質問の仕方がわからない・質問できない新人エンジニア、どう改善していくべきか?

2024.01.29 更新

質問の仕方がわからない・質問できない新人エンジニア、どう改善していくべきか?

新人エンジニアを育てるうえで、どう業務を教えるべきか迷ったり、抽象的な質問をされた時に回答に困った経験はありませんか?

その悩みは、「質問しやすい環境づくり」や、新人エンジニアの「質問力向上」によって解消されるかもしれません。

このコラムでは、「質問が苦手」と感じている新人エンジニアの心理や、その心理に対する具体的なアプローチについて解説していきます。  

 

エンジニアがなぜ質問できないのか

まずは、質問に苦手意識を持つエンジニアの心理について、一例を紹介します。

・質問のタイミングがわからない

教育者側(先輩や上司)が忙しそうにしているため、「自分の質問で時間を取っては申し訳ない」と過剰に遠慮しているパターンです。

・質問の仕方がわからない

そもそも「何が分からないかもわからない」ために、うまく自分の考えや不明点を言語化できないパターンです。

・上司に対して委縮してしまっている

質問をした後に、「どうしてこんなことも分からないのか」と叱られることを恐れているパターンです。

・なんでも自分でやろうとしてしまう

強い責任感や、できない自分を認めたくないという気持ちから、「周りを頼るのは恥ずかしいこと」と思い込んでしまっているパターンです。

◇新人の質問をためらわせる環境・デメリット

新人エンジニアをこうした心理に追いやってしまう要因のひとつに、「教育環境」が影響しているケースがあります。

たとえば職場で以下のようなことが起きていませんか?

・研修もほとんど出来ていない状態で即戦力として現場に送り出す

・自主性を育てようと、新人エンジニア側から話しかけてくるのを待つ

・人手不足で、新人エンジニアとコミュニケーションを取る時間を割けていない

こうした事態になると、新人エンジニアは周りを頼ることをためらってしまい、自分だけですべてを解決しようとなる傾向にあります。

1人で解決しようと試みること自体は悪いことではありませんが、経験が浅いエンジニアが自分だけで課題を解決することは難しく、結果として悩みを抱え込んでしまったり、やる気や自信の低下といった事態にもつながりかねません。気づかないうちに教育の放任となっていないか、注意が必要です。

失敗を恐れるZ世代

さらに、新人の心理に対するもうひとつの背景として、新人エンジニアたちの生まれた世代、すなわち「Z世代」ならではの仕事に対する考え方が表れているといえます。

その証拠が、株式会社日本能率協会マネジメントセンターが2019~2020年に実施したアンケート調査「イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査2020」のデータです。

【意識と行動②】失敗はしたくないし、他人からの評価も気になる

引用元:https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0012-imadoki.html

このデータからは、教わる立場の「Z世代」の失敗や評価に対する考え方が、教える立場に多い「ミレニアル~氷河期世代」と比較した際に大きく異なることが分かります。

上記から、新人エンジニアが質問できない背景には、「本当は質問したい」「周りを頼りたい」という気持ちが根底にありつつも、質問することによるリスクを恐れていることが読み解けるのではないでしょうか。

教育者側にとっても、この点を留意し「質問しやすい環境づくり」を整えることが、結果として新人エンジニアの成長促進につながると言えるのです。

新人エンジニアが質問しやすいための環境づくり

上記を踏まえて、新人エンジニアがより質問しやすい環境にするためのアプローチを、いくつかご紹介します。

教育者の仕事量にゆとりをもたせる

教育者の業務に余裕がないと、どうしても新人エンジニアに対して向き合える時間が少なくなったり、向き合うことを後回しにしてしまいます。

そうなると「忙しそうだから声をかけられない」と新人エンジニアが質問をためらってしまったり、質問に対しておざなりな回答となってしまい教育者への信頼を損ねてしまうことにもなりかねません。

教育者が現場業務も兼任している場合、調節はなかなか難しいところもあるでしょうが、新人エンジニアに対する教育を充実させ、いち早く戦力になってもらうことを考えると、結果としてメリットにつながります。

数カ月は普段の業務を他の人と分担することも検討しながら、教育者がムリなく新人エンジニアに向き合える環境を整えましょう。

コミュニケーションの頻度を増やす

教育者側から、新人エンジニアに対して積極的に声をかけることも、アプローチのひとつです。

仮に新人エンジニアからの質問が上がってこなくても、こまめに「大丈夫?わからないところはない?」と声をかけることによって、新人エンジニアは「いつでも分からないことを聞いてもいいんだ」と安心し、いざという時にためらわず質問を投げかけられるようになります。

