プロダクトマネージャー(PdM)の役割とは?キャリアやスキル、今後期待される価値とは
新規事業の立案時や、今後の企業戦略を考えるとき、プロダクトマネージャー(PdM)の役割の重要性が問われることがあります。特に近年では、テクノロジーを重視した事業開発が多くの企業で進められていることもあり、改めてプロダクトマネージャーの役割について見なおしたり、設置を検討中の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
当コラムでは、プロダクトマネージャーの役割から設置の必要性、さらには、プロダクトマネージャーを獲得するための基準となる情報(必要なスキル、キャリアパス、年収相場)についてご紹介します。プロダクトマネージャーポジションの役割を知りたい方や、設置を少しでも成功に近づけたいとお考えの方は、ぜひ最後までお目通しください。
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プロダクトマネージャーの役割とは
プロダクトマネージャーとは、その名の通り「プロダクト」のマネジメントポジションですが、改めてポジションの役割を正確にご理解いただくため、まずは「プロダクト」の意味についても簡単に触れておきます。
◇そもそもプロダクトとは
プロダクト(product)とは、製品、用品、商品などの意味を持つワードです。一般的には、企業が顧客に提供する製品のことを指します。また、形として存在する製品のみならず、IT業界でのシステムや、マーケティングにおける対象サービスなどを指す用語としても使われます。
◇プロダクトの統括を担うのがプロダクトマネージャーの役割
プロダクトをリリースするためには、コンセプト定義から製品開発、価格設定にマーケティングと、あらゆるフェーズを踏む必要があります。プロダクトマネージャーは、この一連のフェーズ、およびプロダクト推進チームのメンバーを統括する役割を持ちます。
◇プロジェクトマネージャーとの役割の違い
よく間違われるワードに「プロジェクトマネージャー(PM)」があります。プロジェクトマネージャーとの違いは、責任領域にあります。
プロジェクトマネージャーの場合、目的達成のために細分化されたタスク管理、すなわち「納期設定」「品質担保」「開発手段選定」など、定量化できる要素を中心にマネジメントします。
一方プロダクトマネージャーは、「そもそも何を製品化するか」「製品の必要性の定義」など、根本的な要素から踏み込みマネジメントします。
両者の役割の違いから、プロダクトマネージャーは、プロジェクトマネージャーのマネジメント領域を包括してマネジメントするポジションとも捉えることができます。
(プロジェクトマネージャーの詳細については、当サイト別コラム「プロジェクトマネージャー(PM)の役割とは? 主な業務・必要とされるスキルを解説」で解説しています。こちらもぜひ併せてご覧ください)
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プロダクトマネージャーの必要性
先ほどの役割の中で、プロダクトマネージャーは各フェーズを統括する役割と述べました。この「役割」をもう少し広げ、なぜ、プロダクトマネージャーが必要とされるかの側面から、プロダクトマネージャーの役割を深堀り解説します。
◇各部署とのハブとなる役割
まず、プロダクトマネジメントは、以下3つの要素が組み合わさって形作られます。
・ビジネス…顧客を獲得し、利益を生み出せるプロダクトへ昇華できるよう判断すること
・UX…顧客のニーズを検知し、ニーズを満たす仕様を設計すること
・テクノロジー…定義したUXをプロダクトとして具現化すること
この3つの要素を形作るためには、あらゆる関係者との連携が必要不可欠となります。たとえば、ビジネスやUXであれば、マーケターやWeb関連クリエイターなどとの連携、テクノロジーであればエンジニアやITコンサルティングなどとの連携などです。
これらの連携に伴い、もしプロダクトマネージャーがいなければ、そのプロダクトにとって適切か否かの基準が失われることとなります。そのため、各部署の要望や実現可否といった重要事項の交渉などが一方通行のコミュニケーションとなってしまい、合意形成も難しくなります。結果、プロダクトの成長が著しく滞ってしまう事態となるのです。結論、プロダクトマネージャーはプロダクトに対する司令塔、および各関連部署のハブの役割として機能するといえます。
◇時代のニーズを的確に検知しプロダクトを成長させる役割
もうひとつ、プロダクトマネージャーの役割が求められる背景として、プロダクトマネージャーは今後の市場競争を勝ち抜いていくためのキーパーソンであることが挙げられます。
というのも、現時点で顧客に選ばれ続けるプロダクトの共通項は、市場ニーズの変容に対して、柔軟かつスピーディーに応えるものであるからです。例えば、近年に代表される時勢の変化のひとつとして「コロナ禍」が挙げられますが、このコロナ禍によって、世界各国で総じて大きな市場変容が起きたことは記憶に新しいでしょう。市場変容が起きれば、当然、既存のプロダクトのままでは通用しないケースも発生します。こうなると、既存の機能だけをカスタマイズするだけでなく、時にはプロダクトの意義そのものを定義しなおす決断も必要となるのです。
時代のニーズを先読みし、プロダクトの在り方から見つめなおすだけでなく、時には大胆に変革を実行する必要が出てくることを踏まえると、プロダクトの行く末を、代表して舵取りできる存在は必要不可欠といえます。
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プロダクトマネージャーの仕事内容
必要性について述べたところで、上述の役割遂行に向けた、プロダクトマネジメントの一連の流れ(仕事内容)をご紹介します。
◇プロダクトのペルソナ検討
プロダクトを立ち上げるための分析フェーズです。実現したいプロダクトの大枠イメージをもとに、市場のリサーチを行います。リサーチで収集した情報から、プロダクトを利用するであろうペルソナ(対象顧客となりうる人物像の性格・思考傾向)を洗い出します。
◇プロダクトの計画~開発
プロダクトのコンセプト立案~開発フェーズです。先ほど洗い出したペルソナが持つであろうニーズや要望に応え得る機能や仕様を考え、プロダクトの案として落とし込みます。
◇プロダクトの広告戦略設計
