RPA開発の手順や費用相場、自社開発と外部委託の違いなどについて

2024.01.29 更新

RPA開発の手順や費用相場、自社開発と外部委託の違いなどについて

総務省のレポート(※1)では、RPAを導入または導入を検討している国内企業の割合は39.5%とすでに多くの企業がRPAの導入を進めており、2025年までの間に事務的業務の3分の1がRPAに置き換わる可能性があることを伝えています。

また、政府は2020年12月、RPAなどを用いた「デジタル・ガバメントの実行計画」(※2を閣議決定したことで、地方公共団体における業務効率化の推進は、国家の重点施策となりました。

今後、官民問わず、RPAのさらなる普及が見込まれる中、RPA導入を検討・推進している企業担当者様も多いのではないでしょうか。

ただし、求める自動化業務のレベルが高く、自社向けにRPA開発を検討されている方の中には、「そもそもRPA開発の手順、手法がわかっていない」「自社開発か外部ベンダーへの開発委託、どちらで進めるべきかわからない」といった不安を抱えている方も多いと思います。

そこで本コラムでは、RPA開発の手順からはじまり、RPAの開発手法や開発にかかる費用、自社開発と開発委託の差異につき、詳しく解説します。

【出展】
※1「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」(総務省)
※2「自治体におけるRPA導入のすすめ」(総務省)

RPA開発の手順

RPA開発時の手順・流れにつき、ご紹介します。

◇開発目的を整理し、明確化する

最適な開発手法を選択するためには、はじめに開発目的を整理し、明確化する必要があります。仮に、「人的リソースを有効活用し、働き方改革などを推進すること」が開発の主目的なのであれば、高度なRPA発が想定されるため、知見を有した外部ベンダーに開発を依頼した方がいいかもしれません。

反面、「自動化したい業務が小規模かつ社内にエンジニアがおり、費用をかけずに開発すること」が主目的なのであれば、自社開発が第一候補となるはずです。

優先度が高い開発目的につき、会社の経営陣や導入部署担当者との協議を重ねた上で、明らかにしておきましょう。

◇自動化する業務を決定する

開発目的が整理・明確化した後には、RPAで自動化する業務の決定が欠かせません。なぜなら、自動化する業務の難易度や規模感の大きさなどにより、開発手法が決定し、開発費用や期間が大きく異なってくるためです。

◇業務フローを可視化する

自動化する業務が決まった後には、業務フローを可視化します。RPAは、シナリオと呼ばれる作業手順に沿って自動化業務を行うため、業務フローの可視化は不可欠です。

その際、矢印を用いたフローチャート式のプロセスマップを作成すると、業務フローが可視化しやすく、RPAで自動化する業務範囲の抽出がより容易になるのでおすすめです。

◇RPAの運用ルールを用意する

PCのアップデートなどで、開発時の作業手順が導入後に変更された場合、RPAは指定された処理を行えず、エラーが発生する恐れがあります。

迅速な復旧作業を行うためにも、障害発生を想定した復旧ガイド、運用ルールの用意は欠かせません。

◇RPAを開発する

RPAの開発方法は、「自社開発」か「外部ベンダーへの開発委託」の2つに分かれます。自社開発は、導入後のメンテナンスや改修作業をすぐに行えるメリットがありますが、開発担当者のスキルが乏しい場合、導入後のエラー発生頻度が高まる危険性があります。

