バックエンドエンジニアの役割とは? 仕事内容や必要なスキルをご紹介

2024.01.29 更新

バックエンドエンジニアの役割とは? 仕事内容や必要なスキルをご紹介

ITエンジニアと一口に言っても、職種ごとに求められる役割は様々。

今回はバックエンドエンジニアについて解説していきます。

バックエンドエンジニアは、数あるエンジニアのなかでも幅広い役割を担うため、Webサービスやアプリの開発には欠かせない存在と言われています。

本コラムでは、バックエンドエンジニアの役割、必要な知識・スキル、将来性やキャリアパスなどを解説します。

人事部門の人をはじめ、バックエンドエンジニアの基礎知識を知りたい人はぜひご覧ください。

 

 

バックエンドエンジニアの役割とは?

バックエンドとは、サーバサイドやデータベースなど、Webサービスやアプリを使うユーザーの目には見えない部分を指します。

バックエンドエンジニアはその領域を担い、サーバの構築やサーバサイドのプログラム開発、データベースの処理などを担当する技術者のことです。

業務の範囲が広いため、ユーザーから直接見える部分であるフロントエンドや、インフラのことも理解する必要があり、高いスキルが求められます。

 

バックエンドエンジニアの主な仕事内容

バックエンドエンジニアはユーザーには見えない部分を担当するため、仕事内容もなかなか見えにくいものです。

仕事内容は「サーバの構築」「データベースの構築」「システムの開発と運用保守」の大きく3つに分類されます。一つずつ、詳しく見ていきましょう。

 

サーバの構築

まずWebサービスでは、ネットワーク上でデータを提供する側を「サーバ」、Webページにアクセスして閲覧する側を「クライアント」と呼びます。

私たちがWebサイトを閲覧する際は、私たちからの要求に合わせて、サーバからデータファイルが送り返されているという仕組みです。

サーバはユーザーから見えませんが、Webサービスにおいて大切な役割を担っているということは理解していただけたかと思います。

そうしたサーバの設計と構築がバックエンドエンジニアの仕事の一つです。

具体的には、サーバマシン・クラウドコンピューティングといったハードウェアの選定や導入、サーバソフトウェアのインストール、要件定義・設計・構築などです。

バックエンドエンジニアの業務範囲は広いため、この部分をサーバサイドエンジニアやインフラエンジニアが担当するケースもあります。

 

データベースの構築

Webサーバとプログラムがあれば、クライアントの要求通りのものを表示させることができます。

しかしデータが増えるたびにプログラミングを書くのは手間です。

このため、データベースを構築し繰り返し使う情報を入れておくことで、表示させたい際にスムーズに情報を出すことができるようになります。

こうしたアクセスしやすい、利用しやすいデータベースの構築もバックエンドエンジニアの役割の1つです。

また、不正なアクセスを防止するためのセキュリティレベル向上についても、担当する場合があります。

 

システムの開発と運用保守

バックエンドエンジニアのメインの役割と言えるのが、システムの開発と運用です。

これまで紹介した「サーバの構築」と「データベースの構築」は、システムを開発するための準備段階といえるでしょう。

システム開発の際は、たとえばPHPやPython、Javaといったシステム要件に合ったプログラミング言語を用いて、開発を進めていきます。

また、開発をしたら終わりではなく、運用後に開発したプログラムや構築したサーバが安定的に稼働するかを確認し、バグがあれば改善、そのほか仕様の追加・変更する役割も担います。

システムをより使いやすい状態に保っていくのも役割の一つです。

このようにバックエンドエンジニアは、準備段階から開発・運用、システムの管理まで幅広い役割を担うため、Webサービスの開発には欠かせない存在なのです。

 

バックエンドエンジニアはきつい仕事?

