スクラムマスターとは?役割やPMとの違いも解説
スクラムマスターという語句について一度は見聞きしたことがあっても、「具体的にどのような役割を担うポジションなのかわからない」といった方も多いのではないでしょうか。
本コラムではスクラム開発の特徴を踏まえた上で、混同しやすいプロジェクトマネージャーとの違いやスクラムマスターの役割、関連する資格などについて、順を追って解説します。
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スクラムマスターとは
スクラムマスターとは、スクラム開発に関わる職種の一つです。スクラムマスターの理解に向け、スクラム開発の特徴について解説します。
スクラム開発とは
スクラム開発は、アジャイル開発に分類される手法の一つです。
仕様に基づき各工程を分割して開発を進めていく従来のウォーターフォール開発とは異なり、スクラム開発は小単位でテストや実装を繰り返していく開発方法のため、仕様変更にも柔軟に対応できます。
修正時の工数削減やプロジェクト終盤での大規模なエラーの回避などにもつながることから、プロジェクトの生産性向上も期待できる点はスクラム開発の大きな特徴です。
スクラム開発の流れ
スクラム開発では、スプリントと呼ばれる「設計、開発、テスト、改善」の一連のプロセスを繰り返し実施ながら、プロダクト(製品や成果物のこと)やシステムの開発を進めていきます。一般的なスクラム開発の流れを、順を追ってご紹介します。
STEP1:プロダクトバックログの作成
プロダクトバックログとは、プロダクトやシステム開発への要望や必須対応項目を、一覧形式でまとめたリストになります。リストは上から優先度の高い順に配置するのが一般的であり、開発途中での項目の追加も可能です。
STEP2:スプリントプランニング
スプリント内での実現可能なプランを、一覧形式でまとめたものです。STEP1で作成したプロダクトバックログをベースに、詳細な仕様や作業工程を計画します。
STEP3:デイリースクラム
スプリントが順調に進むよう、作業前にチーム内で問題点の共有や仕事の進め方を確認するのがデイリースクラムの目的です。その名の通り、デイリースクラムはスプリントの期間中、毎日実施します。
STEP4:スプリントレビュー
スプリント完了後に、当初の要求を満たしているか、デモンストレーションの上、成果物をチェックする工程です。スプリントレビューで問題が発生した場合、プロダクトバックログの調整が必要となるため、リリースは先送りとなります。
STEP5:スプリントレトロスペクティブ
スプリントレトロスペクティブは、「スプリントの振り返り」とも呼ばれています。スプリントレビューが開発業務にフォーカスしている一方、スプリントレトロスペクティブでは、スプリントに取り組むプロセスそのものに対して振り返りを行う点が特徴です。
プロセス自体の振り返りを実施することで、チームの結束力は高まり、更なるプロジェクト品質の向上が目指せます。
スクラムチームの構成について
スクラム開発では、「プロダクトオーナー」「スクラムマスター」「チーム」がスクラムを組み、開発を進めていきます。それぞれの特徴について、簡単にご紹介します。
プロダクトオーナー
プロダクトやシステム開発に決定権を持ち、同時にプロジェクトの責任を担うオーナーです。担当領域として、プロダクトバックログの優先順位付けやスケジュールの管理などを担います。
スクラムマスター
スクラム開発をスムーズに進めるための調整役を担うポジションです。詳細な役割については後述しますが、プロダクトオーナーと開発メンバーに対するサポートや、チーム内での問題解決の推進などを担います。
チーム
スクラムマスターとプロダクトオーナーを除く、スクラム開発を担うメンバー全体を指し、開発エンジニアや関連スタッフなどはチームに含まれます。チーム一体となりプロジェクト推進を目指すことから、スクラム開発では詳細設計者やテスターなどといった役割で呼び名を分けることはせず、ひとまとめに「チーム」と呼びます。
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役割から見る、プロジェクトマネージャー(PM)との違い
スクラムマスターはプロジェクトマネージャーと混合されることが多いため、その違いにつき解説します。
プロジェクトマネージャーとは
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの責任者であり、全体の意思決定やスケジュール管理、チーム管理を担う重要な役割を担っています。ウォーターフォール開発において、プロジェクトマネージャーが存在する一方、スクラム開発では、プロジェクトマネージャーは存在しません。
プロジェクトマネージャーとスクラムマスターの違い
スクラムマスターは、プロジェクトが円滑に進むよう、プロダクトオーナーとチームのサポートを担いますが、プロジェクトの責任者ではありません。トップダウンで意思決定や業務指示を行わない点は、プロジェクトマネージャーとの大きな違いになります。
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主な役割について
スクラム開発において、スクラムマスターが担う主な役割についてご紹介します。
チーム(開発エンジニア含む)のサポート
スクラム開発では、スプリントをベースに、開発プロジェクトを進めていきます。
プロジェクトの円滑化に向け、スクラムマスターはチーム(開発エンジニア含む)に対して、スクラム開発のメリットの説明や効率的に進める上でのアドバイスを行うなど、全面的にサポートしていく役割を担います。
チーム内での問題解決の推進
スクラム開発の生産性向上に向け、インペディメント(開発を進める上での障害物や問題点)を徹底的に洗い出した上でリスト化し、チームに解決を促すのが二つめの役割です。
