オンプレミスとクラウドの違いはこれ!困ったときの選び方を解説
運用手法から、セキュリティ体制構築にベンダー選定…システムを導入するうえで、担当者の検討事項は山ほどありますが、それに比例して悩みの種はなかなか尽きることがありません。
こと、導入形態として「オンプレミス」「クラウド」の選択は、もっともメジャーな課題のひとつとして挙がることも少なくないでしょう。
そこで当コラムでは、上記の課題を解決するヒントとして、オンプレミス・クラウド双方の定義から導入におけるメリット・デメリットまでをまとめて解説しました。
双方において、どのような基準でオンプレミス・クラウドを選べばよいかをケース例で紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
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オンプレミスとクラウドについて
まずは前提として、双方の定義について触れておきます。
オンプレミスとは
システム構築のための設備(サーバー、ソフトウェアなど)を自社内に保有し、運用する形態を、オンプレミスと呼びます。
元々は、オンプレミスという言葉は「構内」や「店内」などの意味を持ちますが、IT分野ではオフィスなどの施設構内に機器を設置して運用することを意味するのです。
オンプレミスは自社で管理することになるため、カスタマイズの自由度が高く、自社内で、すでに使用しているシステムとも連携を取りやすいという特徴を持ちます。
クラウドとは
オンプレミスとは反対に、自社に設備を保有せず、ネットワークを経由して運用する形態をクラウドと呼びます。
近年はコストを抑えられるという側面から、オンプレミスからクラウドに切り替える企業が増加しています。
クラウドはオンプレミスとは異なり、初めに用意する機器やシステムが少なく、コストを削減できますし、スピーディーに利用を開始することが可能です。
両者の違いは、システムを運用するうえで設備を自社に設置しているか否かにあります。
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オンプレミスの強み
オンプレミスにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
①セキュリティの安全性が高い
オンプレミスの強みとして、強固なセキュリティを実現できることが挙げられるでしょう。
オンプレミスは自社でシステムを構築するため、独自のセキュリティ機能をカスタマイズできます。
外部からの攻撃を受けにくく、情報漏えいなどの事故対策も万全です。
また、セキュリティレベルを自社で調整できるので、利用制限などの細かい調整を行いやすくなります。
セキュリティを強化したい企業や機密情報を扱っている企業は、オンプレミスの導入を継続する場合もあるでしょう。
②システムを柔軟にカスタムしやすい
オンプレミスはシステムを柔軟にカスタマイズしやすいのが特徴です。
社内システムとの連携など、自社のニーズに合わせてカスタマイズできます。
もちろん、システムをカスタマイズするには、エンジニアなどの人材とコストが必要になります。
しかし、自社にとって最適化されたシステムを実現することで、業務効率化や生産性向上を目指せる場合もあります。
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オンプレミスの弱み
それでは、オンプレミスの弱みには何が挙げられるでしょうか?
①ハードウェアを自社で設置・管理しなければならない
オンプレミスを導入するにあたって、ハードウェアを自社で設置・管理することを理解する必要があります。
ハードウェアを設置するためのスペースを設ける必要があるうえに、自社でハードウェアの管理を徹底しなくてはいけません。
また、地震や火事などの災害が発生した際、自社に設置したサーバーが影響を受けるとシステムを利用できなくなってしまいます。
このような非常事態を踏まえたうえで、自社で設置・管理できるように準備を進めることが求められ、多くの工数がかかります。
②初期費用が高い
オンプレミスは自社でサーバーやソフトウェアなどを用意する必要があるため、初期費用が高いことが懸念されます。
一般的なサーバーであれば、200万円程度はかかるうえに、セキュリティに特化したサーバーを用意する場合は500〜1000万円程度かかることも少なくありません。
加えて、オンプレミスを管理するための人件費やサーバールームの管理費など、ランニングコストも考える必要があります。
③資産管理が必要になる
オンプレミスを導入する場合、資産管理が必要になることを覚えておきましょう。
IT分野における資産管理とは、セキュリティ対策やITコンプライアンスの強化のために、自社に設置しているハードウェア・ソフトウェアを管理することです。
資産管理を徹底できていないと、わざわざ構築したシステムが悪意のあるユーザー、ウイルスによって攻撃される可能性があるうえに、機密情報の流出などの事故を引き起こす可能性があります。
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クラウドの強み
クラウドを導入するメリットは何でしょうか?ここでは、クラウドの強みを紹介します。
①費用が安く抑えられる
クラウドのメリットとして、コストを抑えられることが挙げられるでしょう。
