スクラッチ開発とは?メリット・デメリットと進め方のコツを紹介

2024.01.29 更新

スクラッチ開発とは?メリット・デメリットと進め方のコツを紹介

新しいシステムの開発が決定した際に、企業が直面する課題の一つに、開発手法の選択があります。

現在、システム開発を検討されている企業担当者様の中には、「自由度の高いスクラッチ開発を候補に考えているが、本当にスクラッチ開発で推進してもいいか不安」、「パッケージ開発との違いがいまいちわかっていない」、というお悩みを抱えている方も多いと思います。

そこで本コラムでは、スクラッチ開発の特徴からはじまり、パッケージ開発との比較における、スクラッチ開発のメリット・デメリット、開発の手順や進め方のコツなどにつき、詳しく解説していきます。

スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは、ソフトウェアやシステムを何も無い状態、ゼロから作り上げていく開発手法を指します。さらに、テンプレートやフレームワークといった開発ツールを一切用いず開発する場合は、「フルスクラッチ開発」と呼ばれ、区別されています。

スクラッチ開発とフルスクラッチ開発はいずれも、既存のプログラムやパッケージソフトを使わず、自社向けのオリジナルシステムを開発できるという点において、同じ特徴を有しています。

スクラッチ開発とパッケージ開発の違い

システム開発の開発手法は、大きくスクラッチ開発とパッケージ開発に分かれています。

パッケージ開発とは、既存のパッケージソフトを流用、または追加機能をカスタマイズの上、システム構築を進める開発手法を指しています。

上記より、市場で流通するパッケージソフトを使って開発を行うか否かが、スクラッチ開発とパッケージ開発の違いとなります。

スクラッチ開発のメリット

パッケージソフトをベースに効率的な開発を行えるパッケージ開発があるにも関わらず、企業がスクラッチ開発を選択する理由には、確かなメリットがあるからに他なりません。以下に代表的なスクラッチ開発のメリットをご紹介します。

◇独自性の高いシステム構築を行える

汎用性の高いパッケージソフトを用いるパッケージ開発の場合、ソフトの仕様上、求める機能が追加できない、または特定の動作が制限されるなど、企業が求める要件が実現できない恐れがあります。その点、一切の制限がないスクラッチ開発においては、独自性の高いシステムを構築することが可能です。

他社との差別化や市場競争力の強化、業務工数の削減を目的に、「これまでにない顧客体験を生み出せる独自性の高いシステム開発を進める必要がある」、「自社の業務フローに完全にマッチする理想のシステムを開発したい」といった場合には、スクラッチ開発は大きな利点があると言えるでしょう。

◇長期にわたり使用することができる

パッケージ開発の場合、パッケージソフトのサポート終了に伴い、システム自体が途中で使用できなくなる恐れがあります。

一方、スクラッチ開発においては、自社のシステム開発部門、または、システム開発会社へのサポート依頼を通し、必要なタイミングでシステム改修を実施できるため、長期にわたり構築したシステムを運用できる点も、メリットの一つです。

スクラッチ開発のデメリット

以下にスクラッチ開発の代表的なデメリットをご紹介します。

◇コストがかかる

スクラッチ開発の場合、どのような機能を設けるかについての要件定義からはじまり、何も無い状態から、設計・開発・運用体制を構築するため、リリースまでに多くの人員と1~3年程度の開発期間を要するのが一般的とされています。相当の人員と年月を要する分、莫大な開発コストがかかることは、スクラッチ開発の大きなデメリットです。

◇開発者やシステム開発会社選びが重要になる

スクラッチ開発はゼロから構築するため、システムの質は、開発者やシステム開発会社の力量やスキルに依存します。

求める要件定義を正確に仕様に盛り込み、破綻が無いようシステムとして具現化するには、高度な技術力とノウハウが求められるのは言うまでもありません。リリース後に障害が発生するリスクを下げるためにも、開発者やシステム開発会社の選定に注力することをおすすめします。

スクラッチ開発の手順

スクラッチ開発の手順につき、以下に解説します。

◇要件定義

要件定義は、システムに盛り込むべき機能や運用方法、予算、人員、開発期間等、開発に必要な要件を決める工程を指します。要件定義をベースに開発が進むため、スクラッチ開発において最も重要な工程であるといえます。

