ERP導入における失敗から見るプロジェクト体制づくりのポイント

2024.01.29 更新

ERP導入における失敗から見るプロジェクト体制づくりのポイント

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DXが後押しとなり、近年ERPシステム(総合基幹業務システム)の導入に注目が集まっています。ERPシステムの導入は、生産性の向上・経営の迅速化といったメリットがあるため、注目が集まるのは頷けますが、しかしその一方で導入に失敗する企業数も少なくありません。

では導入に失敗した原因はなんだったのでしょうか。本コラムではよくある失敗を例に挙げながら、ERPシステム導入成功に欠かせないプロジェクトチームの体制づくりについて解説していきます。ERPシステム導入をご検討中の方は、ぜひご覧ください。

ERPシステム導入のよくある失敗

まずは、失敗事例を二つご紹介します。

◇使いにくいシステムを導入し浸透しなかった

システムを使用する機会が多いのは現場にいる社員のため、社員が使いやすいと感じるかどうかを考慮しなければなりません。ERPシステム導入には生産性向上といった大きなメリットがありますが、このメリットが得られるのはシステムが組織に十分に浸透した場合です。社員の使いやすさを無視すれば、導入しても活用されず失敗に終わってしまいます。

◇導入後にコストが増大した

ERPパッケージの選定をカタログスペックだけでしてしまったり、システム導入をベンダーに丸投げしてしまったりすると、導入後に「機能が業務と合わなかった」「○○の機能が足りない」といった問題が発生することがあります。追加カスタマイズに予想以上の費用がかかったケースのほか、追加カスタマイズでは対応しきれずリプレイスするといった失敗事例もありますので注意が必要です。

ERPシステム導入失敗の原因とは

上記の二例を含め、ERPシステム導入失敗の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

◇目的・ゴールを明確にできていない

原因の一つは、導入の目的・ゴールが明確になっていないことです。ERPシステムに限ったことではありませんが、システム導入の成功には「なぜシステムを導入するのか(目的)」「何を解決したいのか(ゴール)」を明確にすることが欠かせません。明確になっていないと、正しいパッケージの選定や要件定義といったシステム導入の軸を固められず、失敗を引き起こします。まずは現状の課題を整理し、そこから目的・ゴールを考えていきましょう。

◇プロジェクトチームの体制が整っていない

二つ目はプロジェクトチームの体制が整っていないことが挙げられます。システム導入の際は導入企業側でもプロジェクトチームを立てるべきですが、旗振り役がいないなど体制が整っていないと、部門間で対立したり逆に互いが遠慮して意見を言い合えなかったりといった問題が生じます。関係者を巻き込み調整するスキルを持ったプロジェクトリーダーを立てるなど、チームに必要な役割を理解し体制を整えることが重要です。

◇プロジェクトメンバーの負荷が高い

三つ目はプロジェクトメンバーの状況を把握していないことです。メンバーの多くは通常業務を行いながらプロジェクトに参加します。ベンダーなどからサポートは受けられるものの負荷が高くなることは避けられません。そこを考慮せずに導入スケジュールを立ててしまうと、必要なタイミングで必要な話し合いができない、共有漏れが生じるといったトラブルの種を生みやすくなります。負荷を考慮したスケジュールを設定していくことが必要です。

失敗を引き起こす原因の多くは事前に準備・調整することで避けられる可能性があります。プロジェクト開始前から社内準備を進めておくことが重要です。

プロジェクトチームづくり

先述の通り、システム導入に失敗する原因の一つにプロジェクトチームの体制が整っていないことが挙げられます。逆を言えばチーム体制が整っていれば導入成功に一歩近づくということです。ではERPシステム導入の際、プロジェクトチームにはどのような役割が必要なのでしょうか。チームづくりのポイントと併せて解説します。

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◇システム導入に必要な役割

・責任者

全体の進捗管理のほか、想定外の事項が発生した際の対応などを行い、導入プロジェクトの責任を持つ役割です。会社の重要事項の決定権を持つ役員などが担当するケースが多いです。

・プロジェクトリーダー

現場の責任者、そしてプロジェクトの中心人物として導入を推進する役割です。具体的には各部署やベンダーとの連絡、各業務の進捗管理などを行います。ITスキルのほか各部門の意見などを調整できるスキルが求められます。

・ERPのモジュール(各機能)の担当者

モジュールの担当者の選定は、モジュール単位でアサインされるケースと、部署にシステムを浸透させる責任者としてアサインされるケースがあります。後者の場合は現場の要望を出したりERPの仕様や運用を決めたりするなど、部署の業務責任者としての役割を果たします。

◇プロジェクトチームづくりのポイント

主要の役割が分かったら、さらに下記三点を押さえると、ERPシステム導入の成功率をより高めるでしょう。

・現場担当者をプロジェクトにアサインする

実際にシステムを使用する機会が多いのは現場にいる社員です。現場の要望が反映されていないERPシステムでは、業務と合っていない・使い勝手が悪い・やらされている感があるといった問題が発生する可能性も拭えません。現場を知る人物がモジュールの担当者などとして積極的に導入に携わっていくことで、現場への浸透も進むでしょう。

・経営トップがチェックする機会を設ける

現場の要望を反映させていくことは重要です。しかし一方で現場の声ばかりを聞いていると、全体最適の意識が失われプロジェクトが本来の方向性からずれることがあります。一度大きくずれてしまうと軌道修正は容易ではありません。そのため俯瞰した視点で判断できる経営トップなどが、定期的にチェックできる体制をつくるのが望ましいでしょう。

・スキルの高い人材を確保する

プロジェクトチームの全員がITのプロフェッショナルである必要はありませんが、プロジェクトリーダーをはじめ各ポイントで高いITスキルを持つ人材を確保しておくべきでしょう。高いITスキルを持つ人材がいることでベンダーとのやりとりがスムーズになったり、専門的な視点をもって現場の意見をシステムに反映したりと、プロジェクト推進に大きな力を発揮します。もし社内にIT人材が不足している場合は、外部人材の活用も視野に入れましょう。多少コストはかかりますが、システム導入に失敗したときの損害を思えば必要経費と考えられるはずです。

まとめ

ERPシステム導入失敗の原因には、システム導入の目的・ゴールが明確になっていないなどが挙げられます。導入成功にはプロジェクトチームの体制づくりが重要であり、具体的にはIT人材、現場担当者、経営トップなどをアサインしていくことが求められます。特に、高いITスキルを持つ人材はプロジェクトを推進する大きな力を持っているため確保が欠かせないでしょう。

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執筆監修者

記事監修

野村 鉄平

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

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