インペディメントは重要度が高く、早急な対応が求められる項目からリスト化していきます。
インペディメントを乗り越えることは、チームにとって成長の機会へとつながります。解決手法はチームに投げかけるのが良いとされていますが、チーム内での解決が難しい場合は、スクラムマスターも課題解決に取り組むか、外部に協力を求めるのが一般的です。
プロダクトオーナーのサポート
先述の通り、スクラムマスターはプロジェクトマネージャーとは異なり、トップダウンで開発の意思決定を行うことはありません。プロダクトオーナーがプロダクトやシステム開発の方針決定をしやすくなるようサポートするのも、スクラムマスターの大切な役割の一つです。
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スクラム開発のメリット、デメリット
スクラム開発のメリットとデメリットについて、以下にご紹介します。
メリット
最高のパフォーマンスを期待できる
スクラムマスターが役割を全うすれば、チーム内に当事者意識が生まれ、主体的にプロジェクトに取り組めるようになります。その結果、最高のパフォーマンスを期待できる点は、スクラム開発の大きなメリットです。
スムーズにプロジェクトを推進できる
スクラム開発では一般的に、デイリースクラムを実施の上、課題や問題点などの共有を図ります。スクラムマスターが主体となり、早期に課題や問題点を浮き彫りにし、解決を図ることで、スムーズなプロジェクト推進が可能となります。
デメリット
メンバーが力を十分に発揮できないケースもある
スクラム開発の期間は2~4週間が通常とされていますが、1週間という短いスパンで実施されるケースも起こり得ます。経験の浅いエンジニアが通常時よりも短期間のスクラム開発に参画した場合、充分な準備・研修期間を設けられず、力を発揮することなくプロジェクトが終了する恐れがあるため、その際は経験豊富なメンバーを集め、チーム編成を行うのがいいでしょう。
当初の開発方針やスケジュールに変更が生じる恐れもある
スクラム開発は柔軟性を持って開発を推進できる一方、柔軟性があるが故に開発方針が途中で変わり、当初の開発スケジュールに大きな変更が生じる恐れもあります。
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スクラムマスターに関連する資格
スクラムマスターの関連資格についてご紹介します。スクラムマスターの採用・人選時にぜひご参照ください。
認定スクラムマスター(Certified Scrum Master)
スクラムマスターの認定資格の中で最もメジャーだといわれているのが、Scrum Alliance(アメリカの非営利団体)が発行する認定スクラムマスターです。「CSM」と呼ばれることもあり、スクラムマスターになるための登竜門的な資格として知られています。
A-CSM(Advanced Certified Scrum Master)
CSMの上位資格となります。認定取得には、CSMの資格取得をはじめ、12カ月以上の実務経験などが問われます。
CSP-SM(Certified Scrum Professional Scrum Master)
A-CSMの上位資格となります。認定取得には、A-CSMの資格および24カ月以上の実務経験が必須となります。大規模なスクラム開発を担えるスクラムマスターを選定する際は、CSP-SMの取得有無を一つの目安として用いましょう。
PSM(Professional Scrum Master)
Scrum Org(アメリカの非営利団体)が発行するスクラムマスター認定資格の一つとなります。取得難易度はCSMよりも高く、難易度別に各種試験(PSM1、PSM2、PSM3)が設けられているのも特徴です。
LSM(Licensed Scrum Master)
Scrum Inc(アメリカの非営利団体)によるスクラムマスター認定資格です。スクラム経験の有無に関係なく誰でも受講可能であり、認定取得には2日間の研修受講後、試験で一定以上の成績を修める必要があります。
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スクラム開発の成功に向け
スクラム開発の成功に向け、特に気を付けるポイントは、各々の役割を明確に決め実行に移すことです。
人材リソースの問題で、スクラムマスターと開発エンジニアを兼任するケースも見受けられますが、おススメはできません。
なぜなら、スクラムマスターとチーム(開発エンジニア)の役割を一人の担当者が兼任した場合、スクラムマスターとしての活動時間が減り、プロジェクト品質の低下を招く恐れがあるからです。また、デイリースクラムで意見を発信した際、「スクラムマスターとしての意見なのか」「開発エンジニアとしての意見なのか」、チーム内のメンバーが混乱し、プロジェクトの進行に支障をきたす恐れもあります。
より良いプロダクトやシステムを開発するためにも、スクラムマスターは専任にした方が良いでしょう。
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まとめ(スクラムマスターの役割について理解が深まったのなら)
ここまでお読みになり、スクラムマスターについての理解が深まったことで、今後前向きな活用を検討・予定している方も多いのではないでしょうか。
ただし、スクラムマスターには求められるスキルも多く、多彩な関連資格があるため、どのようなスキル・資格を持ったエンジニアを採用するか、迷われている方も多いと思います。
「スキル・資格を持ったスクラムマスターをいち早く確保したい」「スクラムマスターは専任での活用を考えている」、そのような思いをお持ちの方に、おすすめしたいサービスが、「HiPro Tech」です。
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