バックエンドエンジニアはきつい仕事だというイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

ここでは、何故バックエンドエンジニアがきついというイメージを持たれやすいのかについて、項目ごとに説明します。

 

覚えることが多い

バックエンドエンジニアは、広い業務内容に対応するために、様々な種類のプログラミング言語や、データベースに関する知識など、覚えることが多い点が理由の1つだと言えるでしょう。

バックエンドエンジニアは、サーバーのインフラ整備や、ネットワーク構築、ネットワーク管理など、他のエンジニアが担当する業務も担うことがあります。

また、バックエンドの開発にあたって、バックエンド以外の分野の知識も持っていなければ、速やかな開発は難しいでしょう。

これらのことより、バックエンドの知識に加えて、それ以外の分野の知識も必要となるため、覚えることが多い業種だと言えるでしょう。

 

緊急の対応をしなくてはならない

バックエンドで障害が発生した場合、システムを復旧させるために、バックエンドエンジニアによる緊急対応が必要とされます。

システムは基本的に24時間365日、常に動いている必要があります。

また、システムの導入などはユーザーが使用しない深夜の時間などに行われることが多いです。

このため、システムの導入で生じた問題の対応などで、深夜の時間に緊急対応を要求されることもあるでしょう。

 

人手不足である

バックエンドエンジニアは、現状では、業務に向いている人材がなかなかいないため人手不足だと言われています。

さらに、今後はIT企業以外のあらゆる企業もDXを推進していくため、エンジニアの需要は高まると予測されます。

どのITシステムにおいても、サーバーは必須です。

このように、人手は不足している一方である中、バックエンドエンジニアはより求められる環境になっており、さらに求められる知識やスキルが多く必要です。

最先端の技術を学び続ける労力も大きいものとなっています。このため、人材が育ちにくい傾向だと言えるでしょう。

 

サーバサイドエンジニアとの違い

先ほども出てきた「サーバサイドエンジニア」という職種ですが「バックエンドエンジニアとどう違うの?」と疑問に思われる人も多いでしょう。

実はサーバサイドエンジニアとバックエンドエンジニアは、ほぼ同じ意味で扱われることが多い職種です。

仕事内容としては大きな差はありませんが、サーバサイドエンジニアはサーバ側で動作するシステムの構築・管理を担い、IT領域・Web領域に限らず、広い範囲を指して使われる傾向にあります。

一方、Web開発におけるフロントエンジニアの対であるバックエンドエンジニアは、Web領域でのみ使われる傾向にあります。

 

フロントエンドエンジニアとの違い

バックエンドエンジニアがユーザーの目に見えない部分を開発・構築するのに対し、デザインやUI・UXといったユーザーの目に見える部分を担当するのがフロントエンドエンジニアです。

Webデザイナーが作成したデザインをもとに、どうすればユーザーにとって利便性が高くなるかなどを考えながら、システムの構築やカスタマイズをしています。

バックエンドエンジニアとフロントエンドエンジニアは対になる領域を担当しつつも、密接に関わり合っているため、お互いの領域についても理解している必要があります。

 

バックエンドエンジニアとインフラエンジニアとの違い

インフラエンジニアは基本的にサーバーに関わるシステムの設計や構築、運用を行う業務となっています。

バックエンドエンジニアも、業務の一環でサーバーの処理を担当することもあり、サーバーに関わる職種という点で共通しています。

ただし、バックエンドエンジニアの主な仕事はバックエンドシステムに関わるものであり、サーバーに関わる業務もあったとしても、主とする領域が異なってきます。

このため、行う業務や仕事内容も大きく異なる点で、バックエンドエンジニアとインフラエンジニアは別物だと言えるでしょう。

 

バックエンドで使用されるプログラミング言語での開発スキル

まず必要となるのが、バックエンドで使用されるプログラミングに関する知識、そしてそれを用いた開発スキルです。

バックエンドで使用するプログラミング言語は、たとえばPHP、Java、Python、Ruby、SQLなどがあります。

 

PHP

PHPは、Webサーバで動作するプログラムの開発では欠かせない言語です。

使用や文法が単純で、習得しやすいことがメリットです。

汎用性が高く、Web開発以外にも様々な分野で使われることがある言語として、最低限知っておきたい言語のひとつと言えるでしょう。

 

