【失敗しないiOSアプリ開発】開発言語、開発環境、フレームワークなどを基礎から解説
ユーザー獲得のアクセスポイントとして、従来はWebブラウザが中心でしたが、現在はスマホユーザーの増加によってスマホアプリにも注目が集まっています。総務省の調査結果(※1)では、2010年以降のインターネット利用はモバイル端末が中心に切り替わっており、IoTやクラウドといった新技術の台頭により、アプリの多様化も進行中です。
- GPSなどの機能連携
- リアルタイムでの対話
- お得なクーポンの発行
- オフライン状態での利用
- プッシュ通知での定期接点獲得
- サブスクリプション形式の導入
- レコメンド機能でのアップセル/クロスセル
スマホアプリには上記のようなLTV(Life Time Value)を向上させるための要素が複数あります。スマホ性能の成長速度を考えると、今後はさらに高度な機能・表現が実装できるでしょう。
ユーザーにとって、アプリは情報をタイムリーに得られる場であり、購買行動の起点にもなっています。企業にとっても集客や顧客育成の場として、アプリは無視できない存在になっているでしょう。特にiOSアプリに関しては、iPhoneのデザイン性や性能面での人気に後押しされ、若者だけでなく、企業の従業員が社用携帯として持つことも増えたことで、ユーザーがさらに増加しています。
しかし、iOSアプリ開発において、開発言語や開発手順はもちろん、開発環境やフレームワークといった基礎的な知識が抜け落ちてしまうと、「思うように開発プロジェクトが進まない」「要件定義でトラブルが多発してしまう」「要望を上手くアウトプットできない」といった事象が起きがちです。
今回は開発言語や開発手順といった基礎的な知識に加えて、言語の選び方やトラブルの要因、主な開発環境やフレームワークをご紹介します。
※1 出典:令和3年版 情報通信白書(総務省)
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iOSアプリ開発の失敗しがちなポイント
iOSアプリ開発で失敗する代表例は、主に2つあります。
アプリに関する知識が足りない
これはiOSアプリ開発における言語や環境といった領域だけではなく、アプリそのものに関する知識不足も要因になります。「アプリがどういう原理で動いているのか」「Androidアプリとの違いは何なのか」「プログラミング言語はどういった基準で選ぶべきか」など、iOSアプリに関連する知識があることで、アプリのイメージをより具体的に持てるうえに、ベンダーに依存せずに開発を進められるでしょう。
要件定義におけるトラブル
内製・外注どちらを選んだとしても、iOSアプリ開発では要件定義を行います。その際に「仕様に抜け・漏れがある」「要望が曖昧で上手く伝わっていない」「ベンダーの選定基準が費用面だけで行われている」などが原因で、要件定義でのトラブルにつながるケースがあります。仕様の抜け・漏れに気づくにも、要望を適切に伝えるにも、ベンダー企業を選定するにも、iOSアプリ開発に関する知識が欠かせません。
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iOSアプリとAndroidアプリの違い
App StoreやGoogle Playなどのストアからインストールする形式「ネイティブアプリ」は、iOSやAndroidが代表例とされています。2021年時点での各OSアプリの特徴は、以下の図のようになっています。
国内シェア
世界的にはAndroidシェアが高いと言われていますが、日本単体で見た場合、2021年時点でiOSシェアは66%以上(※2)もあり、Androidを上回っています。そのため、あくまで国内ユーザーにこだわるのであれば、iOSに軍配が上がるといえるでしょう。
また、iOSはAndroidほどのカスタマイズ性はないものの、シンプルで直感的な操作が可能となっています。ガジェットに精通した方には物足りないかもしれませんが、ライトユーザー層には操作が分かりやすく、受け入れられやすいOSといえるでしょう。
※2 出典:第23回 デジタル市場競争会議 ワーキンググループ 配布資料(首相官邸ホームページ)
推奨開発言語
OSごとの特徴として、メジャーなプログラミング言語が異なります。Apple社はiOSアプリ開発向けに「Swift」という新しいプログラミング言語を開発しており、Google社はAndroidアプリ開発で「Kotlin」の利用を推奨しています。
推奨開発ツール
iOSには「Xcode」、Androidには「Android Studio」という専門の開発ツールが存在します。Xcodeを利用できるのはMacのみになるので注意が必要です。XcodeやAndroid Studioには、アプリを効率的に開発するための便利機能が揃っており、Xcodeではストーリーボードという機能を使えば、ドラッグ&ドロップだけでアプリ画面のレイアウト、パーツ配置、画面遷移などを実装できます。コードを書かずにアプリ開発が進められるため、Swift初心者でも気軽に挑戦できる魅力があります。
