ERPシステム導入で抑えておきたいポイント ~導入の流れやメリットをご紹介~
「ERP」かつて業務改革の要として認知が波及したシステムであり、存在自体はご存じの人も多いでしょう。
しかし同時に、「結局、導入は失敗だった」「煩雑でうまく扱いこなせない」 当時そんな声が広がったことも相まって、ERPの導入に乗り遅れたまま時が過ぎ、焦りを覚える人もいらっしゃるのではないでしょうか。
企業側にもスピーディーな成長が求められ、デジタル推進が広がる今、ERP導入は避けては通れない道となりつつあります。
そこで当コラムは、ERP導入のステップから、導入時の留意点を解説していきます。
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ERPとは?
本来の意味は「企業資源計画」として訳されていましたが、現在は企業資源(人・物・資金・情報)や、それにまつわる情報を一元化して管理できるシステムの名称として認識されています。
経営活動におけるPDCAを回すためには、各部署がきちんと機能しているかどうかを総合的にとらえることが欠かせません。
その分析フェーズにおいて、最大のパフォーマンスを発揮するのがERPなのです。
基幹システムとの違い
ERPと混同されやすいワードとして、「基幹システム」が挙げられます。
平たくいえば、基幹システムは業務の負担軽減を目指して導入されるものであり、機能面だけをピックアップすると似通ったニュアンスで捉えられがちですが、両者には決定的な違いがあります。
それは「利用目的」です。
ERPは戦略立案の材料や内部統制といった、企業や事業の「成長・拡大」を目的として利用されるのに対し、基幹システムは業務の「利便化・効率化」を図る目的で利用されます。
システム導入を検討される時の判断軸として、認識しておくとよいでしょう。
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ERPの導入方法の選択肢は?
ERP導入にあたって、選択肢は大きく3つあります。
専門の企業に委託する
企業に委託して、ERPコンサルタントの力を借りる方法です。
ただし、注意するべき点として、企業の知名度のみで選ぶのではなくて、プロジェクトの成功には、担当するERPコンサルタントの力量が大きく関わるということです。
ERPシステムの導入の可否にはプロジェクトリーダーの力量が大きく関わります。
そこで、プロジェクトリーダーと相性が良く、力量を持った個人とで出会えるかどうかが、成功に繋がります。
個人(フリーランス)に委託する
ERPの案件を受注するフリーランスであれば、ERPシステムの導入経験があったり、ERPに特化した能力を持っていたりすることが考えられます。
前述したように、ERPシステムの導入には個人単位での力量が重要になってくるため、優れたスキルを持ったフリーランスに委託することは導入の成功に繋がるでしょう。
自分で行う
本や動画などの知識を用いて、自分で導入するという方法も存在します。
しかし、未経験だと非現実的です。
ある程度のIT知識が必要であり、工数がかかってしまいます。
また、経験があることでより理想に近い形で導入ができるため、専門としている人の力を借りることが効率的だと考えられます。
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ERPシステムの導入の流れ(プロセス)
以降では、実際に導入が決定した時の流れや、導入時に留意すべきポイントを解説します。
① ERPの導入目的、解決したい課題を明確化する
ERPが導入損とならないための、もっとも大切なフェーズです。
中長期的な経営戦略をもとに、「経営戦略を実現するために、現状のシステムでは何が足りないのか」を洗い出します。
単純に各業務の生産性を上げたいだけなのか、はたまた基幹系システムの散在による作業ロスを削減したいのか…企業によって課題はさまざまですが、いずれにしても「ERP導入によって、どの課題が解決されるのか」を具現化させることが不可欠です。
② 目的・課題に合ったERP・ベンダーを選定する
①で洗い出した課題に対して、どのERPなら解消できるか、また導入の委託パートナーとなるベンダーを選定します(自社内で導入検討を完結させることも不可能ではありませんが、専門技術を持つベンダーに依頼を行う方が現実的です)。
検討材料となるのは、各ベンダーの自社サイトや資料ですが、判断が難しい場合、比較サイトの力を借りるのもよいでしょう。
併せて、どのERP製品が自社に合っているかを相談しながらすり合わせます。
③ 社内調整・環境整備
ERPは多くの部署に影響をもたらすシステムのため、社内への導入周知も忘れずに行いましょう。
導入スケジュールや、少なからず業務フロー・マニュアルを整備しなおす必要も出てきますので、各部署のリーダーとの連携や認識のすり合わせも成功へのステップとなります。
④ システム導入(要件定義~設計~開発)
社内外双方で導入の準備が整ったら、いよいよERPの導入フェーズに入ります。
②ですり合わせたERP製品の機能の内、どの機能がフィットするか、またどの機能が不要かをベンダーと精査した後、開発設計を依頼します。
