エンジニアに業務を外注する際のポイントや失敗しないための注意点について
近年、エンジニアの需要は急速に高まっています。
レガシー化した既存システムの刷新、グローバル化によるDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進、コロナショックをきっかけとした消費者行動の変化によるサービス改革など、課題は山積みです。
デジタル化やデータ連携を目的としたシステム開発・統合に向けて、エンジニア獲得に取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。
しかし、エンジニア不足が加速する日本において、優秀なエンジニアの採用は難しいでしょう。
そのような際に検討されるのが、エンジニア業務の外注です。
本コラムでは「外注が注目される背景」「外注のメリット・デメリット」「エンジニアの探し方」を中心にご紹介します。
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外注が注目されている背景
エンジニア業務の外注が注目されている背景には、前提として以下の3つのポイントによって、エンジニア業務が肥大化している点にあります。
- 既存システムのレガシー化(2025年の崖)
- 最新技術(AI・IoTなど)による生産性の向上
- DXでのビジネスモデル変革に伴うシステム再編
これまでのエンジニア業務は、一度システムを開発してしまえば、運用・保守が業務の中心になっていました。
しかし、インターネットの登場によって次々と新技術が生み出されていき、ビジネスモデルが進化していくスピードも早まっています。
この急激な変化に対応するために、エンジニアの業務範囲は広がり、より専門的な知識を求められるようになりました。
エンジニア業務を内製化しづらい理由
総務省が2019年に公表した資料によると、日本ではエンジニアの約70%(※1)がベンダー企業に所属しています。
日本ではベンダー依存の状態が長年続いており、情報システム部門がシステム導入をベンダーに依頼することが一般化されていました。
エンジニア不足が加速している現在では、ユーザー企業がエンジニアにとって魅力的な仕事や処遇を用意することは難しく、中には採用したいエンジニアのスペックを明確化できない企業もいるでしょう。
また、現場が少数精鋭になってしまっている企業では、エンジニアの要求値ばかりが上がってしまい、要求水準を満たす人材が見つからないことも十分にあり得ます。
結果として、エンジニアの採用に苦戦してしまい、ユーザー企業の多くが業務を内製化しづらくなっています。
※1 出典:「令和元年版 情報通信白書」(総務省)
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エンジニアに業務を外注するメリット
エンジニアに業務を外注することは、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
採用市場なども踏まえながら説明します。
コストを抑えやすい
外注はプロジェクト単位で行われるため、必要な期間だけ費用を支払うのが特徴です。
対して、内製化の場合はエンジニアを自社で雇用するため、給与や各種手当に加えて、社会保険料や福利厚生費などの支払いが発生します。
厚生労働省が2020年に公表した資料によると、10人以上の企業でのソフトウェア作成者の平均年収は約480万円となっているため、システム開発・導入に必要な全メンバーを雇用した場合、人件費が数千万円に膨らむこともあるでしょう。
特にコンサルタントやストラテジストなど、意思決定において重要な役割を担う高度IT人材は他ポジションと比較して給与条件が高い傾向にあります。
外注の場合は開発・導入するシステムによって費用が異なるとはいえ、プロジェクトに必要な人数・技術・期間によっては、外注のほうが会社負担を抑えやすいでしょう。
※2 出典:「令和2年 賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
スケジュールを立てやすい
昨今のエンジニア不足による有効求人倍率の増加を踏まえても、エンジニアを採用するのには時間がかかります。
しかし、外注であれば自社の採用力が高くない場合でも、プロジェクトに応じたスキルセットができれば、スムーズに人材探しを進められるでしょう。
また、ベンダー企業に業務を外注する場合、リリース計画に合わせてリソースを確保できるため、人員ベースで計画を立てる必要がなくなります。
