高度IT人材を活用する方法は?活用するポイントや採用が困難な理由も紹介

2024.01.29 更新

高度IT人材を活用する方法は?活用するポイントや採用が困難な理由も紹介

日本のIT人材不足は深刻で、経済産業省の「IT人材需要に関する調査」によると、2030年には最大約79万人のIT人材が不足するという結果が出ています。

中でも高度IT人材といわれる各分野でのスペシャリストの育成は急務であると考えられています。

ここでは、今後必要とされる高度IT人材を活用したい企業に向けて、その概要や採用のポイント、高度IT人材の活用方法などについて解説します。

高度IT人材とは?

高度IT人材とは、企業における各種課題をITにより解決し、企業のビジネス戦略に基づいた最適なシステムを設計できる人材を指します。

もちろん、そうした課題解決やシステム設計を実現できる高度なスキルを持ち合わせた人材も同様です。

高度IT人材は「基本戦略系」「ソリューション系」「クリエーション系」に分類されます。

それぞれについて詳細を解説します。

基本戦略系

各種課題をITによって課題解決するための基本戦略を立案し、経営における付加価値を創造します。

ビジネスモデル戦略について、新たなビジョンを描く能力が必要とされます。

基本戦略系の具体的な職種は次のとおりです。

  • ストラテジスト:ビジネスにおける課題解決のためのソリューションやITを活用した経営戦略を提案します。

ソリューション系

情報システムの設計、開発、または汎用製品の組み合わせにより、信頼性・生産性の高いシステムを構築します。

また、システムの運用・保守も担当します。

プロジェクトマネジメント能力やコミュニケーション能力が求められます。

ソリューション系の具体的な職種は次のとおりです。

  • システムアーキテクト:IT戦略を実現するためのアーキテクチャを設計します。
  • サービスマネージャ:システムの安定稼働を実現します。トラブル発生時には速やかに復旧対応を行うことで安全性、信頼性を担保します。
  • プロジェクトマネージャ:プロジェクトの立案、計画、リソース管理などシステム開発における全責任を担います。
  • テクニカルスペシャリスト:設計されたアーキテクチャを最適な方法で実現します。