初期費用
App StoreやGoogle Playといったストアでアプリを配信するには、デベロッパー登録が必要になります。iOSの場合はApple Developer Programで年間99ドル(約1万2000円)、Androidの場合はGoogle Play デベロッパー アカウントに登録し、初回登録費として25ドル(約2800円)がかかります。
大きな違いとしては、Apple Developer Programが年単位での更新制なのに対して、Google Play デベロッパー アカウントは初回登録時のみ費用がかかる形式になっています。
年間手数料
サブスクリプション形式やストア内課金があるアプリの場合、購入額の15%~30%の手数料がかかります。年間売上高やユーザーの契約期間、提供製品やサービスによって手数料が異なるため、詳細は各ストアをご確認ください。
現在はiOS/Androidの両方で動作するクロスプラットフォームアプリが一般化しているため、iOS/Androidアプリ開発のどちらでも実装できる機能を選び抜き、ユーザービリティなどを考慮したうえでのアプリ開発が重要となるでしょう。
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iOSアプリ開発で使う主なプログラミング言語一覧
先ほどはiOSアプリ開発の代表的な言語としてSwiftをご紹介しましたが、言語にはそれぞれ得意分野があり、どのようなiOSアプリ開発を行うかによって、自ずと利用言語は変わってきます。
ここではSwiftもふくめ、iOSアプリ開発で使用されるプログラミング言語を厳選してご紹介します。
Swift
Apple社が開発したプログラミング言語で、iOSやmacOS、Linuxで利用できます。Swiftは後述するObjective-Cという言語をベースに、iOSアプリ用に最適化された言語になります。主なメリットとしては下記の通りです。
- コードの書き方がシンプル
- 処理スピードが速い
- Webフレームワークが充実している
- C言語やObjective-Cとの連携が簡単
- エラーの検出力が高い
基本的にMacでしか開発できないというOSデメリットはありますが、文法がシンプルで読みやすい分、複雑で大量のコードを書く必要がありません。コーディング作業を効率化できるWebフレームワークも整っており、エラーにも気づきやすいため、初心者でも触りやすい言語といえるでしょう。
Objective-C
Objective-Cは、C言語をベースにオブジェクト指向化された言語です。Swiftが開発されるまでは、Apple製品のスタンダード言語として使用されていました。そのため、Objective-Cのほうが馴染み深いという方も多いかと思います。
後継として誕生したSwiftと比べると構造把握が難しく、使い勝手という面で考えると、ゼロから覚えていくのは難しいかもしれません。Objective-CはSwiftと互換性があるため、「すでにObjective-Cをある程度は扱える」という方以外は、よりシンプルなSwiftのほうが覚えやすいでしょう。
JavaScript
JavaScriptは1990年代に誕生した言語で、Web上で動きをつける際に使われる言語です。画像の拡大やアニメーション、ポップアップ表示、ソートや検索機能など、私たちが何気なく使っている機能に使用されています。もともとはWebページ用として使われていましたが、JavaScriptの汎用性の高さから、iOSアプリ開発でも活用される言語となっています。
近年はホームページを作るような感覚でiOSアプリ開発ができるプラットフォームも登場しているため、iOS/Androidの両方に対応したアプリ開発を進める際には、JavaScriptも候補に挙がるでしょう。
C#
C#はMicrosoft社が開発したプログラミング言語で、もともとはWindows専用言語として開発されました。現在はWindows以外にAndroidやOSXといった領域でも用いられます。Webアプリ、組込系、ゲーム系などの開発プロジェクトで採用されるケースが多いです。
C#の利点は汎用性の高さにあり、数多くのプラットフォームに対応できます。iOS、Android、Windows、Macなど、あらゆる環境に柔軟に対応できるのが魅力です。学習難易度は高めですが、C#はあらゆるシステム開発に応用できる言語のため、iOSアプリ開発以外の場でも活かすことが可能です。
Python
