【かかりすぎ?】アプリ開発のコストカット手法3選!相場から具体的な費用削減ポイントまで解説

スマートフォンの普及率が上がり、2021年に86.8%(※1)まで達した現在では、アプリの利用範囲は着実に広がっています。カメラ、動画・ライブ配信、ゲーム、マッチング、AIと、今やリリースされるスマホアプリの種類も多種多様です。 近年ではテレワークやクラウドサービスの浸透によって、ビジネスシーンでもアプリ利用がより身近になりました。アプリストアのランキング上位にビジネスアプリが入ることも、デベロッパー(開発者)の欄にSIer以外の企業名が記載されていることも珍しくありません。技術進歩で開発費用的にも手が出しやすくなった分、アプリ開発に着手する企業も増えています。
- 既存システムとの連携
- ファイルの共有・管理
- PCやスマホのデバイス連携
- コミュニケーションの活発化
- 特定業務(会議など)のオンライン完結
ビジネスアプリが持つこれらの機能は、業務を効率化していくうえでも非常に重要であり、アプリ1つで業務プロセスが大きく改善されることも十分あり得るでしょう。
しかし、利便性が高い反面できることも多いため、あれもこれもと欲張ってしまうと、気づけば「アプリの開発費用や維持費用が想定以上にかかっている」状態になりがちです。本コラムを読まれているあなたも、「アプリ開発にかかる費用の抑え方が分からない」「費用を削減するための優先順位が付けられない」といった悩みを抱えていませんか?
本コラムを通じて「アプリ開発の費用相場」「ありがちな失敗例」「開発費用を抑えるポイント」を理解し、アプリ開発の費用を抑えながら、効率的にアプリ開発を進め、アプリ品質を高めていきましょう。
※1 出典:令和2年 通信利用動向調査 (総務省)
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アプリ開発の費用相場
アプリ開発の費用削減を考えるには、まずアプリ開発の相場を知ることが重要です。アプリ開発の相場を把握していない場合、「過剰請求されても気づかない」「費用の割にアプリの品質が悪い」といった出来事も起こり得るでしょう。
逆にある程度のアプリ開発の相場が分かれば、アプリ開発費用が適正かを見極めることができます。
比較ビズを運営する株式会社ワンズマインドが2019年12月に公開しているデータ によると、アプリ開発費用の平均的な相場は「約200万円~300万円の価格帯」 とされています。とはいえ、アプリの開発段階で追加する機能の種類や個数、複雑度合いなどによってアプリの開発難易度が変わるため、難易度が上がるほどアプリの開発費用は増えていきます。全く同じジャンルのアプリでも、その内容によっては開発費用が大きく異なるケースもあり得るでしょう。
アプリ開発におけるジャンル別の費用相場は、以下の通りです。

文字情報系アプリでは、メモ帳などの文章作成アプリをはじめ、パンフレット・冊子をデジタル化する電子カタログなどが含まれます。機能としてはシンプルなものが多いため、デザイン性やユーザビリティの観点でアプリ開発の費用が50万円~200万円ほどの幅を持っています。
機能限定系アプリは、計算機や世界時計、QRスキャナーなど、1つの機能に特化したアプリを指します。
店舗サービス系アプリは、集客や販促を目的に利用されることが多く、スタンプカード、クーポン、プッシュ通知、顧客管理といった機能が主にアプリ開発段階で実装されています。近年ではWebブラウザやメールよりもアプリで確認するユーザーが増えているため、メルマガに代わる新しい顧客関係構築の手段として注目されています。
SNS系アプリは、組織内で円滑に情報のやり取りを行うためのコミュニケーション/チャットアプリが該当します。アカウント発行数やコミュニケーションのスポット数を任意に調整できることに加えて、コミュニケーション手法の選定、ファイル共有機能の有無、スケジュール連携など、機能面で幅広い選択肢をもちます。また、サーバーやセキュリティといった観点も配慮する必要があるため、アプリ開発の費用も200万円~1200万円と大きな差があります。
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アプリ開発でありがちな失敗例
アプリ開発で費用が膨れ上がってしまう要因としては、主に3つあります。
- 手当たり次第に機能をアプリに追加してしまう
- 特に理由もなくスクラッチ開発を選んでしまう
- 運用、保守にかかる費用が想定されていない
実は3つのポイントは、すべてアプリ開発において工数のかかる選択であり、工数がかかれば必然的に開発費用は膨れ上がります。特に「手当たり次第に機能をアプリに追加してしまう」「特に理由もなくスクラッチ開発を選んでしまう」に関しては、例え薦められたとしても、必要性を検討し、改めて見積もりを依頼することも考慮したほうが開発費用の削減につながりやすいでしょう。
アプリ開発費用の算出方法
では、アプリの機能追加やスクラッチ開発でなぜアプリ開発の費用が上乗せされるのか。この理由について説明していきます。