Java

JavaはWeb開発以外にもスマートフォンアプリや基幹システムの開発など、幅広く活躍されています。

トレンドの技術ではないものの、様々なシステムで使われていることから身に付けておくことでスキルの幅が広げられます。

また、CPUやOSを選ばずに動作させることが可能なことから、Javaを使った開発が行われることもあります。

 

Python

Pythonは、近年AI・データ分析で活用されるイメージが強いですが、Webサービスの開発にも使用される言語です。

実用的で拡張性が高く、簡単な言語仕様のため少ない桁数でソースコードが書ける点がメリットです。

AIやデータ分析で注目が高まっていることから、Pythonに関する求人も増えているため、需要の高い言語のひとつだと言えるでしょう。

 

Ruby

Rubyは、日本のエンジニアが開発した言語で、主にWebサービスの開発に使用されています。

SQLは、データベースを操作する言語です。

読みやすくて書きやすいプログラミング言語であり、用いることで少ないコードで迅速な開発ができることから、スタートアップやベンチャー企業でも多く使われています。

大規模な業務システムや、Webアプリケーションの開発を担当する場合は必要になることがあるでしょう。

Rubyは、日本のエンジニアが開発した言語で、主にWebサービスの開発に使用されています。

SQLは、データベースを操作する言語です。

言語によってそれぞれ習得の難易度は異なりますが、バックエンドエンジニアであれば、いずれかの言語は習得しておく必要があるでしょう。

 

ミドルウェアのスキル

ミドルウェアは、コンピュータを構成する要素の1つ

システムの基本であるOSと、特化した機能を持つアプリケーションの中間にあたるポジションです。

サーバやデータベースの構築の際にミドルウェアを使用するため、バックエンドエンジニアにとって標準的に求められるスキルといえるでしょう。

 

フレームワーク・各種ツールのスキル

フレームワークは、システムやアプリケーションを開発する際に土台として機能するソフトウェアをいいます。

利用頻度の高い機能をまとめて提供するため、開発をスムーズにするメリットがあります。

開発ごとに合ったフレームワークが存在し、CakePHP、Laravel、Ruby on Railsなどはバックエンド開発における代表的なフレームワークです。

またチーム開発が主となるWeb開発では、プロジェクト管理・バージョン管理といったツールを使用するケースも増えているので、習得しておくと良いでしょう。

 

バックエンドエンジニアに向いている人・適性がある人の特徴

 

細かい作業が苦にならない

バックエンドエンジニアの仕事内容は、目立たない部分で支える裏方的な要素も強く、仕事の内容も1人で行う部分が多く、長時間PCと向き合い続ける地道な作業になります。

このため、細かい作業が苦にならない人はバックエンドエンジニアに向いていると言えるでしょう。

 

勉強が得意である

バックエンドエンジニアがシステム構築で関わる部分は幅広く、習得しなければならない技術は多岐に渡ります。このため、常に最新の技術や、新しい知識に触れながら勉強することが必要となります。

専門書を読んだり、勉強をしたりといったことが得意な人、好きな人は適性が高いでしょう。

 

ITに関することが好きである

バックエンドエンジニアはシステムの仕事がほとんどのため、ITに興味が薄いと業務の内容も関心を持てないものが多いでしょう。

また、先述したように、バックエンドエンジニアは勉強や知識が多く求められる分野です。

ITに関することが好きであれば、勉強も身に付けやすく、情報に対するアンテナも高くなり、自然と知識を吸収できることでしょう。

 

コミュニケーション能力が高い

バックエンドエンジニアは外部システムと連携することや、どのようなものを作るかといった設計を担うことが多いです。

そこで、他の技術者やクライアントとコミュニケーションが重要になります。

連携が必要とされる作業の中で、高いコミュニケーション能力を持つ人はバックエンドエンジニアとして活躍できるでしょう。

 

バックエンドエンジニアには未経験からなれる?

