RPA導入の効果と成功させるための進め方とは?

2024.01.29 更新

RPA導入の効果と成功させるための進め方とは?

RPA(Robotic Process Automation)とは、これまで人間が行ってきた事務作業を、ロボット(ソフトウェア)を使って自動化する取り組みを指します。

RPAの導入により、「業務の効率化」「コスト削減」「人的リソースの有効活用」などの大きな成果を期待できます。

パーソル総合研究所と中央大学の共同レポート(※1)によると、少子高齢化に伴う、労働力人口の減少により、2030年には、約644万人の労働力不足が見込まれています。

RPAは、今後深刻化する労働力不足の解決策として、注目を集める最先端技術です。

総務省の2017年のレポート(※2)によると、RPAを導入または導入を検討している国内企業の割合は39.5%と、すでに多くの企業が導入を進めていることがわかります。

また、政府は2020年12月、地方公共団体における業務効率化の推進に向け、RPAなどを用いた「デジタル・ガバメントの実行計画」を閣議決定しました。

RPAを導入済みの地方自治体の割合は、都道府県で85%といった総務省のレポート(※3)もあり、今後、政府主導で、RPAの導入が、より一層加速していくことが予見されています。

現在、RPAの導入を検討している企業様においては、「RPAの導入経験がなく、上手く進められる不安」といったお悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

そこで本コラムでは、RPAの導入メリット・デメリットをはじめ、RPAの導入を成功させるための進め方などにつき、詳しく解説していきます。

【出展】

※1 「労働市場の未来推計2030」(パーソル総合研究所・中央大学)
※2 「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」(総務省)
※3 「自治体におけるRPA導入のすすめ」(総務省)

RPAを導入するメリット

◇業務の自動化・効率化を図れる

RPAの導入により、伝票作成やダイレクトメールの発送といった単純作業を「ロボットに代行させる」ことで、業務の自動化・効率化が実現可能になります。

◇人件費などのコストを削減できる

RPA技術を用いた荷物の配達時間を指定できるチャットボットなど、これまで人手を要した業務が自動化されることで、人件費などのコスト削減につながります。

◇人的ミスを防ぐことができる

RPAは、事前に設定したシナリオと呼ばれる作業手順に沿って業務を遂行します。疲労や操作間違いによる人的ミスの発生率を低減できる点も、RPAの導入メリットです。

◇人的リソースを有効活用できる

RPAの導入により、単純作業から解放され、より付加価値の高い創造的業務に注力できるようになります。人的リソースを有効活用することで、働き方改革の推進および事業課題の解決に寄与します。

RPAを導入するデメリット

◇障害発生などで業務が停止する場合がある

サーバ障害やバグの発生などにより、例外的にRPAが停止し、事業運営に悪影響を及ぼす場合があります。

◇システムの仕様変更への対応に工数がかかる

RPAは、ルーティンワークの効率化・自動化に向いていますが、システムの仕様変更が頻発する業務には不向きです。なぜなら、仕様変更にはRPAに記憶させるシナリオの変更が伴い、相応の業務工数が発生するためです。

◇セキュリティ対策に気を付ける必要がある

プログラムの不具合やシナリオの設定ミスなどにより、不正アクセスを防止できず、データ漏えいなどのセキュリティ事故を招く恐れがあります。

RPAの導入に失敗する原因

以下、4つの側面から、解説していきます。

◇導入効果を可視化できていない

RPA導入の成功には、「どの部署の、どのような業務が、具体的に何時間分削減できたのか」に関する、定期的な効果測定が不可欠です。

RPAを導入後、導入効果の可視化ができていない場合、想定した業務の効率化やコスト削減が、どれだけ実現できているかについての指標がないため、導入失敗の原因になりかねません。

◇メンテナンス工数・費用を想定していなかった

RPAは導入して終わり、という認識は誤りです。なぜなら、想定より導入効果が乏しい場合、シナリオの見直しなど、メンテナンスを繰り返し行う必要があるからです。

また、試験導入を問題なくパスしていても、本導入後にシステムの誤作動やエラーが発生するケースがあり、修復対応にはRPAに関する知見を持ったエンジニアが不可欠です。

導入メリット以上に、メンテナンスに伴う工数・費用が発生した場合、そもそもの導入目的が覆されるため、導入失敗の原因となります。

◇エラー発生時の対応を考えていなかった

RPAの開発時と実行時の動作環境は常に一定ではなく、時間経過により変化するケースがあります。PCのアップデートなどにより、当初の作業手順から変更が生じた場合、RPAが指定された処理を行えず、エラーが発生する恐れがあるのです。