一方、外部ベンダーへの開発依頼は、絶対に止めることのできないコア業務の自動化などに向いていますが、自社開発と比較し、イニシャルコストがかさみます。

双方のメリット・デメリットの詳細については、後段で詳しく解説します。比較検討した上で、開発方法を決定しましょう。

◇動作テストを実施する

開発したRPAが適切に作動するよう、導入前の動作テストは欠かせません。作業手順の設定に漏れがないか、再度綿密を確認しましょう。

◇RPAの運用を開始する

RPAは開発して終わりではありません。開発・導入したRPAが、期待通りの業務効率化や生産性向上に寄与しているかにつき、定期的な効果測定は不可欠です。

そのためRPAの開発・導入後は、開発方法問わず、運用計画を予め用意しておきましょう。

RPAの開発手法

自動化する業務の規模感などにより、RPAの開発手法は、「簡易型」と「開発型」の2つに分かれます。

◇簡易型

簡易型は、「画面操作記録型」とも呼ばれる開発手法であり、社員が普段通りにパソコン上で作業するだけで、RPAがその動作を記録でき、自動化できる点が特徴です。

簡易型は、基本的にシンプルな作業の自動化に用いられますが、記録した動作内容にカスタマイズも行えるため、複雑な作業も設定可能です。小規模な業務の自動化を想定しているケースであれば、簡易型の開発手法が適しているといえるでしょう。

なかでも『WinActor』は代表的なRPAツールであり、プログラミングスキルがなくともRPA開発ができるため、市場で人気を集めています。

◇開発型

開発型は、「コーディング型」とも呼ばれ、主に複雑かつ高度な作業の自動化に用いられる開発手法です。数百、数千人規模の企業で、RPAの全社運用を予定しているケースなどでは、開発型が多く用いられる傾向にあります。

開発型の開発時には、RPAに機能として組み込まれている、さまざまなコマンドを組み合わせて業務フロー図を作成し、RPAを動作させるシナリオを構築します。ただし、備わっているコマンドの組み合わせだけでは実現化できない複雑かつ高度なシナリオの場合、プログラミングにより、求める機能を追加する必要が発生します。

高度な追加機能のプログラミングには、C言語やJavaといった開発言語スキルを持つITエンジニアが不可欠であり、人材が不足している場合、外部ベンダーに開発を依頼することになります。

RPAの開発にかかる費用

RPAの開発には、初期費用(イニシャルコスト)と運用・保守費用(ランニングコスト)が発生します。前述した開発手法に沿って、費用相場をご紹介しますので、目安の一つとしてご参照ください。

◇初期費用

初期費用は、ライセンス費用と開発費用に分かれます。

・ライセンス費用

ライセンス費用は、RPAツールの購入価格を指します。一般的にRPAツールのライセンス費用は年額制であり、数十万円~数百万円が費用相場といわれています。

なお、「簡易型」の開発手法においては、パッケージタイプのRPAツールをインストールの上、開発を行うため、RPAの導入形態(クラウド型/オンプレミス型)によって費用が異なります。

・開発費用

開発型の場合、自社の環境や関連システムの連携を考慮し、要件定義から開発を行うため、簡易型と比べて、多くの費用が発生します。開発型の費用相場は、数百万円~数千万円といわれています。

開発を内製するか、外注するかによっても費用は変動するため、それぞれの費用発生の仕組みなどについて理解を深めましょう。

<開発を内製する場合>

RPAに知見を有した自社のITエンジニア1名を活用し、RPAをアジャイル開発などで内製する場合、一般的に「エンジニアの合計作業時間×時間当たりの人件費」が内製にかかる費用といわれています。

なお、自社のエンジニアのITスキルが不足している場合、別途外部セミナーや研修サービスを利用し、担当エンジニアのスキル向上を図る必要があります。

<開発を外注する場合>

開発を外部ベンダーに開発委託する場合、「常駐エンジニアの活用」か「開発をすべて委託」かで、費用が変動します。いくつかの外部ベンダーなどのサイトを確認する限り、常駐エンジニアの活用時は1ヶ月あたり60万~150万円、開発委託時はRPAロボット1体の開発につき30万円~が相場のようです。

◇運用・保守費用

RPAを開発・導入後、想定より効果が乏しい場合は、メンテナンスなどの運用・保守が必要となります。外部ベンダーに運用・保守を委託する場合は、開発特と同様、その分のコストが発生します。運用・保守費用 は各社異なりますが、いくつかの外部ベンダーなどのサイトを確認する限り、1時間あたり5000円~が相場のようです。

自社開発か外部ベンダーに開発委託、どちらにすべきか?