そもそもアプリ開発費用の内訳は、人件費と固定費です 。人件費はエンジニアの作業コストであり、人数、作業単価、作業時間によって開発費用が決まります。中でもエンジニアの作業単価については、機能の構築難易度に応じて単価が上がります。
これはアプリ開発の世界で「人月単価」と呼ばれるもので、難しい機能追加ができる開発エンジニアは希少なため、相応の作業単価が求められているのです。そのため、機能の数が増えたり、スクラッチ開発で構築の難易度が上がると、エンジニアの質を上げる必要があり、それに伴って開発費用が増えるかたちになっています。
固定費に関しては、「運用、保守にかかる費用が想定されていない」につながる部分もありますが、機材や設備といった人件費以外の費用を指します。主な費用としては、ドメイン取得費用、サーバー維持費用、テスト費用、広告費用、各アプリストアの登録費用などがあります。アプリストアはOSごと(iOS・Android)にアプリの設置場所が異なるため、それぞれ費用がかかります。
アプリ開発エンジニアの作業単価が上がる背景
2021年に経済産業省が公表した調査結果では、デジタル人材の給与水準は年々高まっています。システムエンジニアが年収500万円~700万円、ネットワークエンジニアが年収450万円~700万円、ITコンサルタントが年収800万円以上 (※2)と、通常よりも高い金額設定をする傾向にあるようです。
※2 出典:我が国におけるIT人材の動向 (経済産業省)
2019年の試算結果から、デジタル人材は今後ますます不足していくとされているため、アプリ開発エンジニアの作業単価も増加傾向にあるといえるでしょう。アプリ開発の費用を極力抑えようと思えば、アプリ開発エンジニアの人数を減らす工夫も検討する余地がありそうです。

機能別のアプリ開発工数
アプリ開発では搭載する機能によって、必要なスキルレベルや作業時間が異なります。アプリ開発エンジニアに求められるスキルや作業時間が異なれば、開発費用にも影響が出てくるので注意が必要です。ビジネスアプリの開発では、主に以下の機能を追加するケースが多いです。
- 会員登録
- 通知
- 検索
- メッセージ
会員登録(アカウント発行)
SNS系アプリ(コミュニケーション/チャットアプリ)では1人あたり1アカウントを持つことになるため、従業員の人数分のアカウント発行が必要になります。とはいえ、アカウントに同時ログインできるようなアプリであれば、少ないアカウント数で済むため、開発費用を抑えるためには発行に必要な最低数を押さえておくといいでしょう。
通知
新着メッセージの受信、予定のリマインド、ユーザーが資料を更新したタイミングなどの特定アクションが行われた際、スマートフォンにポップアップで内容を表示する機能です。アプリを開いていないユーザーにも情報を送れるため利便性が高く、多くのアプリで追加されることが多い機能といわれています。
検索
情報を探し当てたり、候補の絞り込みが必要な場合に追加されます。SNS系アプリ(コミュニケーション/チャットアプリ)など、ファイル共有を利用するアプリで追加されることが多い機能です。GPS(地図情報)連動などの特殊な検索機能を追加すると、その分だけ開発費用がかかります。
メッセージ
社内外の人間と連絡を取り合う場合に追加する機能です。ファイル送付時に強制的にパスワードをかけたり、特定文言の入力や情報のコピペをブロックするなど、制限を加えることで開発費用が上乗せされます。
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アプリ開発の費用を抑えるポイント
人件費+固定費=開発費となるアプリ開発において、「開発費用を抑えつつ、アプリ品質を高める」には再掲する以下の失敗例を踏まえ、自社の判断要素や開発体制を改善していく必要があります。
- 手当たり次第に機能をアプリに追加してしまう
- 特に理由もなくスクラッチ開発を選んでしまう
- 運用・保守にかかる費用が想定されていない
そのための具体的な手法として、3つのポイントをご紹介します。
アプリ開発を外部ベンダーに丸投げしない
外注に頼るほど、開発費用は膨れ上がってしまいます。内側の細かな動作などは別ですが、必要な機能を厳選したり、アプリのデザインを内製するなどは、社内でも取り組みやすい部分です。
社内にアプリ開発エンジニアが所属している場合は、プロジェクトチームを編成するという考え方もあります。エンジニアのスキルや経験にもよりますが、要件定義、プログラミング、テスト運用、メンテナンスなど、任せられる領域は積極的に巻き取りましょう。エンジニアの経験値によっては、プロジェクトリーダーのポジションを任せ、自社でフリーランスのエンジニアと契約してアプリ開発を進める選択肢も生まれるでしょう。
相見積もりを取る
外部ベンダーにアプリ開発を依頼する際、必ず複数の開発業者から見積もりを取るようにしましょう。アプリで実現したいビジョン、全体の構想、実装する機能がまとまっていたとしても、そのアイデアを実現するアプリ開発エンジニアがいなければ話は進みません。
