアンケート調査とグループインタビューの結果から、20~59歳の東京圏在住者の約50%が「地方暮らし」に関心を持っていることがわかりました。
つまり、地方で働きたいという人も増えている可能性があるのではないでしょうか。
東京圏からの移住エンジニアが増えれば、地方エンジニアも増えていくことが予想されます。
出典:「移住等の増加に向けた広報戦略の立案・実施のための調査事業 報告書」地方創生サイト(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局)
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地方エンジニアを活用するメリット
都市部のエンジニア獲得競争が激化する中だからこそ、地方エンジニアを活用することで企業はさまざまなメリットを受けることができます。
エンジニア人材の不足に悩む企業であるほど、地方エンジニアの活用を積極的に行うことをおすすめします。
地方のエンジニアを活用した場合の主なメリットには次のようなものがあります。
◇比較的人材を活用しやすい
都市部にはIT案件が多く、エンジニア人材も多いです。
しかし、需要に対して供給が追いついていない状況があります。
一方、地方では、そもそもIT企業数が少なく、主な顧客となる企業の本社も少ないため、都市部と比較すると案件が多くありません。
そのため、大学や専門学校でITについて学んだ学生も、就職時には地方から都市部に出てくる状況が続いていました。
しかし、今はテレワークが可能になったため、地方にとどまって働くという選択が出来るようになり、更には都市部から案件をもらって副業をするというエンジニアも出てきています。
そのため、都市部と比較して活用の余地があると言えるでしょう。
また、地方エンジニアの活用に乗り出している企業は増えてはいるものの、まだ決して多くはありません。
競争が少ない分、人材獲得の難易度は都市部と比べて下がるでしょう。
◇人件費を削減できる可能性がある
地方のエンジニアを雇用する場合、都市部のエンジニアを雇用するよりも人件費の水準が低くなることも多いです。
社内の給与規程に合わせて給与を支払う必要はありますが、都市部ほど生活費が高くないため、住宅補助などの手当負担は幾分軽くできるでしょう。
また、時給で働く派遣社員や契約社員であれば、地方の相場に合わせることができるかもしれません。
また、テレワークが前提であれば、社内にデスクやロッカーを置く必要もないため、雇用するにあたり 必要な経費も安くなります。
地方によってはテレワークでの採用に助成金が出ることもあるため、対象地域の制度も確認してみるとよいでしょう。
都市部でエンジニアを採用する際には、用意できる額が心許ないと感じていても、地方のエンジニアにとっては魅力的な額に見えることも多いものです。
◇エンジニアの精神衛生が保たれやすい場合もある
地方で働くエンジニアの中には、都会のストレスフルな労働環境を敬遠して移住した人も少なくありません。
都市部では満員電車や人間関係のトラブル、多くの案件があるが故の残業など、さまざまな要因があるようです。
地方に移住し、その地方の良さを感じながら働いているエンジニアも多いです 。
エンジニアは体力・精神力が求められますし、業務におけるプレッシャーも大きい職種です。
そのためにメンタルケアの問題に頭を悩ませる企業も多いですが、精神衛生の問題が少なくなれば管理者や労務担当者の負担も少なくなるでしょう。
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地方エンジニアの採用時の注意点やポイント
◇リモートでのコミュニケーション方法に配慮する
地方エンジニアを採用する場合、コミュニケーション方法は特に注意したいポイントです。
テレワークで業務はできるとしても、会話や相談するというコミュニケーションについては、取りにくいと感じる人もいるでしょう。
コミュニケーションツールを用意するだけでなく、利用しやすい環境作りを心がけましょう。
オンラインでは、緊急時の情報共有や指示出しが難しいですし、対面でのコミュニケーションが必要な場合には、オフィスとエンジニアの居住地が離れていると直接会うことが難しくなります。
採用エリアを絞り込み、対面が必要な場合に備えて交通費支給規程を定めるなど、懸念点については事前に対策しましょう。
◇仕事の管理を徹底する
地方エンジニアの場合、どうしても仕事の様子を把握することが難しいです。
定期的に業務報告を義務づける、始業・終業の際に必ずメッセージを送るなど、運用ルールを定める必要があります。
手抜き業務で生産性が下がらないよう、報酬の基準を時間ではなく成果物におくことも効果的です。
◇情報のアップデート時期を合わせる
地方の場合、開催される勉強会やセミナーが少ないために、エンジニアの情報のアップデートが間に合わないこともあります。
情報のアップデートをフォローするためにも、社内研修の充実や、オンラインセミナーなどの情報共有を積極的に行いましょう。
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IT企業の地方進出も注目を集めている
また、地方人材の活用だけではなく、IT企業が地方へ本社を移転するケースも見られました。
IT企業が地方に進出する理由はどのようなものがあるでしょうか。
◇国が地方活性化を推進している
政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)は「地方創生IT利活用促進プラン」で、ITを通して地方創生を促すための施策を提示しました。
このプランには、国の重点的な取り組みや支援方針も記載されています。
IT人材の慢性的な不足が続くこの状況を改善するために、国は地方活性化を推進していると言えるでしょう。
◇リモートワークが普及している