何度もお伝えしている通り、バックエンドエンジニアは業務範囲が広いという特徴があります。

このため未経験の人が挑戦するには、ハードルが高いといっても良いでしょう。

しかし、徐々に知識を身につけ、バックエンドエンジニアを目指すことは可能です。

 

バックエンドエンジニアになるためのロードマップ

バックエンドエンジニアになるには、大きく3つのステップを経ていきます。

まずはバックエンドで用いるプログラミング言語の習得です。

前章で解説した通り、PHP、Java、Pythonなどが挙げられます。

言語の習得には、独学のほかスクールに通うという手段があります。

次に実務を通して詳細設計書に書かれているものを実装できるようにしていきます。

実装経験を積んでいくことで、システム全体が理解できるようになり、徐々にバックエンドエンジニアとして1人前に成長できます。

 

バックエンドエンジニアは将来なくなる?

Web・IT業界は今後もさらなる盛り上がりが予想される一方で、大幅なIT人材不足が懸念されています。

それはバックエンドエンジニアも同様です。

開発の現場で幅広い役割を担うバックエンドエンジニアは、今後も引き続き高い需要が見込まれると考えられます。

 

キャリアパスをどう考える?

高い需要が続いていくと予想されるため、他のエンジニアにキャリアチェンジするのではなく、バックエンドエンジニアとして市場価値を高めていくというキャリアパスを選ぶことが一般的と考えられます。

では市場価値を高めるには、どのように自己研鑽していけば良いのでしょうか。

 

プログラミングスキルを高める

対応できる案件の幅を広げることは、バックエンドエンジニアとしての成長、ひいては市場価値を高めていくことになるでしょう。

プログラミング言語も最初は1つや2つ習得していれば問題ありませんが、自分が習得していない言語を積極的に学ぶことで、役割を増やしていけるはずです。

現在はAIやデータ分析の勢いが増しているので、その分野で使用されるPythonはぜひ身につけておきたい言語です。

 

サーバ仮想化に関する知識をつける

サーバの仮想化はコストの削減やサーバ余剰リソースの有効活用を可能にするなどメリットがあります。

現在はサーバ仮想化の流れがあるため、バックエンドエンジニアであれば知っておきたい知識です。

 

クラウドに関するスキルをつける

また現在はクラウドが普及しており、ネットワークやサーバを組み立てるという手順をこれまでのようにやらなくてすむケースも増えてきました。

その分、クラウド利用に関する知識を求められる可能性が高まっています。

AWS、Azure、GCPなどがクラウドサービスのなかで有名なので、これらを利用できるスキルを持っていれば、バックエンドエンジニアとして有利になるでしょう。

 

フロントエンドに関する知識をつける

バックエンド周りの構築・開発の役割を担うのがバックエンドエンジニアですが、フロントエンドエンジニアと連携を取ることが多い傾向にあります。

このため、HTML、CSS、JavaScriptといったフロントエンドエンジニアに必須な知識を習得していれば、さらなるキャリアアップを目指せるでしょう。

 

バッグエンジニア

バックエンドエンジニアの見つけ方

本コラムでは、バックエンドエンジニアの役割、必要な知識・スキル、バックエンドエンジニアになるためのロードマップ、将来性とキャリアパスについて紹介してきました。

先述の通り、バックエンドエンジニアは役割が広いため、未経験から挑戦するのは少々ハードルが高く、1人前になるまでには時間がかかると考えられます。

このため、もし「社内のバックエンドエンジニアが急に退職してしまった」「大規模なプロジェクトをすることになったため、バックエンドエンジニアが足りなくなった」という状況に陥った場合、すぐに社内のリソースで解決するというのは難しいかもしれません。

重要な役割を担っているバックエンドエンジニアだからこそ、人事担当の人や情報システム部門の管理者の人は、エンジニアの育成を計画的に進めるなど、対策を練っておくのが望ましいでしょう。

その一方で、現在は働き方の多様化が進んできたこともあり、副業を検討するエンジニアやフリーランスとして働く人材も増えてきています。

「研修・育成体制を整える余裕がない」「特定のプロジェクトでのみバックエンドエンジニアを増員したい」といった希望がある場合は、フリーランスエンジニアのスポット活用を検討するのもおすすめです。

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執筆監修者

記事監修

野村 鉄平

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

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