最新技術での開発ができる
内製では研修・教育などで最新技術に触れる機会をつくる必要があり、最新技術を素早く取り入れることは難しいでしょう。
しかし、ベンダー企業やフリーランスエンジニアであればニーズに沿ったサービス提供を行うため、最新技術の習得もサービス提供価値の1つになります。
ユーザー企業から「新しい技術を試したい」という要望を受ける相手であれば、最新技術を取り入れた開発を行うことも叶いやすいでしょう。
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エンジニアに業務を外注するデメリット
エンジニアに業務を外注するメリットがあるのに対して、デメリットにはどのような内容があるのでしょうか。
解消方法を踏まえながら説明します。
方針変更しにくい
仕様や目的などの大きな変更を行った場合、業務の中身まで変わってしまう可能性があるため、外注で一度契約すると大胆な変更は実施しにくい傾向にあります。
要件定義に抜けや漏れがある可能性もありますが、近年はVUCAと呼ばれる予測不能な時代への柔軟な対応が求められるため、仕様や目的の途中変更は十分にあり得ます。
そのため、イテレーションごとなどで契約を細かく区切ることも視野に入れておくと良いでしょう。
コミュニケーションに時間を要する
社内環境の理解度が高い内製とは異なり、外注は必要な情報の把握や意思疎通に時間が必要です。
伝える情報の量や質を間違えると、余計に工数がかかってしまい、スケジュールが遅延する可能性もあり得ます。
そのため、チャットツールでの細かな進捗確認・質問対応や、オンラインでの定例会議での方針のすり合わせなど、目的ごとに連絡手段を使い分けて、コミュニケーションエラーを抑制していきましょう。
ナレッジが溜まらない
エンジニアに業務を外注した場合、細かな仕様や判断基準などがブラックボックス化してしまい、外注の契約終了後に対応できる人材がいなくなる可能性もあるでしょう。
特に現在は企業競争力を高める要素として、DXの推進が重要視されているため、ITシステムやデータ活用のナレッジを社内に蓄積することが大切です。
これからのデジタル時代を生き抜くためにも、内製・外注の判断は慎重に行う必要があるでしょう。
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外注先となるエンジニアの探し方
エンジニアに業務を外注する場合、外部サービスを通じて行う場合が多く、主に「クラウドソーシング」「フリーランスエージェント」「SNS」の3種類があります。
3つのサービスについて、メリット等も踏まえて説明します。
クラウドソーシング
企業が業務を外注する際、プラットフォームを介してエンジニアとマッチングするためのサービスです。
幅広い案件を扱う総合型や、特定の業界・職種への特化型など、サービスごとに特徴を持っています。
後述する2つのサービスと比べて、求める経験・スキルをもったユーザーだけにアプローチすることは難しいですが、代わりに幅広いエンジニアと出会う機会に恵まれています。
報酬だけでなく、作業範囲や開発環境などをエンジニアと相談して決めることも可能です。
フリーランスエージェント
エージェント会社を通じて、エンジニアの紹介を受けるサービスです。
フリーランスエージェントの魅力は、長期稼働を求めるエンジニアが比較的多い点と、エージェントという第三者視点から自社の魅力を伝えられる点にあります。
そのため、「長期的にお付き合いできるエンジニアを探したい」「自社の魅力を上手く言語化できない」という企業に向いているといえるでしょう。
特にエージェントの介在価値は、エンジニアとのコミュニケーションにも影響してきます。
エンジニアの中にもご自身の経験やスキルを上手く言語化できない方もいらっしゃいますが、エージェントが細かくヒアリングを行うことによって、自社との相性をより客観的に判断できるようになります。
SNS
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)というコミュニティを通じて、エンジニアとの接点を獲得する手法です。
代表的なサービスでは「Twitter」「Instagram」「Facebook」などの他に、「YouTube」などの動画SNSや「Wantedly」などのビジネスSNSが存在します。
SNSでエンジニアにアプローチする種類は、主に「ダイレクトメッセージ(DM)やリプライ機能などで直接的に声をかける」「動画SNSやビジネスSNSに情報を露出させてユーザーに周知する」という2点です。
