ERPパッケージを選ぶときのポイントを解説 ~メリット・デメリットやスクラッチとの違いを紹介~
ERPは本来「企業資源計画」と訳されますが、現在では経営の基幹業務を統合的に管理するためのシステムとして認識されています。
「情報を一元管理できる」「生産性向上を図れる」「適切な戦略立案を後押しする」…など、導入によって受けられるメリットが大きいほか、最近では低安価なSaaS型(クラウドサービス)ERPの認知・波及も広まっており、大企業・中小企業問わず、個別の基幹システムからERPに切り替えを検討中の企業も少なくありません。
当コラムでは、まさに今ERP導入の波に乗ろうとされている方に向けて、「パッケージ型」ERP(以下、ERPパッケージ)のメリット・デメリットから、「スクラッチ型」ERPとの違いまでをご紹介します。
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前提:ERPパッケージとは?
「ERPパッケージ」とは、すでに一定の機能が備わった「既製品」を意味します。「販売前に予めカスタマイズされたERP製品」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
ERPパッケージの特性は、主に「導入期間」「コスト」「カスタマイズ性」の3軸で量ることができます。下記からは、ERPパッケージを選択するメリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。
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ERPをパッケージで活用するメリット
まずは、パッケージのメリットからご紹介します。結論としては、導入の手間・負担が少ないことが特長です。
導入期間が短め
先述した「導入期間」の観点で、ERPパッケージは大変優れています。多くのERPパッケージは、想定されるユーザーごとの特性(例:「特定の業界向け」「大企業・中小企業向け」など)を考慮してつくられており、ある程度汎用的な機能を備え付けています。カスタマイズを求めない限り、導入後に即活用できるメリットがあります。
初期費用を削減することができる
先項と同じく、ERPパッケージには一定の機能が備わっているため、過度なカスタマイズを行う必要がありません。その分の初期費用を安く抑えることができます。
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ERPをパッケージで活用するデメリット
次はデメリットです。後述の「スクラッチ型」と比較すると、相対的に長期的利用で不便が生じる可能性があります。
自社に合わせた改修/カスタマイズが必要
機能が一定固定されている分、ピンポイントの課題には対応しきれず、カスタマイズを必要とするケースや、導入直前までは機能面では問題ないと思っていても、いざ使い始めると機能追加が必要となるケースもあります。
ランニングコストがかかる
ERPパッケージの場合、一般的にはパッケージベンダーからライセンス料を定額で支払い利用する流れとなります。他、依頼したベンダーによっては導入サポート料の負担が大半を占めるケースも多くあります。
また、実際に運用してみると、追加で機能がほしくなるケースや、必要だと思っていたが扱いこなせない機能が出てくるケースもあります。利用後のミスマッチが発覚した際、機能変更に伴う費用がかかるリスクがあることも、一定覚悟しておかなければなりません。
独自性・専門性の高い業務には対応していない可能性がある
ある程度、機能が固定されている分、ニッチな領域の業務には対応しきれません。追加でアドオン(機能拡張)を行うか、パッケージの機能そのものをカスタマイズする必要があります。
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ERPパッケージを選ぶときのポイント
以降の項目を読んでいただく前に、大前提としてご認識いただきたいのは、「現場の声をくみ取ること」です。
導入にあたっては、決裁権を持つ経営層やマネジメント陣だけでことを進めがちですが、実際のERPユーザーはあくまで現場側です。上層部ではよかれと思った判断も、実は現場にとっての需要がなく、結果としてERPをうまく扱いこなせないリスクや、現場側との関係に軋轢が入るリスクも十分考えられます。
こうした事態を避けるために、随時ERP推進の進捗を共有し、双方の合意形成を取っておく。これこそが、ERP推進を成功させるためのカギとなります。
以上を踏まえて、ERPパッケージ選定時のポイントをご紹介します。
現状の課題から、求める機能を明確にする
ERP導入における、もっとも重要なポイントといっても過言ではありません。ERPによって、付随する機能は異なります。自社の業務課題を改めて洗い出し、目指すゴールと比較した際、現状のシステムでは何が足らないのか、ERPの導入によって本当に課題を解消できるのかを検討する必要があります。
業務内容とERPパッケージの適合性を確認する
ERPの機能には汎用的なものが多いですが、課題解消の粒度も相応です。とりわけ業務に独自性が求められる場合、その分独自性に対応できる機能も希少となります。どうしても求める機能が見つからない場合は、ERPパッケージのアドオン、カスタマイズも視野に入れて検討しましょう。
シェア率を確認する
実績と信頼度を示す材料のひとつが「シェア率」です。比較材料として、各社の製品HPや資料を参考に検討を進める他、シェアランキングをまとめたサイトを参照するのもひとつの手です。
相見積もりを取り、比較する
求める機能面によって初期費用にも変動が出るほか、先項での「ランニングコスト」でもパッケージごとに差が開きます。
デモやトライアルが可能か確認する
パッケージの中には、デモ操作できる製品や、導入前にトライアルで使用できる製品もあります。できる限り活用し、導入イメージを膨らませておくことも、ミスマッチを防ぐ一手となります。
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スクラッチとの比較
ERPの中で、パッケージと対となる製品が、オーダーメイドで機能を構築する「スクラッチ」です。パッケージと比較すると「カスタマイズ性」に優れており、下記のメリットがもたらされます。
自社の要求に対応しやすい
独自性の高い業務では、汎用的な機能だけでは賄えないケースも少なくありません。粒度の高い要求に合わせて、ゼロから機能をフィックスできる強みがあります。
予め運用面を考慮した開発が可能
パッケージの場合、製品の仕様に合わせて利用者が適応していくのに対し、スクラッチは予め解消したい課題にフィットしたシステムを作り上げます。相対的に見ると、運用面での負担を削減できる余地があります。
ランニングコストがパッケージよりもかからない
パッケージと比較し、年間ライセンス料などのランニングコストは削減できるケースが多い他、機能拡張やシステム改善の際も柔軟に変更が効く分、安くコストを抑えられる傾向にあります。
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ERP導入には、プロの技術を
導入に手間のかからないパッケージ製品、長期的利用でパフォーマンスを発揮するスクラッチ製品。まずは自社に合うERPがどちらかを見極めたうえで、各製品を比較する流れが堅実です。
また、スペック面がある程度固まったら、「導入後のフォロー体制」「自社の希望を適切にくみ取ってくれるか」など、開発社やERPベンダー側の定性面も忘れずに見極めましょう。
さて、今回はERPの導入を検討されている方向けに、選定ポイントをご紹介しましたが、「導入を独学だけで進めるには、少し心もとない」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで覚えておきたいのは、「フリーランス」や「コンサル企業」など、外部の目と知見を借りること。自社内だけで検討すると、先入観で判断を進めてしまうリスクもあるため、ぜひ抑えておきたいポイントです。
なお、フリーランスITエンジニア専門エージェント「HiPro Tech」では、企画~選定~現場導入などの各フェーズごとに、実働型で課題を解決できる、優秀なIT人材が多数登録しています。
自社の課題について洗い出したい時や、どのパッケージを選定すべきか迷ったとき…当サービスがあなたのお力となることでしょう。少しでも興味をお持ちいただけましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。