AIやブロックチェーンの領域で注目を浴びているPythonですが、実はiOSアプリ開発での活用もできます。データ分析や統計処理などが得意で、Pythonのオープンソースライブラリ「Kivy」を用いて、iOS/Androidどちらでも動くクロスプラットフォーム対応型のアプリ開発が可能です。
iOSアプリ開発でメジャーな言語とはいえないでしょうが、簡易的にiOSアプリ開発を行いたいのであれば、Pythonを検討する価値は十分にあるでしょう。
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iOSアプリ開発におけるプログラミング言語の選び方
iOSアプリ開発において、利用できるプログラミング言語の選択肢は数多くあります。どのプログラミング言語を使うべきかはケースバイケースであり、それぞれが置かれている状況によって異なるでしょう。
ここではプログラミング言語を選ぶ基準として、主に3つのポイントをご紹介します。
エンジニアで選ぶ
iOSアプリ開発を内製する場合、エンジニアの扱える言語がベースになってきます。これまでに学んできた内容や経験によって、得意とする言語は異なるため、iOSアプリ開発を担当するエンジニアの得意言語を選んだほうが、エンジニアのこれまでの知見を役立てられるでしょう。
なお、プロジェクトメンバー全員がどのプログラミング言語も扱えない場合、学習難易度の低い言語を選んだほうが、時間や費用の抑制が期待できます。初めてのiOSアプリ開発では右も左も分からない状況のため、難しい言語だと仕組みを覚えるだけでも時間がかかってしまいます。まずは1つの言語で土台をつくり、一定の知識を得たうえで他の言語も覚えていきましょう。SwiftはApple社が開発した推奨言語であり、直感的な操作ができるため、初めてのiOSアプリ開発に向いているのではないでしょうか。
目的で選ぶ
データ分析に強いPython、Webアプリの挙動が得意なJavaScriptなど、プログラミング言語にはそれぞれ得意分野があります。iOSアプリ開発の言語選びに迷った場合、まずは開発目的を振り返りましょう。ユーザーに届けたい価値や世界観が分かれば、自ずと注力すべき機能も特定されてくるはずです。その機能を実装するのに最適な言語は何か、iOSアプリとの相性なども考慮しながら決めていくと良いでしょう。
技術で選ぶ
プログラミング言語は歴史が長いものほど、フレームワークやライブラリなどの効率化技術が確立されています。仕組みや道具が揃っていれば、経験が浅くてもある程度の品質でアプリを開発可能です。どのようなフレームワークやライブラリが公開されているのかを基準に、プログラミング言語を決めていくのも選択の1つといえるでしょう。
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iOSアプリ開発に必要な環境
iOSアプリ開発に最低限必要なものは、主に4つあります。
- 端末
- インターネット環境
- 開発言語
- 開発ツール
ここでは「端末」と「開発ツール」についてご紹介します。
端末
iOSアプリ開発を行う場合、プログラムを入力するためのパソコンが必要です。iOSアプリ開発であればMacが望ましいですが、Windowsでのアプリ開発も可能です。また、開発後にiOSアプリの動作テストをするためのiPhoneがあるとより良いでしょう。
開発ツール
iOSアプリ開発には、統合開発環境(IDE)を使用します。これはエディタ、コンパイラ、デバッガといった開発に必要なツールを、支援ツールと一緒にまとめたものです。以前は作業ごとに別々のソフトが必要でしたが、現在は統合開発環境(IDE)に集約されています。
iOSアプリ開発ではXcodeを使うケースが多いですが、Windowsで開発する場合はXamarinを使う選択肢もあります。
Xcode
Apple社が提供する開発環境です。特徴的なものとしてInterface Builder(インターフェイスビルダー)があり、テキストやボタンといった要素をドラック&ドロップで配置することで、自動的にコードを追加してくれます。Interface Builder単体でアプリ開発ができるわけではありませんが、このような直感的に扱うためのツールが揃っているのがXcodeの魅力です。
Xamarin
Microsoft社が提供する開発環境です。iOSアプリやAndroidアプリなど、異なるOS向けのアプリを一元的に開発できる特徴があります。ただし、2021年時点においてXamarinでのiOSアプリ開発は途中までしか行えません。最終的にはMacでの作業が必要になるためご注意ください。
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iOSアプリ開発に活用できるフレームワーク
