コラム


エンジニアのポテンシャル採用のメリットやデメリットとは?

2021年06月18日
エンジニア採用

「ポテンシャル採用という言葉自体は知っているが、詳細を聞かれると上手く答えられない」

「エンジニアのポテンシャル採用に取り組みたいが、社内にノウハウがなく不安」

そのような思いを抱える方に紹介したいのが、本コラムです。

少子高齢化が進み、若手人材の確保が喫緊の社会課題となる中、 ポテンシャル採用を導入し、20代の若手人材を積極的に採用する企業が増えています。

本コラムでは、採用競争が激化するIT業界に絞り、 以下のポイントについて、順を追って解説します。

 

大手も行っているエンジニアのポテンシャル採用とは

エンジニアのポテンシャル採用の特徴について、以下三つの観点に沿って説明します。

 

将来性に重点を置いた採用

企業の中途採用は、ポテンシャル採用キャリア採用の二つに分かれます。

ポテンシャル採用は、実務経験や保有スキルの高さや有無ではなく、将来性や潜在能力を重視した採用手法を指すため、経験が浅い、または未経験でも採用されることが、キャリア採用との大きな違いです。

つまり、ポテンシャル採用では、「今後の成長の可能性」が、一方のキャリア採用では、「即戦力としての活躍の可能性」が判断基準となります。

社会人経験2~3年を経て、「IT業界の方が自分は向いているのでは」といった興味段階でも、採用されるチャンスが広がっていることから、若手求職者にとって、ポテンシャル採用のニーズは拡大しています。

新卒者が3年以内に離職する割合は32.8%(*)との厚生労働省のデータもあり、転職市場には、ポテンシャル採用を望む多くの若手人材がいると考えていいでしょう。

出典:「新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)」(厚生労働省)

 

何歳までが対象内なのか

「第二新卒」と呼ばれるのは、入社3年未満で25歳以下となることから、エンジニアにおけるポテンシャル採用の主な下限年齢は、「第二新卒」期間を終えた20代中盤であるといわれています。

30代以降でもポテンシャル採用の応募を受け付けている企業もありますが、一般的に30歳を超えての転職は、経験やスキル重視するキャリア採用の対象と考えられているため、 ポテンシャル採用の年齢対象は、25歳~29歳が一つの目安になります。

 

新卒一括採用との違い

昨今のIT人材の不足に伴い、人材獲得競争が激化する中、中途採用でのポテンシャル採用が一般化しつつあります。

新卒採用もポテンシャル採用の一種ではありますが、大きな違いとして、社会人としての就業経験を持つポテンシャル人材は、新卒よりも早期に独り立ちすることが期待されています。

 

ポテンシャル採用の反対はなんて言う?

ポテンシャル採用の反対は「キャリア採用」「プロフェッショナル採用」と呼ばれます。

「キャリア採用」「プロフェッショナル採用」は即戦力採用のことです。

主に経験年数3年以上の経験者を採用することを指すことが多いです。

「キャリア採用」「プロフェッショナル採用」は即戦力で働けるため、研修などでカバーせずにすぐに働いてもらえるのがメリットでしょう。

 

ポテンシャル採用・中途採用・新卒採用の違い

ポテンシャル採用は、中途採用・新卒採用とどのように違うのでしょうか?

 

○ポテンシャル採用

ポテンシャル採用は、不定期または通年採用で募集します。

採用基準は社会人歴が浅く転職経験のない20代であること、職業経験も不問としていることが多いです。

 

○中途採用

中途採用は不定期に募集します。

採用基準は「即戦力を持っている者」あるいは「第二新卒者」であることです。

中途採用は欠員補充や人員増強を目的とします。

新卒採用と異なり研修時間とコストを抑えられます。

 

○新卒採用(高卒・大卒)

新卒採用は年に1〜2度程度の募集です。

採用基準は高校・大学卒業見込みであるか、高校・大学卒業後3年以内であることです。

新卒採用は組織の活性化のために行います。

新卒採用は研修のために時間とコストがかかるのが特徴です。

 

なぜエンジニアのポテンシャル採用が注目されているのか

なぜエンジニアのポテンシャル採用が注目されているのでしょうか。

「若手社員の不足」「求人倍率の上昇」「IT人材の不足」の、三つの観点から解説します。

 

若手社員の不足

少子高齢化で若手労働人口が減少していることもあり、若手人材の獲得競争は年々厳しさを増しています。

また、不況時に新卒採用を控えていたなどの影響により、20代の若手人材だけ不足している、という企業も少なくありません。

組織の年齢バランスが偏ったまま、何の対策もなしに事業運営を続けた場合、将来的に深刻な人材不足が発生する恐れもあります。

こうした組織上の年齢構成の偏りを解消するために、期待されているのがポテンシャル採用であり、若手人材を確保する現実的なソリューションであるといえます。

 

