エンジニアと業務委託契約する企業側のメリット・デメリットとは?注意点と対処法を紹介

2024.01.30 更新

エンジニアと業務委託契約する企業側のメリット・デメリットとは?注意点と対処法を紹介

さまざまな企業が自社システムの開発や管理のためにエンジニアを採用しています。

社員として採用するのが難しい場合、業務委託の形でエンジニアと契約するケースもありますが、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

今回の記事では、企業がエンジニアと業務委託契約する際のメリットやデメリット、また契約書類の重要なポイントなどを解説します。

エンジニアの業務委託契約が増えている3つの理由

現在、エンジニアと業務委託契約を行う企業が増えてきています。

その背景には大きく次の3つの理由があります。

業界全体でエンジニアが売り手市場になっている

さまざまな企業が、ITを活用して業務の生産性を上げて顧客向けにサービスを提供するようになったため、IT業界以外でもエンジニアの需要が高まっています。

新しい技術に対応できるエンジニアは常に不足気味で、売り手市場と言っていい状況です。

経済産業省のデータ「IT人材調査」の調査報告書(2019年3月)によると、2030年には最大で78.7万人のIT人材が不足するそうです。

特にAI人材などビジネスにインパクトのある技術者の不足が予想され、生産性を高めたい企業の間で獲得競争が激しくなることが予想されています。

※参考:経済産業省  IT人材需給に関する調査

業務委託でも安心して働ける環境

エンジニアの業務委託が増えているのは、フリーランスのエンジニアにとって安心して働ける環境が整ってきたことも関係しています。

政府の働き方改革で副業を認める企業が増えてきたことや、フリーランスエンジニアに向けた保険サービスができたことなど、技術のあるエンジニアが企業に属することなく自由に働ける環境が整ってきています。

フリーランスエンジニア向けの保険では、ケガや病気などの際の所得補償や、報漏えいや著作権侵害、納品物の瑕疵といったトラブルまで本人はもちろん、発注者までカバーできるようなものもあります。

そのため、個人でも責任ある仕事を受けやすくなり、企業も保険加入を前提に業務委託を行うことが可能になりました。

自由な時間で働くエンジニアが増えた

フリーランスの増加やテレワークの普及によって、時間や場所に縛られずに働くエンジニアが増えています。

これは転職市場に流れてくるエンジニア人材が減ってきていることを意味し、企業にとっては採用が難しくなりつつあることを意味します。

勤務時間や出社を必要とせず、案件単位で仕事を請け負う「ギグワーカー」を志向するエンジニアが増えたことで、時間や地域の問題からエンジニア採用が難しかった企業でもエンジニアを活用しやすくなっています。

エンジニアと業務委託契約を結ぶ企業のメリット・デメリット

エンジニアと業務委託契約する場合の、企業のメリットやデメリットは次のとおりです。

エンジニアと業務委託契約を結ぶ企業のメリット

業務委託で仕事を受けることができるレベルのエンジニアであれば、自分で仕事内容を判断して受注していますので、「無理強い」する状態になることがありません。

必要な人材を確保するまでの期間が格段に短くなることもメリットです。

企業の動きに合わせ、臨機応変に人員を調整することもできます。

エンジニアと業務委託契約を結ぶ企業のデメリット

SES・SIerなどの企業であれば、何か問題があっても組織でフォローしてくれることを期待できます。

しかし、個人の場合はそのエンジニアのスキルが低い、あるいは病気やケガなどで仕事ができなくなった場合には補償がないことがあります。

エンジニアに業務委託を依頼する際の注意点と対処法

エンジニアに業務委託を依頼する場合、主に人材のスキルや契約内容に注意することが大切です。

それぞれについて、主な注意点と対処法について解説します。

適切なスキルマッチを

業務委託でエンジニアを活用する場合、スキルについてスキルマッチするか適切に判断する必要があります。

スキル面のミスマッチの多くは、業務で必要とされるスキルがはっきりしていない場合や、後になってスキルが追加されるケースに多いです。

案件募集時にスキル要件を詳細に定義しておくことや、過去の経歴、経験年数、案件実績などを確認して業務に適しているかを確認するとよいでしょう。

自社内にエンジニアがいる場合は、スキルの定義に協力してもらうとよいでしょう。

同様の案件の経験がない場合は、プロジェクトの完了までにマイルストーンを定めて契約することもひとつの方法です。

契約内容の認識の相違がないように

業務委託契約では、受注者と依頼者の間で業務や報酬に関するトラブルが生じることも多いようです。

契約前に業務範囲や支払内容、報酬、制作物の著作権や秘密保持などについて定めておきましょう。

また、基本的に業務委託契約を結んだエンジニアに関わる全員が、その契約内容を認識していることが大切です。

直接の担当者や管理者しか知らない場合に、他のメンバーが契約内容にない依頼をするケースもトラブルの原因になります。

慣れたエンジニアであれば契約外の依頼は断ると思いますが、不慣れな場合や役職者などの依頼などは断りにくいという気持ちを抱いている場合も多いため、特に注意してください。

