コラム


エンジニアにシステム開発を依頼する場合の単価を決める基準、依頼する時の注意点

2021年03月16日
契約形態

非IT企業でも、自社で利用する業務サービスや外部向けのサービスを開発することがあります。

システム開発はお金がかかるというイメージを持っている人が多いですが、実際にどの程度の予算がかかるのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

社内でエンジニアを雇用する、あるいはシステム開発を外注する場合でも、この相場観は非常に大切です。

エンジニアにシステム開発を依頼する場合、単価決めの基準とは?

エンジニアにシステム開発を依頼する場合の単価の基準を紹介します。

①システム開発の区分

システム開発の単価はさまざまな要素がありますが、大きくはシステムの種類で決まります。

たとえば、社内にサーバーやネットワークを構築して利用するような業務システムの場合、ハードウェアの準備や設定、システムで利用するアプリケーションの開発といった作業が発生するため単価は高くなります。

Web系のシステムでは、レンタルサーバーやクラウドを活用することでインフラの準備ができるため、コストや開発工数の削減ができ、システム構築費用も安くなります。

このように、開発のシステムの違いにより工数が異なるため、単価が変わるのです。

システム開発には、例えば、以下のようなものがあります。

・簡易システム

例えば、特定の業務を効率化するためのシステムです。

このようなものは、システム開発の中でも、次に紹介していく案件と比較すると、安価で開発できるのではないでしょうか。

しかし、「利用範囲」「セキュリティ要件」により価格は大きく変動します。

特に問わないようなものであれば安価かもしれませんが、「利用範囲が非常に広く、カスタマイズで依頼することが増える」「セキュリティ要件が厳しく、複雑に暗号化しなくてはならない」などであれば、その分費用は高価格化します。

このような案件を発注する際は、目的や機能を明確に指定した上で見積りをすることことをおすすめします。

・CMS、Webシステム

オウンドメディア用のサイトや会員制サイト、Webサービスの作成を依頼したい方も多いでしょう。

こちらも価格幅は非常に大きいです。

このようなシステムにおいて、パッケージやプラグインを利用できる場合には費用が下がりやすい傾向があり、セキュリティ対策を高度にする場合には費用が高くなる傾向があります。

さらに、例えば会員制サイトにゲーム機能をつけるなど、さまざまな機能を実装するごとに価格が高くなります。

・業務システム

社内で利用する会計システムや営業管理システムのような業務システムを依頼したい場合もあるでしょう。

このような場合は、まずは既存でパッケージのような存在のシステムがないか確認することが必要です。

もしパッケージを使用するのみで良ければ、開発する必要がなくなるので、当然費用が安くなります。

また、パッケージを追加改修するのみで完成出来る場合も、費用は抑えられるでしょう。

しかし、開発を依頼する場合、「どのような機能をつけるか」「会社規模や利用人数の程度」など、カスタマイズすればするほど費用が高くなります。

また、社内向けか、もしくは社外向けなのか、どのような層を対象に、どの程度の利用が見込まれるかによっても、インフラの性能やセキュリティ要件も変わってきます。

そのため、開発を考えているシステムの要件を明確にイメージすることが大切です。

②エンジニアのスキルと市場

エンジニアの持っているスキルがいかに希少性が高いか、という問題もあります。

まだあまり日本で活躍しているエンジニアがいない場合、当然ですが採用や依頼が難しく、費用が高額化する傾向にあります。

また、需要と供給の関係性もあります。

近年では、AIが注目されており、機械学習のエンジニアへの需要が非常に高まっています。

このため、多くの企業がAI開発できる人材を欲しており、エンジニアが案件を選べる時代になっていると言えるでしょう。

今注目されているエンジニアは、例えば、以下が挙げられます。

✔機械学習エンジニア
✔ビッグデータを活用できるエンジニア
✔IoTなど、モノに関する開発も含めてできるエンジニア

これらは先端IT人材と定義されており、今後もかなり需要が見込まれることは明らかです。

これらの人材は、2030年には約55万人が不足するとも言われています。

※参考:経済産業省  IT人材需給に関する調査

③エンジニアとの関係性(契約体系)