事前にエラー発生時の対応策を講じていない場合、復旧までに時間を要し、事業に悪影響を与えてしまうため、導入失敗に直結します。

◇設定内容のブラックボックス化により、想定外のコストが発生

開発時のRPAに関する設定内容やノウハウが自社内で蓄積されていないことも、失敗原因の一つに挙げられます。

RPA開発時の担当者が導入後に他部署に異動、または退職した際、他メンバーへの引き継ぎが行われていない場合、復旧作業に多くの時間を要します。また、ベンダーへの復旧・改修・コンサル依頼により、想定外のコストが発生する恐れもあります。

RPAの導入を成功させるための進め方

前段でご紹介した失敗原因も踏まえ、RPAの導入を成功させるための進め方につき、解説します。

◇導入目的を整理し、明確化する

RPAの導入に際し、はじめに行うべきことは、導入目的の整理および明確化です。

なぜなら、導入目的の整理なしに、最適なRPAツールや開発手法を選択することはできないからです。

前述した導入メリットが、一般的な導入目的として考えられているため、こちらで改めてご紹介します。

<主な導入目的事例>
(1)業務の自動化・効率化を図ること
(2)人件費などのコストを削減すること
(3)人的ミスを防ぐこと
(4)人的リソースを有効活用し、働き方改革などを推進すること

優先度が高い導入目的はなんであるのか、現場や経営陣の声をヒアリングした上で、明らかにしておきましょう。導入目的が明確になれば、自動化すべき業務領域と選定すべきRPAツールが自ずと見えてきます。

◇目的に合ったツールを選定する

導入目的が整理・明確化できても、その後のツール選定の検討が不十分な場合、導入失敗につながる恐れがあります。

現在市場には、「PCに不慣れな方でも直感的に操作できるRPAツール」や「サーバ1台で複数のRPAロボットを作成できるツール」など、さまざまな製品がリリースされています。

また、導入目的に沿うツールが市場にない際は、RPAベンダーに依頼し、自社向けにカスタマイズ・開発することも可能です。投資可能なコストと期間を算出した上で、最適なツール、導入手法を選択しましょう。

◇運用計画を立てる

導入効果の可視化ができていないことが失敗原因となることは、前述の通りです。そのため、導入前の運用計画の立案は欠かせません。

具体的には、特定の業務を自動化した場合、「何時間分、削減できそうか」、「削減できた場合、どれほどのコスト削減に寄与するのか」について、効果予測を算出しておく必要があります。

効果予測があることで、RPA導入後の実際の効果との比較ができ、改修やメンテナンスに向けた工数・費用の算出も可能となります。

導入後に効率的な運用を行うためにも、運用計画を立てておくことをおすすめします。

◇エラー発生時の対処方法などを用意する

導入前にテストを繰り返しても、本番環境でエラーが発生する可能性があるため、自動化が停止した場合を想定し、対処方法を予め用意する必要があります。

エラー発生時の復旧ガイドやマニュアルの作成はその一例です。

併せて、開発担当者のノウハウをブラックボックス化せず、クラウド上で確認できる体制の構築を図ることで、エラー発生時の事業への悪影響を最小限に留めることが可能になります。

まとめ

「業務の効率化」「コスト削減」「人的リソースの有効活用」など、RPAの導入には多くの導入メリットがあること、また、RPA導入は失敗に終わるケースもあることから、成功させるための進め方などにつき、本コラムを通して詳しくお伝えしました。

RPA導入のイメージが湧いたことで、これから本格的に導入の検討を予定している企業担当者様も多いのではないでしょうか。

ただし、本コラムでお伝えの通り、RPA導入の成功には、導入目的の整理・明確化からはじまり、最適なツールの選定、運用計画の立案など、多くのチェックポイントをクリアする必要があります。

また、導入目的に沿うツールが市場にない場合、自社向けにカスタマイズ・開発を行うケースも発生するため、プロジェクト予算・工期に沿ったRPAの導入は、ますます困難を伴うことが想定されます。

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執筆監修者

記事監修

野村 鉄平

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

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