業務委託の種類

業務委託の種類

エンジニアと業務委託契約を結ぶ場合、次の2つの契約方法があります。

簡単ですが、ここで紹介します。

請負契約

請負契約は、業務を請け負う者が仕事を完成させることを約束し、依頼者はその対価として報酬を支払う形の契約です。

請負契約では、必ず「納品物」を定める必要があり、期日までにその納品物を納めることで業務が終了します。

エンジニアの場合、例えば「営業支援用システムの開発」という形で請負契約をすることになります。

準委任契約

準委託契約というのは、「法律に関連しない行為を委託する契約」です。

民法上の委任契約とは、「法律行為を委託する契約」であり、たとえば訴訟・法律相談の処理を弁護士に頼むようなものが該当します。

しかし、エンジニアへの業務委託の多くは法律とは関係しないものであるので、「委任契約」ではなく、「準委任契約」に分類されます。

認識としては、開発業務などを委託する契約です。

準委任契約で提供されるのは、業務の処理という役務であり、この契約では基本的に成果物そのものを問われることはありません。

準委任契約は、原則、一定のスキルを持った人間が決められた業務を処理する契約するものであるため、成果物に対して責任を負うことはなく、善管注意義務という責任を負います。

受注したエンジニアは業務の処理について報告書などを出して、業務を実施した ことを報告します。

このため、業務委託準委任契約の場合、例えば「営業支援用システムの開発」を依頼する場合、契約期間の終了時に業務が完成していなかったとしてもその責任を問うことはできません。

業務の処理に対して対価が発生する契約です。

このため、契約を結ぶ側の企業としては、業務進捗をしっかり把握しておくことが大切です。

業務委託契約書作成時のポイント

エンジニアに業務委託を依頼するとき、適切な業務委託契約書を作成することでトラブルを回避することができます。

業務委託契約書を作る際のポイントについて解説します。

必要な記載事項

業務委託契約書では、主に次のような内容を記載します。

(代表的なものを簡易的に記載しております。)

・言葉の定義 契約書中の言葉の定義について、トラブルにならないよう明記します。

・契約の目的 何を目的とした業務委託契約なのか、何を示すための契約書なのかを明記します。

・業務の内容 業務の具体的な内容を記述します。

業務の具体的な遂行方法(テレワークの可否や稼働時間など)についても記述が必要です。

・委任者、受任者の義務について 発注側、受注側がそれぞれ負う義務について記載します。

たとえば、報告を要する場合や報告の頻度、契約外に発生した経費の支払いなどです。

・再委託の可否 委託業務の再委託の可否について記載します。

・契約期間 契約期間について定めます。

また契約期間終了時の契約延長や解約について記載します。

・報酬に関すること 報酬額や支払い時期、支払い方法などについて記載します。

また、経費の処理についても記載しておくとトラブル回避につながります。

・知的財産の帰属 委託業務の過程で発生した著作権その他の知的財産権の帰属先についても記載します。

エンジニアが案件実績として公開許可を求めることもあるでしょう。

会社としても規定類を整備して問題の無いように、そして漏れのないように対応しましょう。

・禁止事項 「業務で使用する社内機器の社外への持ち出しは禁止する」など、委託業務の遂行にあたり、禁止するべき項目があれば記載します。

・秘密保持 委託業務を遂行する中で知り得た秘密情報の扱いについて記載します。

秘密保持契約書を別途作成している場合はその旨を記載します。

・損害賠償 契約違反時や、委託業務の継続ができなくなった場合の処理や賠償について記載します。

・契約の解除について 契約の解除のための条件や手順などについて定めておきます。

契約期間中の契約解除の可否や、その場合の賠償の有無などを記載します。

・合意管轄 トラブル時には裁判所で調停してもらうこともありますが、その場合の裁判所を決定します。

基本的には委任元の指定地域の裁判所になることが多いです。

収入印紙の用意

請負契約の契約書類では収入印紙が必要です。

一方で準委任契約の場合は収入印紙は不要です。

まとめ

エンジニアの採用が難しくなる中、業務委託を活用する企業が増えています。

業務委託では、報酬だけでなく、エンジニアに求める業務内容や働き方、必要スキルを詳細に定めておくことが大切です。

エンジニアと業務委託契約を交わす場合、フリーランスエンジニア専門の紹介サービスを使うと便利です。

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執筆監修者

記事監修

野村 鉄平

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

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