クリエーション系

ITの価値を最大限に利用して、新たな価値を生み出します

ITに関する知見を幅広く求められます。

クリエーション系の具体的な職種は次のとおりです。

  • クリエータ・開発者:新しいプログラミング言語や技術要素を開発します。

上記にあげた三つの分類には含まれませんが、IT研修など人材育成を行うエデュケーターも高度IT人材に含まれます。

高度IT人材の採用が難しい理由

高度IT人材の採用が難しいのは次のような理由によるものです。

人材が不足している

まず考えられるのは、エンジニアの絶対数が圧倒的に少ないということです。

冒頭でも述べたように、IT人材の不足は年々深刻化しています。

高度IT人材ともなると、余計にその数は限られるでしょう。

IT人材に求められる知識やスキルはますます高度になっており、求めるスキルを持ち合わせる人材を採用するのは極めて困難です。

結果、採用に妥協が生じ、求める人材像とは異なる人材を採用してしまい、ミスマッチが発生するということが起こりえます。

はじめから求めるIT人材を採用するというよりも、未経験や経験の浅いエンジニアを採用して社内で育成するというのも一つの方法でしょう。

優秀な人材は流動性が低い

優秀な人材ほど、一つの案件への参画期間が長い傾向にあります。

優秀であるということは、企業側も高待遇で採用していることが多いためです。

エンジニアの重要性を認識している企業ほど、優秀なエンジニアは高待遇にする等、離れないよう工夫をするでしょう。

転職の方法は、紹介によるものが多いことも考えられます。

そのため、転職市場への優秀なエンジニアの流動性が低いと考えられます。

優秀なエンジニアを採用するには、他社と差別化できるほどの待遇を用意する必要があると言えるかもしれません。

報酬面だけでなく、福利厚生や働き方に訴求することを考える必要もあるでしょう。

スキルの見極めが難しい

大手企業であるほど、採用担当者が人事専門で、エンジニアとしてのキャリアが乏しいことや ITに関する知識が希薄なことが多々あります。

システム開発に対する知見が乏しく、人柄だけで採用に踏み切ることも少なくないでしょう。

採用担当者と現場担当者との間で、求める人物像を明確に共有できていないことが原因です。

例えば、現場ではコミュニケーション能力よりも技術力を重視したいのにもかかわらず、採用担当者はコミュニケーション能力の高さで採用してしまう、という具合です。

こうしたギャップを埋めるためにも、採用面接には、人事担当者のみならず現場責任者などに同席してもらうことが望ましいでしょう。

経営層からの理解が得られない

例えば、候補者は高待遇を求め、採用側も待遇に見合うだけのスキルを持っていると判断したとします。

しかし、経営層が待遇の正当性を理解できず、内定に至らないというケースもあるかもしれません。

報酬面で折り合いがついたとしても、福利厚生や働き方などで他社と差別化を行うことができず内定辞退に至ってしまう場合もあるでしょう。

経営層に対しては、優秀なエンジニアを採用することの重要性と難しさを理解してもらうために、根気よく説得し続けることも必要でしょう。

高度ITエンジニアを採用するために必要なこと

高度ITエンジニアを採用するために必要なこと

高度IT人材を採用するためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。

ペルソナを明確にする

ペルソナとは求める人物像のことです。

できるだけ具体的に設定しておくことが大切です。

必要なスキルはもちろん、経験や人間性、就いてもらうポジションなどを明確にしましょう。

ペルソナは、実際に配属される現場の担当者とも認識を共有しましょう。

ペルソナを決めず、なんとなく募集をかけて採用活動を行うと、妥協やミスマッチの原因につながります。

求める人材を採用するために、ペルソナを明確にしましょう。

募集の幅を広げる

採用活動の際は、募集条件に幅を持たせましょう。

募集条件を厳しくしすぎると、人が集まりにくくなるためです。

例えば「経験5年以上」などの制限をかけてしまうと、たとえ優秀な人材だとしても、経験3年の人材は遠慮して応募してこなくなります。

経験年数が必ずしも優秀さに直結するとは限らないため、今までの実績やポートフォリオなども加味できるよう、条件は緩和することも一つの方法です。

場合によっては、即戦力だけでなく未経験者を採用するなどして社内で育成するという考え方もあります。

待遇を良くする

当然のことですが、待遇は重要視されます。

報酬や各種手当、福利厚生など、採用したい人材が優秀であると判断すれば、可能な限り高待遇で迎え入れる体制を整えることをおすすめします。

待遇に見合った働きを行ってくれると考えれば、必要な投資です。

報酬面だけでなく、働き方についても他社と差別化することが大切です。

フレックスタイムやリモートワークの導入なども視野に入れましょう。

スキルを判断できるようにする

採用にあたっては、履歴書や職務経歴書を用いると思いますが、合わせてポートフォリオなどの提出も求めると良いでしょう。

現場の担当者にポートフォリオを見てもらうことで、おおよその技術力が判断できると思います。

プログラミングスキルチェックなどのITスキルが判断できるサービスなどを活用しても、応募者のスキルレベルを判断することができるでしょう。

高度IT人材を活用する方法

高度IT人材を活用するためには、次のような方法も効果的です。

海外の人材を採用する

日本では、労働人口が減少していく傾向にあります。

IT人材においては、その傾向はより顕著に表れています。

そうした中で、外国人の採用に目を向けている企業もあります。

国としても、海外の優秀な人材には出入国管理上の優遇措置を設け、国内への流入を促すよう講じています(高度IT人材ポイント制 )。

海外人材の採用も選択肢の一つとして考えてよいでしょう。

リファラル採用を行う

リファラル採用とは、社員の友人や知人を紹介してもらう採用方法です。

あらかじめ社員から企業風土などを説明してもらっておくことで、入社後のミスマッチを防ぎやすいというメリットがあります。

紹介により入社にいたった場合は、報奨金を支給するなどの制度を設ければ、モチベーションアップにも繋がり、優秀な人材が流入してくれる可能性が高くなるでしょう。

外部人材を活用する

フリーランスなどの外部人材を活用するという方法も考えられます。

派遣社員やフリーランスを活用するメリットは、必要なときに必要な期間だけ契約することができるという点です。

例えば、システム開発の中でも特に人手が必要なのは、製造や単体テストの工程である傾向にありますが、その期間 だけ人を集めるということを行えます。

また、高度IT人材のようなハイスキルな人材は、フリーランスに多いことも考えられます。

ハイスキルな人材を正社員として採用するのではなく、プロジェクトによって必要な人材をスポットで契約するのは有効な手法です。

まとめ

高度IT人材とは、従来のIT人材のように、システムの請負開発を行うだけでなく、ビジネス上の課題解決やそうしたソリューションを実現できるシステムの設計、構築などを担う人材のことを指します。

高度IT人材は、今後の情報システムの進化において非常に重要性が高いといえますが、人材の数でいうと不足しており、その傾向はより加速していく傾向にあります。

高度IT人材を活用するためには、さまざまな方法が考えられますが、中でもフリーランスなどの外部人材の活用がおすすめです。

外部人材であれば、必要なときに必要な期間だけ活躍してもらうことができます。

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執筆監修者

記事監修

野村 鉄平

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

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