コロナ禍で、リモートワークは様々な企業に受け入れられつつあります。
以前は一般的ではなかったリモートワークですが、現在ではIT業界以外の企業でも取り入れられています。
多くの企業において、リモートワークが普及していると言っても過言ではありません。
リモートワークになった企業は、物価や地価の高い場所でオフィスを構える必要がなくなり、地方へ進出するケースが見られます。
特に、IT企業においては、自宅で社員がリモートワークをしているケースが多く見られます。
そのため、オフィスの家賃が不要なコストとなっているのです。
◇経費を削減しやすい
地方は、都市部と比べると土地代を抑えやすいのが特徴です。
例えば、広い敷地を必要とする大企業であっても、大幅なコストカットを実現できます。
場所を問わず働けるというIT企業の強みを活かして、本社機能を都市部から地方に移すことでコストを大きく下げられます。
◇ワークライフバランスの改善可能性あり
IT企業を地方に移転させることで、ワークライフバランスの改善にもつながる可能性があります。
例えば、地方での出勤時は車通勤になることも多く、電車通勤がないことで都市部ほど混雑のストレスにさらされることがなかったり、自然の中でのびのび過ごせたりすることでしょう。
企業も地方に拠点を構えることで、地方の自然などの特徴を活かした福利厚生を実現できます。
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地方エンジニアを採用する方法
地方のエンジニアを採用するために、どのような方法があるでしょうか。
主に行われている方法について紹介します。
◇オンラインサービスを活用する
インターネット上のサービスを活用した採用方法は、地方のエンジニアを採用するための最も一般的な方法です。
・求人媒体
求人サイトなどの求人媒体は、エリアによって絞り込みもできますので、地方の中でもエリアを限定したい場合にも使いやすいです。
ただし、掲載期間や掲載する情報量、その他のオプションによってコストが変わってきます。
・SNS
最近は人材採用のためにSNSを利用する企業も増えてきています。
SNSで「うちで働きませんか?」といきなり声をかけるのではなく、自社に関する情報を発信しながら、緩やかにエンジニアと関係を作っていきます。
候補者の動向をフォローしながら自社の存在をアピールし、信頼関係ができてくるとスカウトもしやすくなります。
関連記事:企業がエンジニア採用で苦戦している理由とは?成功のためのポイントを解説
◇地方特化型エージェントを使う
人材紹介を行うエージェント会社の中には、規模は小さくとも地域や業界に特化した強みを持つところもあります。
地方のITエンジニアに強いエージェントを使うことで、地方の優秀な人材を登用できる可能性もあります。
エージェントによって採用までの期間や必要な費用はさまざまですが、成功報酬型のエージェントが多いため、求人媒体よりも必要なコストを予測しやすいのがメリットです。
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地方のIT化の遅れ
最後に、IT化が遅れているという地域事情を紹介しましょう。
地方エンジニアの活用などに注目は集まるものの、地方ではまだまだIT化が進んでいません。
どうして、IT化が遅れているのでしょうか。
分析すると、地方特有の体質や制約によるものだということが見えてきています。
地方のIT化が遅れている理由を3つに分けて、さらに詳しく説明します。
◇IT系の仕事がない
地方は「農業・水産」などの1次産業や6次産業、「医療・福祉」、「役場」などの仕事が中心です。
「IT化の規模が小さい」「業務の特性上、IT化が遅れている」などの理由のため、IT系の仕事が地域に元から存在しないケースが見られます。
そのため、「IT系の仕事に就きたくても就業機会を得られないので、都市部に行くしかない」、「1次産業を続けていくのは難しい」という考え方となり、地域から若者が流出する要因につながっていると考えられます。
◇そもそも行政がIT化していない
行政は民間の人材を「政府CIO補佐官」として招致し、IT化に取り組んできました。
ところが、CIO補佐官が改善の提案をしても、「行政の体質が古い」、「現状を変えることを良しとしない現場で受け入れられない」などの理由によって活躍できていませんでした。
情報が届きにくい地方では「IT系の仕事がない」という形で、行政がIT化していないことによる影響が顕著に現れていると言えます。
そこで総務省は、2020年3月にIT化を実現するための方向性を記す「デジタル・ガバメント実現のためのグランドデザイン」を発表しました。
IT化に力を入れ始めたばかりなので、地方のIT化の遅れを取り戻すには時間を要するでしょう。
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エンジニアを探すならHiPro Techで!
エンジニア需要は伸び続け、都市部ではエンジニアの採用がますます難しくなり、採用費用も高くなっています。
地方エンジニアの採用は企業にとって多くのメリットが期待できるため、早めに取り組んでノウハウを蓄積しておくとよいでしょう。
地方エンジニアを活用したい場合、採用することだけが手段ではありません。
地方で活動するフリーランスエンジニアに業務を依頼することも人材不足を補うために効果的な方法です。
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地方で都市部の良質な案件を待っているエンジニアも多いため、好条件でエンジニアを活用できるでしょう。
専門スタッフが全面的にサポートしますので、フリーランスエンジニアの活用や契約のノウハウに自信がない企業でも安心です。
急な人員増への対応が必要な場合や、社内のエンジニアにないスキルが必要になった場合などにぜひご活用ください。