RPAにより求める自動化の業務が標準的なものでなく、複雑かつ高度な業務の場合、「開発型」を選択するのが一般的です。ただ、自社開発にすべきか、外部ベンダーに開発委託にすべきかで、悩まれている企業担当者も多いのではないでしょうか。

そこで、双方の主なメリット・デメリットにつき、ご紹介します。

◇自社開発のメリット・デメリット

<メリット>

・開発コストを抑えられる

外部ベンダーに開発委託する場合、外部エンジニアの常駐に伴う費用などが発生し、自社開発以上に多額のイニシャルコストが発生します。開発コストを抑えられる点は、自社開発の大きなメリットです。

<デメリット>

・RPAの専門家からアドバイスをもらえない

開発コストを抑えられる反面、開発時の悩みやトラブルはすべて自社で解決する必要があります。専門家のアドバイスなしに開発を進めなければならない点は、デメリットだといえるでしょう。

◇開発委託のメリット・デメリット

<メリット>

・コア業務のRPA開発案件に向いている

自社開発のデメリットが、開発委託におけるメリットとなります。障害発生などによる業務停止が事業に甚大な悪影響を与える場合、その業務の自動化におけるRPA開発は、高い専門性を持った外部ベンダーに委託した方が得策です。

<デメリット>

・開発コストがかかる

常駐エンジニアの費用相場は1ヶ月あたり60万~150万円と、自社開発で自社のエンジニアを活用するよりもコストが高額になることが想定されます。ただ、自社開発では、自社エンジニアのRPAスキルが不足している場合、社員研修などで追加費用が発生するケースがあります。双方のトータルコストを算出し、充分に比較検討の上、自社にとって最適な方式を選択しましょう。

まとめ

RPA開発には7つの手順があり、開発手法は「簡易型」か「開発型」の2つに分かれること、また、RPAの開発には初期費用と運用・保守費用が発生することなどについて、本コラムを通して詳しくお伝えしました。

RPA開発のイメージが湧いたことで、これから本格的に、開発の検討を予定している企業担当者様も多いのではないでしょうか。

ただし、本コラムでお伝えの通り、自社開発か外部への開発委託は、双方メリット・デメリットがあり、 RPA開発に詳しくない企業担当者様にとって、正しい選択を行うことはとても困難です。

選択を誤り、プロジェクトが失敗すると、開発のやり直しや度重なる改修など、事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

「RPA開発に向け、どんなに調査を進めても、不安が尽きない」、そのようなお悩みを抱える企業担当の方に、ぜひ、おすすめしたいサービスが、「HiPro Tech」です。

フリーランスITエンジニア専門エージェント「HiPro Tech」では、業種・規模問わず、さまざまな企業において、RPA開発に携わってきたITエンジニアが多数在籍しています。

さらに、スキルのあるエンジニアを必要な期間とタイミングで活用できるため、一般的な1ヶ月単位の常駐エンジニアの活用と比べた際、採用コストの削減にも効果を発揮します。



「限られたプロジェクト費用、工期でRPA開発を成功させたい」とお考えの方は、ぜひ「HiPro Tech」にお問い合わせください。

プロジェクトを成功に導く即戦力
フリーランスITエンジニアをご紹介可能。
料金体系やサービスに関する
詳細資料のダウンロードはこちらから。

執筆監修者

記事監修

野村 鉄平

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

記事カテゴリ一覧

即戦力フリーランス
ITエンジニアをお探しの企業様
料金体系やサービスに関する詳細
資料のダウンロードはこちら
資料ダウンロード

プロジェクトを成功に導く即戦力
フリーランスITエンジニアをご紹介。
料金体系や詳細情報、
人材活用支援のご依頼はこちらから。