前者はヘッドハンティングのような感覚に近く、ダイレクト・リクルーティングとも呼ばれます。
業務に必要なスキルセットの正確性や魅力的な情報開示などが求められるものの、企業が能動的にアプローチする分、「他のサービスでは出会えないエンジニアと接点を持てる」「コストを抑えられる」などのメリットがあります。
後者は広告や記事を通じて、幅広いユーザーにプロジェクト情報を届け、興味をもったユーザーとコミュニケーションを取る手法です。
「掲載費用や業務負荷がかかる」「興味・関心をひく訴求が重要」という懸念点はあるものの、転職潜在層やフリーランス層にも情報が届きやすく、ユーザーが興味を持った後のコミュニケーションになるため、契約をスムーズに進めやすいでしょう。
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エンジニアに業務を外注する選択肢は幅広い
先述ではフリーランス人材の活用をピックアップしましたが、人材の短期確保という点においては派遣会社からエンジニアを派遣してもらうという方法もあります。
では、それぞれの方法にはどのようなメリットがあるのか、どのような企業が向いているのかを詳しく解説します。
派遣でのエンジニア活用
派遣会社のエンジニアを活用するメリットは、福利厚生にあります。
派遣エンジニアの福利厚生は派遣元の制度が適用されるため、福利厚生面がネックになる心配はありません。
待遇の充実が難しい企業にとっては、自社雇用よりもエンジニアを確保しやすいでしょう。
休暇制度や資格取得支援だけでなく、施設やレジャー割引、育児支援、近年話題のカフェテリアプランなど、独自の福利厚生がある派遣会社も多いのも特徴の1つです。
フリーランスでのエンジニア活用
フリーランスのエンジニアを活用するメリットは、必要な期間に、必要な業務だけを外注できる点にあります。
プロジェクト単位でフリーランスのエンジニアを集められれば、企業側はマネジメントに専念できるのも特徴です。
「特定のプロジェクトにだけ参画してほしい」「特定のタスクだけをお願いしたい」「一定の経験・スキルを持ったエンジニアを探している」という企業に向いているでしょう。
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フリーランス人材活用の有用性
ここではフリーランス人材の有用性について説明します。
ハイスキル層が多い
フリーランスのエンジニアは自分自身で案件を取る必要性があるため、経験・スキルともに豊富な方と出会いやすいのもポイントです。
複数の企業でのプロジェクト参画経験のある方が多い傾向にあるため、業務フローなどにも柔軟に対応できる可能性が高いでしょう。
プロジェクトの途中参画を依頼しやすい
経験豊富なエンジニアは、プロジェクトの全体把握が早く、読み手に配慮したコード作成を行うための知識や手法を持っている可能性が高いです。
途中参画の経験があるエンジニアであれば、目的・役割・進捗状況の理解やヒアリングすべき情報なども分かるため、円滑にプロジェクトを進めるうえでの良き相談相手になり得るかもしれません。
アジャイル的な現場にも対応しやすい
フリーランスのエンジニアは短期間の契約ができるため、仕様変更や方針転換などのタイミングで契約を見直せます。
イテレーションごとだけでなく、タスク単位など、プロジェクトの規模やリソース状況に応じた契約も可能です。
そのため、プロジェクトの初期段階だけでなく、アップデートで機能追加する場合など、さまざまなシーンで活用できます。
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まとめ
今回はエンジニア業務の外注が注目される背景から、メリット・デメリット、エンジニアの探し方などをご紹介しました。
エンジニアに業務を外注するか否かは、プロジェクト開始前に検討する必要がありますが、外部エンジニアとプロジェクトを協同で進める場合、外部エンジニアの業務進捗を管理する人材が欠かせません。
上流工程を担当する責任者クラスを自社で雇用することは難易度が高く、給与条件も高めに設定される傾向にありますが、フリーランス人材であればプロジェクト単位での契約が可能です。
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契約期間はプロジェクトに応じて調整できるため、社内のリソース不足の解消に役立てることができるでしょう。
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