QAエンジニアの概要とは?品質向上に求められるスキルや資格を紹介

2024.01.29 更新

QAエンジニアの概要とは?品質向上に求められるスキルや資格を紹介

「QCD」という言葉をご存知でしょうか。QCDとは品質を意味するQuality、費用を意味するCost、納期を意味するDeliveryの頭文字を組み合わせた言葉。QCDはものづくりにおいて重視すべき三要素とされており、そのなかでも特に重要とされているのが、Quality(品質)です。

品質を重視するのはシステム開発でも同様です。システム開発の現場ではQAエンジニアというポジションが存在し、品質管理の役割を担っています。では、QAエンジニアは具体的にどのような業務を担当し、どういったスキルが求められてくるのでしょうか。

本コラムでは、QAエンジニアの仕事内容や求められるスキル、需要などを解説します。求められるスキルはQAエンジニアを採用する際にも知っておきたい情報です。人事担当者などQAエンジニアに関する基礎知識を知りたい方は、ぜひご覧ください。

QAエンジニアとは?

■QAとは?

まずはQAについて解説していきます。QAはQuality Assuranceの頭文字をとったもので「品質保証」を意味します。

■QAエンジニアとは?

システム開発におけるQAエンジニアは、品質管理を担当するエンジニアです。品質保証のために、システムやアプリケーションといった製品の動作テストや耐久テストなどを行っています。

■どうしてQAエンジニアが必要?

システムやアプリケーションの開発では、一つのミスが大きな障害を引き起こす可能性があります。障害の規模が大きければ、サービスが終了することになったり、賠償責任を問われたりといった問題が起きるかもしれません。そのようなリスクを避けるために、QAエンジニアが開発者とは異なる視点で製品をチェックし、開発上のミスを見つけ出しています。製品がより良い形でリリースされるためには、QAエンジニアは欠かせない存在なのです。また近年では、セキュリティ担保の観点からもQAエンジニアの必要性が高まっています。

■テストエンジニアとの違い

QAエンジニアはテストエンジニアと混同されがちです。その違いを見ていきましょう。

QAエンジニアは完成した製品に対し動作テストや耐久テストを実施し、実際にユーザーが使っても問題ないかを確認していきます。一方、開発中のシステム・Webサービスなどに対し、単体テスト・結合テストなどを通して、正常に動くか・バグや不具合がないかなどを確認するのがテストエンジニアです。ただ、企業によってはテストエンジニアとQAエンジニアを明確に区別していないケースもあります。

QAエンジニアの仕事内容

では、QAエンジニアの仕事内容を具体的に解説していきます。

■テストの設計と計画

テストはやろうといってすぐに実施できるものではありません。まずは「品質水準の目標となる数値は何か」「検証のためにはどのようなテストを行うべきか」「どのような流れでテストを行うべきか」といった内容を検討し、テスト設計を行う必要があります。設計が甘いとチェックに抜け漏れが生じ、テストがやり直しになる可能性があるため、設計は重要な作業といえるでしょう。また、QAエンジニアが担当するテストは開発のなかでも完成に近い工程です。スケジュール遅延が許されないため、スケジュールの計画を立てるのも欠かせない業務です。

■テストの実施

設計・計画した内容に沿って、システムの専門家の立場やユーザーの立場など、さまざまな角度からテストを実施していきます。具体的には、仕様書通りにシステムが作られているか、要求した処理速度で画面が遷移しているか、脆弱性はないかなどを確認します。不具合を見つけたときは開発者に報告するほか、修正完了後に検証するのもQAエンジニアのタスクの一つです。テストはQAエンジニアが主体となって行うケースが多いものの、指示書などを作成し、テスターやデバッカーなどの担当者に業務を依頼する場合もあります。

■レポートと改善案の報告

テスト結果から不具合の具体的な数や内容をレポートにまとめ、報告するのもQAエンジニアの役割の一つです。テスト時に発生した不具合は開発者に報告していますが、さらにテスト結果を分析し、不具合の傾向の調査や、不具合の改善案・再発防止案などをまとめます。レポートは開発リーダーや上長、クライアントに報告します。

求められるスキル・知識

QAエンジニアはテストの設計・計画から実行、報告まで、品質管理に関する業務を一貫して担当します。この役割を担うにはどのようなスキル・知識が求められるのでしょうか。

■開発・プログラミングスキル

QAエンジニアにとって開発・プログラミングのスキルは必須です。そのスキルがなければ、開発資料やコードを読み解けず、QAエンジニアが担当する製品の各仕様・設計内容の評価が正しく行えません。また、不具合や脆弱性が発見された際には自ら修正を加えたり、膨大なデータを扱うテストでは分析自動化ツールを自作したりすることもあります。扱う製品によって扱う言語や技術が異なるため、幅広い開発・プログラミングスキルが求められます。

■テスト技法に関する知識

テストはQAエンジニアにとってメインの業務。テストの設計・計画時には、各製品に適したテストは何かを判断しなければならないため、テスト技法の知識量は、QAエンジニアの質にも直結する重要な要素といえるでしょう。また、最近ではテストを自動化するケースも増えています。自動テストを導入する場合は、ツールの選定を任されたり、先述の通り自作したりすることもあるため、ツールに関する知識も求められています。

■品質マネジメントシステムに関する知識

品質マネジメントシステムは、製品の質やクオリティを管理するために設けられるシステムや活動、ルールのことです。品質担保を目的として導入されるマネジメントシステムのため、品質管理を担うQAエンジニアは身につけておく必要がある知識でしょう。たとえば、顧客満足や品質マネジメントシステムの継続改善を進めるISO9001などが有名です。