機能や仕様が固まったら、開発を進めると同時に、プロダクトを世に広めるための戦略も立てていきます。プロダクトの強み・弱みや差別化ポイントの洗い出しといったポジショニングや、キーメッセージや広告手段の選定など、広告的コミュニケーションの検討も当フェーズに含まれます。
◇プロダクトの評価
顧客の評価や反響を検証するフェーズです。まずはリリース前に、数値目標と達成までの期間、達成までの具体的なアクションも可視化します。リリース後は、定期的に目標を達成できているか、振り返りを行います。プロダクトの反響を可視化することで、成功した理由や反省点を洗い出すことができるため、PDCAサイクルを素早く回すうえで重要なフェーズとなります。
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プロダクトマネージャーが持つべきスキル
先項より、プロダクトマネージャーの役割範囲は多岐にわたることがお分かりいただけたかと思います。では、プロダクトマネージャーを務めるためには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。以下、4項目を挙げて解説します。
◇分析スキル
ユーザーがどのようなプロダクトを求めているかだけでなく、各施策に対して適切な数値目標を立てる意味合いから、プロダクトマネージャーには当スキルが必要です。具体的には、数値をもとにした仮説立案力に加え、数値を分析するためのツールを扱いこなすことが求められます。
◇発想力
分析の結果から、「どのようなプロダクトが必要か」や、「改善に向けた施策」のアイデアを出す力も、プロダクトマネージャーにとって不可欠です。定型的なプロダクトアイデアはすでに市場に出回っていることが多いため、起案時には、相手を説得できるだけの理論をベースにしつつ、既存の枠を超えて具現化するためのアイデアが求められます。
◇開発スキル
プロダクトの構想を寸分違わず形にするだけでなく、開発を外注するために仕様書を手掛ける観点や、仕上がった製品を技術面でフィードバックする観点を踏まえると、プロダクトマネージャー自身で開発を手掛けられる方がよいでしょう。リリース前にはプロトタイプ(試作品)を開発するケースも往々にしてあるため、そのフェーズにおいても役立ちます。
◇コミュニケーションスキル
プロダクトを実現するためには、チームメンバーやクライアント、ベンダーなど、社内外を問わず多くの関係者と連携しなければなりません。交渉や折衝、発注など、あらゆる側面でのコミュニケーションスキルが求められます。
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プロダクトマネージャーへのキャリアパス
上記のスキルを兼ねそろえた人材例として、プロダクトマネージャーに就任する前のキャリア例をご紹介します。
◇システムエンジニア・リーダー
IT業界において、高い技術力や、上流工程での経験を活かしたキャリアパス例です。マネジメント経験の有無を問わず、上流工程を経験したエンジニアは顧客のニーズを把握の上、的確に要件として落とし込む力を持ち合わせているため、市場価値の高い存在です。
◇マーケター
マーケターにはサービスや事業を戦略的に推進するスキルが備わっており、戦略立案において高いパフォーマンスを発揮します。また、マーケティング業務では各部署との連携が欠かせません。一定のコミュニケーション力が求められる点においても、即戦力として期待できる職種のひとつです。
◇商品開発・事業企画
製造業などの商品開発も、開発の一連の流れがプロダクト推進と似通っているため、親和性の高い職種です。マーケティングや情報管理に通ずる業務など、プロタクトマネージャーに必要な経験をある程度持ち合わせるだと人材といえます。
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プロダクトマネージャーの年収相場
続いて、プロダクトマネージャーを獲得するために用意しておきたい年収相場です。業種や企業規模によって異なりますが、プロダクトマネージャーの年収相場は500万円~1000万円程度と言われています。IT業界やWeb業界など、商材が市場トレンドとなっている業界であれば、プロダクトを成長させるための重要ポジションとみなされ、年収600万円~程度が相場となるようです。
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プロダクトマネージャーの市場価値
では、上述の経験やスキルを兼ねそろえ、現時点でプロダクトマネージャーの役割を務められる人材は、市場にどの程度いるのでしょうか。
経産省が2019年に発表したIT人材需給の試算(※)によると、IT人材の需要に対し、人材不足のギャップは、2018年時点で22万人に上っています。このIT人材の中には、プログラマーや運用・保守などのエンジニアも含まれていますが、総じて母数そのものが不足しており、IT人材そのものの獲得はレッドオーシャンであることが分かります。
※…出典:IT人材需給に関する調査 (経済産業省/p.2)
また上述の通り、プロダクトマネージャーに求められるスキルを持ち合わせる人材は非常に希少であり、企業同士の獲得競争は熾烈なものとなっています。もし、確実にプロダクトマネージャー足りうる優秀な人材を獲得したいのであれば、上述の年収をはじめ、相応の就労条件が必須となりますが、すぐに受け入れる体制を整えることが難しい企業も多いのではないでしょうか。
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プロダクトマネージャーの誘致を成功に導きたい時は
プロダクトマネージャーの役割や市場価値について解説しました。プロダクトマネージャーの獲得は非常に難易度が高く、現状接点を持つことに苦戦している企業も少なくありません、また、仮に接点を持てたとしても、果たして自社の現状に足りうるスペックなのか、判断に迷われるケースも往々にしてあるようです。
このような課題に見舞われた際や、自社内に専任の知識を持つ人材がおらず相談先に迷う場合、現場と密に連携しながら適切なアドバイスを送れる「第三者」への協力を仰いでみるのも、ひとつの手といえるかもしれません。
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