最後に、エンジニアへの単価が変わる事項として、どのような契約体系かということが挙げられます。

エンジニアへとの契約体系は正社員、派遣、SES、業務委託などさまざまです。

正社員の場合は、自社で雇用している人間のため、開発にかかる費用は主に人件費と言えるかもしれません。

しかし、自社でエンジニアを雇用していない場合は、人件費のみでは済みません。

募集を出すための広告費用や、エンジニアを紹介してもらうための仲介手数料や紹介料込みで考える必要があります。

ただし、契約体系によって費用が変わるだけではないので、自社でどのようにエンジニアをディレクションしたいかによって契約体系を選択するのがおすすめです。

例えば、自社でエンジニアに指示を出して本格的にプロジェクトを推進したい場合は、派遣エンジニアがおすすめです。

派遣エンジニアは正社員ではありませんが、指揮命令権があり自社で自由に指示出しができる契約です。

反対に、自社にエンジニアがいない、エンジニアへ指示を出せる人材がいない場合は、SESエンジニアやフリーランスエンジニアの活用がおすすめです。

エンジニアにシステム開発を依頼する際の計算例

エンジニアにシステム開発を依頼する場合の計算例

システム開発の費用は、案件によって相場があるものの、基本的にはパッケージ販売ではなく特定の値段が決まっているわけではありません。

エンジニアの工数から決めることが大半です。

このため、まずはエンジニアやエンジニアを抱える企業から見積もりを提案されることが多いです。

そこで覚えておきたい考え方が、「人日」「人月」です。

「人日」「人月」

システム開発にかかる工数や予算規模は、「人日」「人月」という単位を使って見積りされることが多いです。

「人日」単価とは、エンジニアが1人で1日稼働した場合の単価を意味し、「人月」単価とは、1人で1ヶ月稼働した場合の単価を意味します。

システム全体では、「この程度の規模であれば40人月くらいのボリュームですね」という形で表現され、この場合は1人なら40ヶ月、2人なら20ヶ月、4人なら10ヶ月が完成に要する期間として費用が見積りされています。

エンジニアのレベルによって定められている単価(人日・人月ごとに設定されている)と作業量を掛け合わせたものがシステム開発の予算(機材などは除く)となります。

企業によってエンジニアの単価や、システム開発の見積もり工数は企業によって異なるため、いくつかの企業で相談してみるとよいでしょう。

あくまで作業工数の見積もりに過ぎないため、実際にその工数・期間で完成できるとは限らない点に注意が必要です。

また、エンジニアの経験やスキルなどから妥当と考えられる人件費を計算するのが一般的です。

このため、技術者が高度な技術を持つ場合には一日あたりの費用も高くなりますし、技術分野によっても費用は変わってきます。

詳しくは、本記事の「【エンジニアランク別】エンジニアに依頼する場合の料金」で紹介します。

システム開発を単発で依頼する際の注意点

大きなシステムを開発する場合は、専門のシステム開発会社に依頼するのが一般的ですが、ちょっとしたシステムの開発や改修などは、派遣会社のエンジニアやフリーランスのエンジニアに依頼することもできるでしょう。