求人倍率の上昇

2021年4月の転職求人倍率をまとめた「doda 転職求人倍率レポート」によると、 IT・通信の業種別 転職求人倍率は5.72(前月比0.14プラス)、 技術系(IT・通信)の職種別 転職求人倍率は8.34(前月比0.32プラス) と新型コロナウイルス禍において、いずれも回復基調にあり、依然と高い数値を保っています。

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新型コロナウイルスの流行が収まれば、今後、IT系の有効求人倍率が、急上昇する可能性が十分にあります。

優秀な若手IT人材の獲得は「争奪戦」になると想定し、中途採用に限らず、ポテンシャル採用も視野に入れた採用方針を早めに立てておくのが賢明でしょう。

出典:「doda 転職求人倍率レポート」(パーソルキャリア株式会社)

 

IT人材の不足

経済産業省のデータでは、2020年時点でIT人材は約30万人不足しており、2030年には最大で約79万人不足するとの見込みを示しています。

IT人材の不足は、長期的な社会問題へと発展する可能性が高く、IT人材のキャリア採用が、今後より一層厳しくなることも、ポテンシャル採用に注目が集まる理由の一つです。

出典:「IT人材需給に関する調査」(経済産業省)

 

中途採用でエンジニアをポテンシャル採用するメリット・デメリット

メリット

○初期段階の育成の手間を省ける

ポテンシャル人材の多くは社会人経験があり、言葉遣いやメールのやりとりなど、最低限のビジネススキルが既に身に付いています。

新卒採用と比較し、初期段階の教育コストがかからないのは、大きなメリットです。

 

○若手社員を増やすことができる

業界・職種経験が浅い分、若手社員は「常識にとらわれずに柔軟な思考ができる」という強みがあります。

こうした若手社員の増員は、組織の活性化をもたらし、新しいアイデアが生まれやすい職場環境の構築にもつながるでしょう。

 

○多様な人材を取り入れることができる

ポテンシャル採用では、多様なバックグラウンドを持つ人材が集います。

他業界・他職種経験者の斬新なアイデアを取り入れることで、多様性のある組織が作られていく点は、新卒一括採用にはないメリットだといえるでしょう。

 

○自社の方針に沿わせやすい

ポテンシャル人材の想定年齢は20代と若く、前職企業での在籍年数の短さから、他社の企業文化に染まっていない側面があるといえます。

そのため、ポテンシャル採用は、自社の方針に沿わせて育成しやすいというメリットがあります。

 

デメリット

○結果が出るまでに時間がかかる

スキルや経験のある中途人材と異なり、育成を前提としていることから、独り立ちまでにはある程度の時間を要します。

ポテンシャルが発揮され、期待した成果につながるまで、長い目で育成していく必要があるでしょう。

 

○前職の経験が懸念点になる 可能性がある

前職で培った経験や仕事の進め方に強いこだわりがある場合、過去のやり方に固執し、転職後の業務がスムーズに進まないことがあります。

新しい職場にすぐに馴染めそうな方か、面接を通して適性を見分けることも大切です。

 

○ポテンシャルが発揮されない可能性がある

経験・スキルではなく、「今後の成長の可能性」を判断基準とするポテンシャル採用では、場合によっては当初に見込んでいたポテンシャルが発揮されないことも考えられます。

事前に育成にかかる時間 とコストを見積ることをおすすめします。

 

ポテンシャル採用を導入した企業におけるよくある事例

20代をポテンシャル採用する

新卒一括採用をなくして、30歳以下であれば誰でも応募できるポテンシャル採用を導入しています。

選考時期は通年採用とし、新卒の入社でなくとも、新卒研修を受けられます。

新卒というセグメントに限定せず、多くの方にリーチでき、母集団を形成できます。

 

ポテンシャル採用で失敗しないための方法

ポテンシャル採用で失敗しないためにはどのようにすべきでしょうか?ここから具体的に見ていきます。

 

社内でのポテンシャルの認識共有

自社が求める人材を社内で明確化することが必要です。

求める人材が「ロジカルである」「リーダーシップがある」といったように言語化し、共有することが求められます。

求める人材を明確化しない場合、人材のミスマッチが起こるでしょう。

 

自社にあった求人方法を選ぶ

昨今、若手のエンジニアは人材不足となっています。

企業間で人材獲得競争は激化しており、必要な人材を得るのは簡単ではありません。

採用方法にはさまざまな方法がありますが、従来のやり方では通用しない場合があります。

若手のエンジニアはITツールで就職先を探すため、インターネット上の就職情報を充実させる必要があるでしょう。

また、SNSなども活用して、自社の魅力をアピールすることも重要です。

自社に合った求人方法を上手く活用することで、コストを抑えながらポテンシャル採用で成功できるでしょう。

 

エンジニア採用におけるポテンシャルの見極め方

エンジニア採用におけるポテンシャルのよくある見極め方を紹介します。

しかしこれらはあくまで一例であり、企業によって大きく異なります。

 