クラウドは初期費用が無料で、低コストで利用を開始できることが多いです。
自社でシステムを構築するオンプレミスとは異なり、クラウドはITリソースを一から構築する必要がありません。
既存のシステムを利用できるので、システム構築にかかる費用や時間を節約できるのです。
クラウドを提供しているベンダーに月額費用などは支払う必要があるものの、オンプレミスと比較するとコストを抑えられます。
②導入が簡単である
システム構築に時間がかかるオンプレミスと比較すると、クラウドはスムーズに導入することができます。
既存のサービスを利用できるため、契約を結ぶなどの手続きが完了したら、すぐに利用開始することが可能です。
特にスピードが重要な市場においては、既存のシステムを利用するなどして、スピード向上を目指すことができます。
③拡張性が高い
クラウドは拡張性が高いという強みを持ちます。
拡張性とは、容量や機能性、アカウント数などを柔軟に増やせる特性のことです。
例えば、利用しているサービスの容量をアップグレードしたい場合、プランを変更するだけで容量をアップさせることができます。
企業のニーズによって管理できるので、コスト面でも有効な強みだといえます。
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クラウドの弱み
クラウドのデメリットには何が挙げられるでしょうか?ここでは、クラウドの弱みを紹介します。
自由なカスタマイズができない
自社で制限なくカスタマイズできるオンプレミスと異なり、クラウドは自由なカスタマイズができません。
決められた範囲の中でしか調整できないため、不便に感じる可能性があります。
社内にある既存のシステムと連携させることで、業務効率を大幅に上げられる場合であっても、クラウドは自由なカスタマイズができないので、従来のやり方を続けるしかありません。
このため、カスタマイズ性の高いシステムを利用したい企業は、オンプレミスを利用するとよいでしょう。
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オンプレミスとクラウドの課題解決力の比較
次に、導入時に挙がりがちな課題をもとに、双方の特徴から強み・弱みを比較してみます。
課題解決力の一覧
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イニシャルコスト
イニシャルコストでは、クラウドに軍配が上がります。
オンプレミスは設備を自社ですべて賄わなければならないため、設備の不要なクラウドと比較すると、相対的に初期投資費用は増額となります。
ランニングコスト
ランニングコストで見ても、ややクラウドの方が優勢です。
オンプレミスは一見「設備買い切りでランニングコストが安い」と思われがちですが、設備維持のコストや人件費がかかる他、サーバー環境が固定資産税として支払対象とみなされるケースもあります。
カスタマイズ性
仕様変更や機能拡張など、システム構築の自由度はオンプレミスの方が高いといえます。
クラウドはシステムの提供元が外部のため、一定数のニーズがない限り仕様を変更する事態にはなりにくいためです。
ただし、ある程度機能の大枠が固められており、その中であればカスタマイズできるクラウドサービスもあります。
セキュリティ面
設備保有が自社内で完結する分、オンプレミスの方が保護しやすい環境といえます。
もちろん、クラウドもセキュリティ面に注力しているベンダーがほとんどですので、一定の安全面は担保されています。
ただし、ネットワークが第三者側に置かれているため、外部からのウイルスやサイバー攻撃における侵入経路が相対的に増えてしまうデメリットがあります。
障害対応
災害やサーバー異変などの障害対応時を想定した場合、クラウドがやや優勢です。
重要な機能を1点に集約しないが故のメリットと言えます。
オンプレミスの場合、機能が自社に集約している分、有事の際に機材を失うこともありますし、システム担当者がすぐ対応できるとは限らず、結果として復旧が遅れるケースもあるからです。
社内システムとの連携
統合の利便性で行くなら、オンプレミスの方がよいといえます。
しかし統合作業も自社内で賄わなければならないため、自社で技術人員を保有していない場合、外注に頼らざるを得ない点は予め認識しておきましょう。
一方で、クラウドの場合はシステムによって連携に制限がかかっているケースもあるため、オンプレミスより相対的に自由度は低くなります。
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導入基準をケース別にご紹介
上記を踏まえ、オンプレミスとクラウド、双方の選定基準として、どのようなケースの場合にそれぞれを選定した方がよいかをご紹介します。
オンプレミスを推奨するケース
・大量のデータを扱う場合
サーバーに負荷のかかる作業を行う場合、オンプレミスを選択することで、クラウドよりもランニングコストを抑えられる場合があります。
たとえば大量のデータを長期にわたり保管し続けるケースや、提供するサービスの稼働率が高いケース、AIやIoT技術をシステムへ導入するケースなどは、いずれも膨大な情報量を処理しなければなりません。
そのため、クラウドを選択した場合はランニングコストもかさんでしまいます。
現状に心当たりがあれば、一度ベンダーに見積もりを依頼する方が賢明です。