⑤ リリース・運用
システム開発が完了したら、いよいよリリースです。
問題なく業務で活用できるかだけでなく、はじめてのシステム操作に慣れない従業員も出てくることを想定し、事前説明やリリース後のトラブル対応を行える体制を整えておきましょう。
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ERPシステムの導入時に注意点すべき点
自社の業務に適切な製品・導入形態を選ぶ
先人が「ERP導入に失敗した」と語る背景のひとつに、「導入して終わり(運用がうまくいかない)」となってしまったケースがあります。
ERPの機能が自社の業務に合わず、運用に失敗し、結果として導入損となってしまったパターンです。
先項「ERPシステムの導入の流れ」1・2で解説した通り、企画段階での認識すり合わせがカギとなります。
導入費用に対しての利益・効果を考える
ERPは多機能の分、導入しても使いこなせず終わってしまう機能もあります。
「導入によって現状とどの程度コストに開きがあるか」「本当にERPを導入するのが適なのか(特化型の業務システムと比較した時にどの程度リターンの開きがあるか)」の2軸を基準に、試算を行っておく方が賢明です。
セキュリティ面の確認を徹底する
ERPには重要な情報が集約されている分、狙われた際には一挙に漏洩するリスクがあります。
外部からのサイバー攻撃、ウイルス感染に気を配るだけではなく、社内のセキュリティに対する意識も啓蒙しなければなりません。
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中小企業のERP導入メリット・デメリット
「ERP導入は大企業や、資金源のある企業が行うこと」…そんなイメージをお持ちの人もいらっしゃるでしょう。
しかし最近では、比較的導入コストが安価な「クラウド型(インターネット経由で利用できるサービス形態)」のERPが主流となってきていることもあり、一昔前と比べると導入のハードルは下がりつつあります。
ここで、ERP導入時の検討材料として、導入によって何が変わるのか(メリット)、また、留意しておくべき点(デメリット)をご紹介します。
ERPシステムを導入するメリット
○ 情報の一元管理化を可能に
経営に欠かせない情報をリアルタイムでまとめて掌握できる分、社内連携がスムーズとなり、サプライチェーンマネジメントの向上や、的確な経営戦略立案の後押しとなります。
○ 業務の効率化を実現
アナログ作業による負担が減り、ヒューマンエラーによる工数やロスの削減が期待されます。
また、結果として生産性向上にもつながります。
○ 人件費の削減、人材不足の解消
個々のシステムごとに、運用にかかる人件費をカットできるほか、人員リソースの最適配置も図れます。
ERPシステムを導入するデメリット
○ 独自性の高い業務とERPのミスマッチ
パッケージ型(機能と仕様が予め決まっている既製品)のERPを導入した場合、中小企業ならではのニッチな事業特性や柔軟性とかみ合わず、導入後にカスタマイズを余儀なくされるケースもあります。
先項「ERPシステムの導入時に注意点すべき点」同様、回避するためには、企画段階での入念なすり合わせが必要です。
○ 導入後の業務フロー変更
ERPは、さまざまな不便を改善する反面、必然と慣習化していた業務フローの変更に迫られるケースも発生します。
ERPの操作に慣れるまでの不便さも加えると、ある種のデメリットとなります。
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ERPの導入が失敗するよくある原因
IT人材の不足
ERPの導入を推進する人物には多くの能力が要求されます。
必要な能力は以下のようなものです。
- 財務会計、販売管理、購買管理、在庫管理、生産管理などの業務知識
- 情報ネットワーク、データベースなどIT全般の技術知識、経験
- 全社的なプロジェクト推進体制の構築能力
- 強力なリーダーシップ
- 経営のトップ層や現場のキーパーソンとのコミュニケーション能力
- 現状の業務分析、業務システムの再構築に必要な業務改革、部門間の調整能力
- 予算と実績の差異を管理し、予算内に抑えるコスト意識
- ERPの導入に関する深い理解
これらの能力を全て備える人材は数少ないです。
ただでさえIT人材は不足しているため、ERPに対応できる人材となるとさらに限られるでしょう。
ERPに関する知識不足
先述したERPの導入に必要な能力の中でも、ERPの導入に関する知識以外であれば兼ね備えている人も少なくないかもしれません。
しかし、ERPの導入及び、入れ替えの必要性は5年に1度程度の頻度となっているため、ERPの導入を体験している人は数少ないでしょう。
このため、ERPの導入に関して深い理解を持った人はごく少数となっています。
また、これら全て条件を満たしていたとしても、必ず成功するとは限りません。
これらの条件は失敗しないために最低限必要なものと言えるでしょう。
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ERP導入コンサルタントとは?