素直な性格であるかどうか

先輩社員や上司からの指摘や助言を、「素直に聞き入れることができるかどうか」は、人物特性を見極める上で重要な視点の一つです。

素直な気持ちを持ち合わせていないと、せっかくのアドバイスも役立たず、成長の阻害要因になる恐れがあります。

 

主体的に学ぶ姿勢をもっているかどうか

専門スキルが求められるエンジニアの場合、入社以降、継続的かつ積極的な自己学習が求められます。

高い成長意欲を持ち、主体的に学ぶ姿勢があるかどうかも、将来の活躍を図る指標となるでしょう。

 

論理的な思考力があるかどうか

自己学習や担当業務におけるPDCAの遂行には、「論理的な思考力」が必要不可欠です 。

未体験の業務であっても成果をあげることができる方には共通して、論理的に物事を考えるのが得意という特徴があります。

 

ストレス耐性を持っているかどうか

ストレス耐性が高い人は、一般的に早期退職のリスクが低いといわれています。

ストレス社会といわれる現代で優秀な人材を採用するためには、ストレス耐性のチェックも検討事項に入れておくといいでしょう。

 

自社との適正がある方どうか

「苦労して採用した若手が、社風を理由にすぐに辞めてしまう」 、そのような状況を防ぐためには、本人の志向性と社風がマッチしているか、 既存社員との相性はどうか、面接時に確認しておくことが得策です。

 

明確な将来像を描いているかどうか

こちらも採用時には欠かせない判断軸の一つです。

なぜなら、入社後のキ ャリアビジョンが明確であり、その実現をサポートできる職場環境が整っている分、求職者のポテンシャルは開花しやすく、長期就業が期待できるからです。

 

ポテンシャル採用の後の人材育成

入社後研修を早めに行う

自社の雰囲気に早く馴染んでもらい、前職業務との親和性を身に付けてもらうためには、入社後研修を早めに行うのが大切です。

ポテンシャル人材は社会人経験があるため、当然ながら、新卒社員とは異なる研修内容を予め用意する必要があります。

専門スキルを習得できる研修を軸に、ブラザーやメンターといったサポート体制も整えることで、「この環境ならじっくりスキルを磨けそうだ」といった安心感が芽生え、早期離職の防止にも役立ちます。

 

主体性を伸ばしていく

教えるだけでは、ポテンシャルは開花しません。

なぜなら、エンジニア自ら学び、最先端のスキルを習得していくことが、日進月歩のIIT業界では必要不可欠だからです。

このため、若手人材の成長を温かく見守る、育成方針の確立も必要となるでしょう。

失敗を責めずチャレンジを推奨する環境を作り、主体性を持った社員を育成すれば、 課題解決のために率先して動く社員が増えていき、組織強化や事業成長にもつながります。

 

時間をかけてアプローチする

前述の通り、ポテンシャルの開花にはある程度の時間を要することから、独り立ちまでの期間を想定し、研修の機会やOJTを用意することが大切です。

無理なスケジュールは禁物です。じっくりと時間をかけてエンジニアを育成し、ポテンシャル人材の可能性を開花させましょう。

 

ポテンシャル採用は難しい?

ポテンシャル採用は、キャリア採用と異なり、将来性に重点を置いた採用であることです。

また、IT人材の不足が長期的に見込まれていることから、現在、ポテンシャル採用に注目が集まっている点などについて、本コラムを通してお伝えしました。

「ポテンシャル採用の理解は深まったから、早速、自社で推進したい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

ただし、最後にご認識いただきたいのは、前述の通り、優秀な若手IT人材の獲得は、今後も「争奪戦」が想定されているということです。

IT業界経験者の中途採用に限らず、ポテンシャル採用も視野に入れた採用計画を立てることは効果的ではありますが、実際に、期待通りの人材を獲得できるかどうかは未知数です。

また、優秀な人材を見抜くスキルを養うのは、簡単なことではありません。非常に難しい事なのです。

 

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フリーランスITエンジニア専門エージェント「HiPro Tech(旧i-common tech)」では、さまざまな分野のスキルを有するITフリーランサーが活躍しているため、 ポテンシャル採用のように時間と手間をかけた人材育成は不要です。

また、スキルのあるエンジニアを必要な期間とタイミングで活用できるため、採用コストの削減にも効果を発揮します。

フリーランスは中長期的なエンジニアの育成には不向きですが、即欲しいスキルを持った人材と出会うことがメリットです。

必要なプロジェクトによってアサインする形で活用されるのが一般的です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

記事監修
パーソルキャリア株式会社 HiPro Techサービス責任者
荒井 雅人

株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)入社後、 人材紹介事業部にてキャリアアドバイザーおよびリクルーティングアドバイザーを歴任。

その後、経営顧問人材による経営支援サービスのi-common(現:HiPro Biz)立ち上げを行い、2020年よりフリーランスITエンジニア専門エージェント事業のi-common tech(現:HiPro Tech)サービス責任者に着任。

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