何よりアプリ開発エンジニアの作業単価は開発業者によって異なる場合があるため、複数の開発業者から見積もりを取ることは有効です。とはいえ、開発業者とのコネクションがなかったり、特定の開発業者としか付き合いがない企業にとっては、アプリの開発業者を探すこと自体が難しいかもしれません。そんな場合は斡旋サービスや一括見積の利用を検討してみるのも良いでしょう。
パッケージ開発を検討する
パッケージ開発はひな型を活用するため、スクラッチ開発よりもアプリ開発の費用を抑えることが可能です。パッケージ開発でも一定のカスタマイズはできるため、特別な機能を実装したいといった強いこだわりがなければ、パッケージでのアプリ開発を検討してみるのも一手です。
アプリをブラウザ版で開発する
先述した固定費には、デバイスによってストア費用が発生します。iPhoneであればApp Store、AndroidであればGoogle Playに登録する費用がかかるため、社用携帯がどちらかの端末に統一されていない場合、単純計算でコストが2倍になります。
少しでもアプリ開発の費用を抑えたいのであれば、Webブラウザ上で使用できるアプリに変更することで、ストア費用を削減することができます。ただし、プッシュ通知をはじめとしたスマホアプリ特有の機能が使えないため、必要な機能を厳選したうえで検討することをお勧めします。
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アプリ開発で注意すべきポイント
アプリ開発で費用を抑えつつ、アプリ品質をきちんと管理できれば、次回のアプリ開発時に経験が活かせるだけでなく、余った予算で新しい施策を考えたり、追加でアプリ開発を検討したり、別部門にもアドバイスできるようになるなど、行動の範囲が広がります。何より開発結果に対する自信を得られるでしょう。
しかし、アプリ開発における費用と品質の両立は、誰でも簡単にできるというわけではありません。ロードマップの策定やアプリ機能における専門的な判断など、求められる要素はいくつもあります。
ここではアプリ開発を円滑に進め、開発費用の削減とアプリ品質の管理を徹底していくうえで重要なポイントを3つご紹介します。
経営層との連携を強化する
アプリの機能を厳選する、開発方法を変える、新メンバーをアサインするといった改善をどれだけ行っても、経営層の理解が得られなければ、必要な予算を調達することは難しいでしょう。アプリ開発プロジェクトを途中で打ち切られないためにも、目的や背景、メリットを明確化したうえで、経営層と連携を強化していくことが大切です。
アプリで解決すべき課題を整理する
アプリ開発で必要な機能を絞っていくうえで、まずはアプリを活用する部署・部門で起こっている課題を調べ、解決する優先順位をつけていきましょう。アプリ開発の費用がオーバーしている場合は、優先順位に沿って機能を削ぎ落していき、開発費用を抑えます。社内の知見不足によって適切な判断ができない場合は、アプリ開発の知識が豊富な外部人材の意見を取り入れる選択肢も検討してみてください。
プロジェクトメンバーが共通認識を持つ
アプリ開発で目指す世界観(ビジョン)、生まれる変化、判断基準、費用対効果などは、プロジェクトリーダーや経営層だけでなく、メンバーにも共有しましょう。アプリ開発プロジェクトに関わるすべての人間が、共通の意識を同じレベルで持つことで、メンバーが自発的に動きはじめます。それはアイデア創出を活発にすることにもつながり、アプリ開発プロジェクトの期間中でも柔軟に改善を施していけるようになります。
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アプリ開発プロジェクトを円滑に進めるために
今回は「アプリ開発の費用相場」「ありがちな失敗例」「開発費用を抑えるポイント」をご紹介しました。テレワークやクラウドサービスの普及によって、ビジネスアプリのニーズは今後も高まっていくでしょう。ビジネスアプリを上手に使いこなすには、開発の段階で与える変化を明確にし、必要な機能を整理したうえで、開発方法を決めていくことが重要です。
特にアプリ開発で費用を削減していくには、どれほどの開発業務を内製できるかがキーポイントになります。しかし、デジタル人材の雇用にはすでに多くの企業が乗り出しており、給与水準が他の職種と比べて上がっています。また、日本ではベンダー企業にデジタル人材が集中しており、ユーザー企業での採用難易度が非常に高い状態です。

採用競争が激化する現在において、アプリ開発エンジニアの雇用は費用も膨大になってしまうため、「必要なときに、必要人数のアプリ開発エンジニアを確保する」という考え方を検討する企業も出てきています。その際は外部人材の活用も選択肢に入ってくるでしょう。近年ではベンダー企業に所属していなくとも、個人でアプリを自作するエンジニアも出てきており、ベンダー企業に開発を依頼する以外でアプリを作ることもできる時代になっています。
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