■コミュニケーションスキル

QAエンジニアの業務に対し、一人黙々と検証作業を進めているように思う方もいるかもしれません。しかし実際には、製品の開発者をはじめ、企画部など他の部門の担当者にも報告や相談、意見交換する機会が多々あります。そのため、コミュニケーションスキルは欠かせないスキルの一つです。

■レポーティングスキル

テストを実施し分析したあとは、その内容をまとめ、関係者に報告する必要があります。そのため、ExcelやWord、PowerPointといったOAを用いた資料作成スキルも必要となってくるでしょう。作成したレポートは発表するケースもあるため、プレゼンスキルがあれば活かせる場面は多いはずです。

役立つ資格

さまざまなスキルを求められるQAエンジニアですが、必須資格は特にありません。その一方で、取得していると役立つ資格はあります。ここでは3つご紹介します。(2021年12月時点情報)

■JSTQB認定テスト技術者資格

JSTQB認定テストは、ソフトウェアテストに関する資格です。JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)というソフトウェア技術者資格の運営組織が開催しています。JSTQBはソフトウェアテストに関する国際的な資格認定機関(ISTQB)に加盟しているため、JSTQB認定テストも海外で通用する国際資格です。QAエンジニアとしてグローバルに活躍したい場合、この資格を取得すれば、自身のスキルを証明するのに活用できるでしょう。

■ソフトウェア品質技術者資格認定

一般財団法人日本科学技術連盟によって運営されている、認定資格制度です。ソフトウェアの品質向上を目的としたもので、初級・中級・上級の3段階に分かれています。

■IT検証技術者認定試験

一般社団法人IT検証産業協会が主催する、テストエンジニアの資格試験です。人物像・役割によって7つのレベルに分かれています。IT業界では広く知れ渡っている資格のため、この資格を取得すれば、自分のスキルの証明に活用できるでしょう。

QAエンジニアの経験者を求人などで募集する際は、こうした資格に着目してみるのも良いかもしれません。

キャリアパス

■QAエンジニアは未経験からでもなれる?

「求められるスキル・知識」の章でも解説した通り、QAエンジニアの業務内容上、幅広い開発・プログラミングスキルが求められます。そのため、開発の経験がない完全未経験の状態からQAエンジニアになることは難しいと考えられます。QAエンジニアを目指す際のロードマップとしては、まず開発エンジニアとして経験を積み、その後、QAエンジニアに転職するのが一般的です。

■QAエンジニアのキャリアパス

QAエンジニアの上位職であるシニアQAエンジニア、さらに上位職のQAマネージャーを目指すというのが、QAエンジニアのキャリアパスとして代表的なものといえます。

シニアQAエンジニアはテスト設計・計画に精通したエンジニアで、QAエンジニアのスペシャリスト職です。QAマネージャーはQAチーム全体の管理や、品質向上やテスト戦略の立案などを担当する、テストのマネジメントに特化したポジションです。

そのほか経験を活かして、テストアナリストやセキュリティエンジニアなど別分野のキャリアパスを目指すという選択肢もあります。

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需要と将来性

■QAエンジニアの需要

製品・サービスの品質は、どの業界でも重視されるものです。特にIT業界では、ITの進化と共にシステムの複雑化・高度化が進んでいます。しかし複雑・高度であるほどバグや不具合が起きやすくなるため、品質管理を担うQAエンジニアの需要は今後も高まり続けると考えられます。

■QAエンジニアの将来性

品質管理はどの製品・サービスでも必ず実施されるものです。そのため将来的に見ても、QAエンジニアの仕事がなくなることは、現時点では考えられないでしょう。

その一方で、現在の日本ではIT人材の不足が問題となっています。経済産業省の調査では、2018年時点で22万⼈のIT⼈材が不⾜しているとわかりました。また今後もITニーズが増加し続けIT⼈材の不⾜が続いた場合、2030年には最⼤で約79万⼈の⼈材不⾜が予想されています。

IT人材需給に関する調査

引用:「IT人材需要に関する調査(概要)」(経済産業省)

IT⼈材不⾜はQAエンジニアも同様です。品質管理を担うQAエンジニアは、製品・サービスを作るうえでなくてはならない存在です。また、QAエンジニアは未経験からすぐになれるものでもありません。一定の開発・プログラミング経験を積むなど、育成にも時間がかかるため、人材不足の影響が出やすいと考えられます。需要が高まり続けるにも関わらず、人材不足が予想されるため、今後QAエンジニアの確保は、企業の課題となってくるかもしれません。

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本コラムでは、QAエンジニアの仕事内容や求められるスキル、役立つ資格、キャリアパス、需要と将来性について解説してきました。

先述の通り、品質保証はどの製品・サービスでも実施されるため、QAエンジニアの需要は高い状態が続きます。その一方で、今後日本では大幅なIT人材不足が予想されるため、QAエンジニアも同様に人材確保が難しくなってくるかもしれません。

品質管理を担うQAエンジニアは、製品・サービスを生み出すうえで欠かせない存在です。だからこそ、人事担当の方や情報システム部門の管理者の方は、本格的な人材不足に陥る前に対策を検討することが望ましいでしょう。

現在は働き方の多様化が進んできたこともあり、副業を検討するエンジニアやフリーランスとして働く人材も増えてきています。社内リソースだけで解決するのが難しい場合は、フリーランスエンジニアのスポット活用を検討するのもおすすめです。

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執筆監修者

記事監修

野村 鉄平

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

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