◇設計

設計とは、要件定義に基づきシステム設計を行い、開発準備を進める工程を指します。なお、設計は大きく外部設計と内部設計に分かれています。外部設計は操作画面や操作方法・データの出力画面といった、ユーザーに向けた仕様部分の設計であり、システムの使いやすさはここで決まります。

内部設計では、システム内部の機能やデータの詳細を設計します。外部設計とは異なり、内部設計は次工程にあるプログラミングや稼働後のメンテナンスがしやすくなるよう、ユーザーに見えない部分の設計を指します。

◇開発

前段の設計内容に基づき、プログラミングを行い、求める機能を実装します。

◇テスト

開発終了後は、システムの要件定義を満たしているか、想定通りの動きをするか、単体/結合/総合/運用テストの順で、段階的にチェックします。

◇保守・運用

開発したシステムを継続的に活用するためには、常にシステムを監視する必要があります。またシステムをより良い状態に保つためにも、定期的なアップデートをはじめとする、保守・運用は欠かせません。保守・運用を外注する場合はもちろん有償となるため、契約時の段階でしっかり内容を確認するようにしましょう。

スクラッチ開発の進め方のコツ

スクラッチ開発の成功に向け、進め方のコツや認識すべきポイントにつき、以下にご紹介します。

◇スクラッチ開発は時代遅れという認識は間違い

近年、市場では豊富なパッケージ製品が流通し、標準機能も向上していることから、スクラッチ開発の存在感が薄れてきている点は否めないでしょう。ただ、スクラッチ開発が時代遅れかというと、そうではありません。

なぜなら、求めるすべての要件がパッケージ開発で満たせる場合であっても、要件定義を固めていく過程で機能追加の必要性が次から次へと発覚し、カスタマイズの難易度が高い場合、想定以上にカスタマイズ費用や保守費用を要してしまうケースがあるためです。カスタマイズを繰り返した結果、スクラッチ開発以上に費用を要してしまうケースも十分に考えられます。

また、前述の通り、独自性の高いシステム構築や長期間の使用が見込まれる場合、パッケージ開発よりもスクラッチ開発の方が導入メリットは大きくなります。世間の誤った認識に流されることなく、双方のメリット・デメリットを見極めた上で、自社に適した開発手法を選択するよう心がけましょう。

◇クラウド型開発との比較も必要

近年、システム開発の手法として、クラウド型開発の需要が伸びています。クラウド型開発もスクラッチ/パッケージ開発同様、メリット・デメリットがあるため、開発手法の選択に際し、特徴をしっかり理解することが大切です。

・クラウド型開発のメリット

メリットは、インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも利用可能な点です。併せて、標準機能がすでに実装されているため、初期コストを抑えられる点は、パッケージ開発同様、大きなメリットとなります。また、アクセス障害などのトラブルが生じた場合も、復旧作業はベンダー側が実施するため、運用に際し専門知識を持った社員を確保する必要がなく、セキュリティ面の恩恵も期待できる点も魅力です。

・クラウド型開発のデメリット

デメリットは、個別にカスタマイズできる製品仕様ではない場合が多く、スクラッチ開発およびパッケージ開発と比較し、自社向けにカスタマイズしづらい点です。また、既存の社内システムと連携できるか否かは、利用するクラウドサービスによって異なるため、事前に社内システムとの連携の確認が必要な点もデメリットとなります。

まとめ

本コラムでは、システムの開発手法は大きくスクラッチ開発とパッケージ開発に分かれ、それぞれに一長一短があること、また、スクラッチ開発の手順などにつき、詳しく解説しました。

ここまでお読みになり、スクラッチ開発の特徴および導入までの流れをイメージできた方も多いのではないでしょうか。

しかし、スクラッチ開発に際し、開発者やシステム開発会社の選定に失敗した場合、開発スケジュールの遅れやリリース後の障害などが発生し、事業に多大な悪影響を及ぼす恐れがあることは前述の通りです。

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執筆監修者

記事監修

野村 鉄平

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

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