・セキュリティ向上に注力したい場合
先述の通り、オンプレミスを導入した場合、セキュリティ面の構築~運用・保守まで、一貫して自社管轄となります。
そのため、アクセスやログの管理といったシステム面から、社外有識者による監査導入などといった体制強化まで、セキュリティレベルを高める取組や管理を如何様にも注力できるメリットがあります。
裏を返せば、これらの取組によって、間接的にセキュリティ面の体制構築を対外へアピールできる側面も併せ持っているといえます。
クラウドを推奨するケース
・システムにおけるコスト見直しを図りたい場合
前提、クラウドはインフラ・人員にかける運用コストと手間がかからないため、コストダウンを図れるケースは多く存在します。
中には、クラウド移行をすることで、インフラコスト削減だけでなく生産性も向上し、結果として5割以上のコストカットを図れた事例もあるようです。
もちろん、すべての企業・シチュエーションに当てはまる訳ではありませんが、システムに高度な処理スペックを求めない場合や、運用・稼働頻度がそこまで高くない場合は見積もりを検討してみてもよいでしょう。
・運用面で効率化を図りたい場合
前述の通り、運用コスト・手間を省ける点から、専門のエンジニアなどの人員を自社で保有していない場合でも、最適な人員配分を実現できるメリットがあります。
・中小規模で事業を推進したい場合
サーバーやデータセンターの設置が不要なため、オフィス内にスペースを取らないこともクラウドのメリットです。
テレワークやサテライトオフィスなど、近年の時勢でトレンドとなったスモールオフィス化とメリットが合致しており、オフィス賃貸料そのものを削減できる点も、クラウドのメリットといえます。
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結局、オンプレミスとクラウドのどちらを利用するべき?
全体ではクラウド導入がやや優勢
令和2年に総務省が発表したデータ(※)によると、クラウド利用企業の割合は「6割以上」とされており、クラウド導入がやや優勢となっています。
また、企業がクラウドを利用している理由としても、「場所、機器を選ばずに利用できるから」が 45.5%、「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」が42.3%、「災害時のバックアップとして利用できるから」が38.1% と、いずれも世相の変容に合わせてクラウドを選択している企業が多いことが分かります。
※出典:令和2年 通信利用動向調査報告書 (企業編)/総務省
ただし、クラウド導入が主流となりつつある中、クラウドを利用している企業の中には「オンプレミス回帰」、すなわち一度クラウドに移行したものの、前述で述べたオンプレミスのメリット(主にセキュリティ面など)から、再度オンプレミスに戻ることを望むケースも少なくないようです。
改めて、双方は一長一短であり、メリットがうまく合致するかは企業の状況によって異なることを念頭に置いて比較することが重要です。
オンプレミスとクラウドのハイブリッドも選択肢に
もうひとつ、近年トレンドとなっている考え方として、「ハイブリッドクラウド」という選択肢もあります。
ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウド(大衆向けに提供されているクラウドサービス)と自社のオンプレミスインフラを併用・複合して構成されたシステム環境を指します。
ハイブリッドクラウドの一例として、顧客情報などの機密情報はオンプレミスで保管し、サイト運営などオープンなデータはクラウドで運用を行うスタイルなどが挙げられます。
双方のメリットを活かしつつ、デメリットを補填できる点から、注目が高まっています。
ただし、システム構築~運用に相応の手間・技術力が必要となる他、コスト算出が複雑なため、やはりこちらも複数のベンダーにヒアリングし、相見積もりを取る方が賢明です。
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オンプレミスとクラウドの比較に迷った時は
ここまで、オンプレミスとクラウド、さらにはハイブリッドクラウドまで、3つの手段とメリット・デメリットについてご紹介しました。
現時点で、すでに導入検討の意思を固められた方もいらっしゃれば、下記の点においてつまずいている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
結局のところ、自社に合う適切な形態が分からない 複数の候補ベンダーがあるが、選定に迷う クラウド移行の意思は固まったが、人手・技術力が足りていない 上記に対する解決策として、当コラムでは専門的な知見を持つ、外部人材の意見を取り入れることを推奨します。
社内都合のしがらみを持たず、専門的な技術・知見を持ち合わせた外部から来たプロフェッショナルのアドバイスは、選定・導入を適切かつスムーズに進めるための強力なバックアップとなるでしょう。
なお、フリーランスITエンジニア専門エージェント「HiPro Tech」では、市場でも希少性の高いITコンサルタントから、現場で多数の開発経験を持つエンジニアまで、高度なIT知見を持つ専門家が多数活躍しています。
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