その場合に知っておくべき注意点について紹介します。

技術の高さは実績で判断する

エンジニアにシステム開発を依頼する場合、価格が高いからといって必ずしも技術があるエンジニアとは限りません。

価格はさまざまな要素で決定されるものであり、技術の高さを示しているわけではないからです。

自社の求める案件に対し、適度な技術を有しているかは過去の実績などから判断するとよいでしょう。

相見積もりを取る

一社あるいは1人のみに見積もりを取った場合には、相場と大きく離れた価格を提示されるリスクがあります。

必ず相見積もりを取って、どのような内容で、どのような根拠で価格が決まっているか確認しましょう。

相見積もりを取った場合は、価格を比較するだけでなく、内訳の詳細にも注意しましょう。

「システム開発一式」では何が含まれているかわからないため、「プログラミング」「要件定義書の作成」「テスト」など、内訳が見えると安心です。

また、作業項目ごとに別の会社に依頼してコストを下げることができる場合もあります。

パッケージを利用できるか確認する

現在は、よほどの場合でなければ、0からシステムを作成する必要はありません。

すでに公開されているオープンソースソフトウェアや既存のパッケージソフトなどを利用することでシステム構築を効率化できれば、コストが大きく下がります。

エンジニアの技術や見識によって、こうした対応ができるかは異なりますが、もしこうした提案をもらえるようであれば、優秀なエンジニアであると期待できるかもしれません。

開発期間やコストを大幅に削減できるので、企業にとってもメリットが大きいです。

依頼はシステムのゴールではなく目的のゴールを話す

エンジニアへの相談の時点で、システムの詳細な要件が定まっている必要はありません。

しかし、システムを通して何をしたいのかが明確でなければ、エンジニア側も何をしていいのかわからず、必要な技術や人月なども考えることができません。

依頼をする際には、「こんなシステムがほしい」ではなく、「システムを通して○○の問題を解決したい」ということを明確な言葉で表現しましょう。

目的を明示することによって、エンジニアが技術的な観点からよりよい提案をしてくれることもあります。

ミニマムスタートにする

以前は、想定される利用規模に十分なシステムをハードとソフトの両面で準備する必要がありましたが、現在はクラウドやAPI連携といった、システムの拡張や連携を容易にするための技術が普及しています。

そのため、システムも優先度の高いところから少しずつ構築し、徐々に全体を作っていくケースも多いです。

また、必要に応じて追加機能をアップデートし、より使いやすいシステムにすることもできます。

大規模なシステム開発は数年かかることも多く、その間にニーズの変化や機能の陳腐化が起こることもあります。

また、規模が大きくなるほど投資額も大きくなるのもリスクの1つです。

最小限の機能でミニマムスタートを行い、計画的に拡大・改良を進めていくことで投資金額を抑えて快適なシステムを作ることができるでしょう。

【エンジニアランク別】エンジニアに依頼する場合の料金

多くのSES企業では、エンジニアのランクを初級、中級、上級と分けています。

実際には技術や経験などにより、企業ごとにより細かいランクづけが行われており、複数人で作業をする場合には、複数のランクからメンバーをアサインするケースも多いです。

ランク 人月単価 備考
PG下請け 40~80万円 対応できる作業範囲が狭く、指示が必要
PG大手企業 60~100万円 割り当てられた範囲について、専門性を持った仕事を期待できるレベル
SE初級 80~100万円 複数のIT分野のスキルがあり、簡単なシステム設計ができるレベル
SE中級 100~120万円 複数のIT分野のスキルがあり、一般的なシステムを設計し、完成まで導けるレベル
SE上級 120~200万円 複数のIT分野のスキルがあり、高度なシステムの設計やプロジェクト管理ができるレベル[TM1][杉江2]

株式会社ワンズマインド社の比較ビズより引用

※PG:プログラマー
※SE:システムエンジニア

上級SEの人月単価が下請けPGの3倍だとしても、上級SEが下請けPGの3倍のペースで作業ができるわけではありません。

できる仕事の種類が違うということであり、下請けPGを3人集めても、上級SEのようにシステムの仕様書を作ることはできないでしょう。

上級SEに仕様設計だけを依頼し、残りの作業は単価を抑えられているメンバーに依頼するのもコストダウンに繋がります。

※参考:株式会社ワンズマインド社 比較ビズ SES料金相場

まとめ

一般的なシステム開発では、数十万円から数百万円という費用がかかります。

システム開発の相場は、主にシステムの種類やエンジニアの技術分野やレベルによって決まってくるため、システムの種類や求めるエンジニア像を明確にすることが大切です。

また、エンジニアに依頼する場合、案件規模(必要工数)の計算に「人日」「人月」という単位を使うのが一般的です。

予算の見積もりや納期設定にも大切な概念のため、理解しましょう。

エンジニアにシステム開発を依頼する場合、システムベンダーやSES企業の場合は、エンジニアの単価にバックオフィスの人件費や広告費などが上乗せされるため、単価が高くなることもあります。

フリーランスのエンジニアであれば、そのような費用の加算を抑えられる可能性が高いため、低費用で技術力のある人材を活用可能と言えるでしょう。

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記事監修
パーソルキャリア株式会社 HiPro Techサービス責任者
荒井 雅人

株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)入社後、 人材紹介事業部にてキャリアアドバイザーおよびリクルーティングアドバイザーを歴任。

その後、経営顧問人材による経営支援サービスのi-common(現:HiPro Biz)立ち上げを行い、2020年よりフリーランスITエンジニア専門エージェント事業のi-common tech(現:HiPro Tech)サービス責任者に着任。

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