ERP導入コンサルタントの役割
ERP導入コンサルタントとは、ERPの考え方を企業に導入し、実際に取り組むためのサポートを行う役割を持ちます。
○ 課題分析
まず、なぜERPを導入したいと考えたのか、導入することでどのようなメリットが得られるのかを考えることからはじまります。
現在抱えている経営課題を解析することで、ERPシステムの導入で課題が解決できるか、必要性について分析することが可能です。
○ ERPの設計計画
つづいてERPの設計計画を行います。
課題分析によって見つけられた課題について、ERPシステムを用いることで解決できることを明確にして、ERPシステムの導入やシステムを用いた開発の計画を進めます。
○ ERP開発・導入をまとめる
課題を発見し、開発の計画が立てば、あとは開発から導入までをまとめます。
すでに導入されているシステムの切り替えや、ERP導入コンサルタントを中心としてプロジェクトチームの設置を行うなど、円滑にERPシステムを導入できるように連携します。
課題によってもどのようなERPシステムを用いるかが変わるため、課題に対して適切なシステムの開発、導入を進め、まとめます。
○ ERPの運用支援
ERP導入コンサルタントの仕事はシステムを導入したら終わりではありません。
システムを導入したあともメンテナンスやシステムのアップデートや改善などのサポートを続けます。
ERPシステムはただ導入したのではなく、解決したい課題があって導入されるため、課題解決のためのサポートに尽力することが役割だと言えるでしょう。
ERP導入コンサルタントと契約するメリット
○ 客観的なアドバイスがもらえる
人や資金、企業が持つ情報などの経営資産をどの程度持っているのかを把握することは、経営戦略を立てるうえでは重要です。
その時に、客観的な目線から把握するために外部の人に力を借りることが効果的だと考えられます。
そこで、客観的な情報から判断に繋げることができる、業界に関する知識を持つ外部の人間であるERP導入コンサルタントの力を借りることは有効だと言えるでしょう。
○ IT・ERPの専門知識がある
企業経営にはERPだけではなく、ITに関わる全般的な知識が必要となっています。
ERP導入コンサルタントは、ERPシステムの知識だけではなく、既存のシステムに関する知識などITに関する幅広い知識を持っています。
このため、ERPコンサルタントを活用することで、企業経営に必要なシステムに関する全般的な知識を身に付けることができるでしょう。
○ 契約によって運用までしてもらえる
契約によりますが、ERPシステムを導入した後やシステム運用やメンテナンスなどの導入後サポートでも、ERP契約コンサルティングの力を借りることができるでしょう。
ERPに関する知識を持つ人が社内にいない場合は、サポートの必要性が高いと言えるでしょう。
ERP導入コンサルタントと契約するデメリット
○ コンサルティング費用が発生する
ERPの導入には、サーバーの構築費用や初期ソフトウェアの購入費用、データ移行費用などさまざまな費用が発生し、合計すると数千万円規模の費用がかかることもあります。
さらに、導入後にはサーバーやネットワークを管理するための人件費や、バージョンアップ、カスタマイズなどの追加コストがかかるケースも存在します。
このように、必要な費用が多い中で、コンサルティング費用を追加で用意することは、会社によっては負担が大きいでしょう。
○ 自社に寄り添ってくれない場合がある
コンサルタントはERPを導入するための一般的な方法で指導してくれますが、会社ごとに合わせた適切な方法でサポートをしてくれないケースもあります。
一方で、コンサルタントではなくフリーランスのサポートを受ける場合であれば、ヒアリングを通して自社に合わせたオーダーメイドのERPを開発・導入が期待できるでしょう。
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まとめ
うまく導入すれば、大きく企業競争力向上に貢献するERPですが、失敗した場合の影響が大きいこともまた事実。
とくに当コラムでは、成功と失敗を分けるうえで最低限の情報をお伝えしましたが、やはり導入にあたっては、ニュートラルに自社を診断できる、第三者の目線がほしいものです。
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