iOSアプリ開発において、フレームワークは統合開発環境(IDE)と同一視されがちですが、厳密には異なります。統合開発環境(IDE)がエディタやコンパイラといった開発ツールの集合体なのに対して、フレームワークは開発工程を効率化するためのものです。一言で表すなら「アプリ開発のひな型」といえるでしょう。フレームワークには基礎的な機能がまとめられていて、それらを組み合わせることで、よりスムーズな開発を進められます。
では、iOSアプリ開発で利用されるフレームワークは何なのか。今回は3つのフレームワークをご紹介します。
SwiftUI
Apple社が開発し、2019年6月に発表された新しいフレームワークです。Swiftで開発されているため、少ない記述数でコーディングが行えます。また、コーディング作業途中でもプレビューで動作を確認できるため、実機やシミュレーターを使う手間が省けるのも大きな魅力といえるでしょう。
React Native
Facebook社(現在はMeta)が開発したフレームワークです。JavaScriptを用いて、iOSアプリとAndroidアプリの両方を開発できます。オープンソースのため、Web上に多くの情報が出回っており、JavaScript利用者には扱いやすいフレームワークといえるでしょう。
Flutter
Google者が開発したフレームワークです。開発効率やコストパフォーマンスが話題を呼んでいるFlutterですが、その特徴はiOSアプリとAndroidアプリを同時リリースできる点にあります。
通常であれば、iOSアプリとAndroidアプリを別々に作る必要があり、2回分の時間と費用がかかります。しかし、Flutterであれば共通のコードで開発が行えるため、iOS/Androidのアプリ開発を一度に進められます。これにより、アプリ開発の期間とコストを削減できるのが大きな魅力といわれています。
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iOSアプリ開発の具体的な手順
iOSアプリ開発には主に5つの工程があります。
1.企画
まずは「どのようなiOSアプリを作るか」という企画からスタートします。iOSアプリのターゲットユーザーを定義し、具体的な利用シーンを想像しながら、アプリのイメージを明確にしていく工程です。
2.設計
企画をもとに、iOSアプリの設計図を作成します。具体的には「必要な画面の一覧」「画面間の遷移図」「各画面のレイアウト案」「入出力などのボタン一覧」「画面操作による発生するアクション定義」などを決めます。現在はさまざまなツールが出回っているため、初心者でも直感的な設計が可能です。また、ツールが使えない場合は、手書きで提出するケースもあります。
3.開発
設計図に合わせて、プログラミング作業を進めていきます。iOSアプリ開発であれば、Swiftは可読性の高いコードで初心者でも扱いやすく、Xcodeではマウス操作で組み合わせていけるため、内製でも開発を行うことは可能でしょう。アプリの開発難易度、エンジニアのスキル、開発期間、開発予算などに応じて、内製・外注を判断しましょう。
4.テスト
開発が完了後はiPhoneを使い、想定通りに動くかどうかを細かくチェックしていきます。
5.公開
iOSアプリが問題なく動作することを確認できたなら、App Storeにアプリを配信しましょう。配信の際はApple Developer Centerで設定を行い、登録を進めていきます。また、リリースにはApple社の審査を通過する必要があります。
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経験ある人材との契約は、iOSアプリ開発でも重要
今回はiOSアプリ開発において、開発言語・開発環境・フレームワークのポイントを中心に解説しました。iOSアプリをインストールするiPhoneの国内シェアは世界的に見ても高く、日本ユーザーにアプローチするうえで欠かせない存在となってきています。
iOSアプリ開発は技術進歩の影響もあって、扱いやすい言語やフレームワークが整っており、初心者でも挑戦しやすい状態になっています。しかし、より良い顧客体験を提供するために一定の品質を求めようとした場合、iOSアプリ開発の経験を持ったエンジニアが必要となるでしょう。
フリーランスITエンジニア専門エージェント「HiPro Tech」では、モバイルアプリエンジニアはもちろん、プロジェクトを統括するPM、要件定義を行うシステムエンジニアなど、iOSアプリ開発を進めるうえでも頼もしいITフリーランサーが数多く活躍しています。
開発言語に関しては、HPでも使用されるJavaやJavaScriptの割合が多いものの、iOSアプリ開発に特化したSwift、Androidアプリ開発の推奨言語であるKotlinなど、今後のニーズ増加が期待できる言語を得意としているエンジニアも活躍中です。
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