教育のカリキュラムを見直す

新人エンジニアと、取り組んでいる課題のレベルが釣り合っていない場合、より「何がわからないのかわからない」といった状況に陥りやすくなります。

とくにこのケースは、新人教育の仕組みが確立されていない、比較的設立年数の若い企業によく見受けられます。外部研修を利用したり、他社ではどのように育てているのか情報を収集しながらカリキュラムを整えることによって、新人にとっても不明点をより自覚しやすくなります。

レクリエーションなどで距離を詰める

新人エンジニアとの関係性構築も、質問しやすい環境づくりにはオススメです。新人にとっては、教育者との時間を共有することでわだかまりが解け、おのずと質問を投げかける障壁が下がります。

丸投げをするエンジニアに対してのアプローチ

丸投げをするエンジニアに対してのアプローチ

「質問ができない」新人エンジニアへの接し方に悩む一方で、「質問を丸投げする」エンジニアの対応に困っている教育担当の方もいるのではないでしょうか。

たとえば、課題に直面した際、「これはどう進めたらいいですか?」と回答者側に判断をゆだねる質問だったり、都度「次は何をしたらよいかわかりません」と抽象的な質問を投げかけられるケースです。

下記からは、質問を丸投げする新人エンジニアの心理と、どうアプローチをすればよいかをご紹介していきます。

エンジニアの心理

新人エンジニアが抽象的な質問を投げかける背景としては、大きく分けて2種類あります。

・そもそも何がわからないのかが分かっていない

教えられたことに対して、文字通りには理解したものの、その意図や背景まではくみ取れていないパターンです。この場合、実践で不明点が出たとき「なぜそうなったか」がうまく言語化できないがために、抽象的な質問になりやすくなります。

・自分で解決しようとする気がない

「自分で調べるより、分かる人に聞いた方が早い」と考えていたり、「質問は少なからず相手の時間を取ること」という認識が薄いパターンです。この場合、課題解決力を身に着けることは後回しで、その場しのぎでの課題解決を求めている時に陥りがちとなります。

丸投げの質問に対する返答

丸投げの質問が来たときに、有効的なアプローチ例をご紹介します。

・すぐに答えを言わない

問いに対しての答えだけを教えてしまうと、自分で答えを導く力がなかなか育ちません。「あなたはどう考えているの?」と問いかけながら、エンジニア自身が「そもそも何につまづいているのか」を導きだしていくことで、自分で考えるクセが身につくようになります。

・一緒になって考える

新人エンジニアに幾度となく考えさせてみても結論が出ないときは、解決するためのアプローチ方法を一緒に考えてみることも効果的です。直接答えを伝えるのではなく、「自分ならこんなアクションを取って、答えを導いてみるかな」と教えることで、自分で考え解決するための足掛かりをつくることができます。

エンジニアの質問力を伸ばすためには

その場しのぎの対応ではなく、根本的にエンジニアの丸投げ質問を脱却させたい場合、すなわち「質問力」を伸ばすには、どのようにアプローチすればよいのでしょうか。

その答えとしては、やはり「まずは自分で考えさせる」ことがカギとなってくるでしょう。曲がりなりにも自分なりで考えて導いた答えは、正誤を問わず、次の課題を解決する糧となることは間違いありません。

では、具体的に何を考えさせれば、より「質問力」を伸ばせるようになるのでしょうか。新人エンジニアに考えさせたい項目を、いくつか挙げてみます。

・「質問する目的」を考えさせる

丸投げの質問をする裏には、「この質問の解答によって何を解決したいのか」という目的を見失っているケースが見受けられます。抽象的な質問を投げかけられた際には、「なぜこの質問をしたのか」を問いかけてみましょう。

・「どうすれば相手に伝わりやすいのか」を考えさせる

質問が抽象的だったり、とりとめがなくダラダラと質問された場合、回答にも困るケースがあります。新人には「結論(何に悩んでいるのか)と背景(どうしてそうなったのか)」を軸に質問することで、教える側もよりよい回答が返せる」ことを伝えたうえで、質問前に「どう問いかけると伝わりやすいか」を考えてもらいましょう。

・「タイミング」を考えさせる

教える側も、つきっきりで新人を教える余裕はなかなかないでしょう。とくに最優先の対応事をこなしている場合にダイレクトに質問をなげかけられると、困ってしまう場合もあるかと思います。

そこで質問前に「今、少しお時間大丈夫でしょうか?」と確認してもらうようにしたり教育者側の予定をあらかじめ共有しましょう。新人が声をかけるタイミングを察知できる力を身に付けることが出来ます。

・「最終的な答え」を考えさせる

そもそも課題解決の正解は、1つではありません。しかし質問した本人は課題に対して、絶対的な正解を導きたい(ミスをした時の責任を負いたくない)がために、丸投げの質問を投げかけている可能性があります。

教える側にとっても致命的なミスを犯しそうな場合は軌道修正する必要がありますが、そうでない場合は「ミスを恐れなくてもよい」ことを伝えたうえで、自分で答えを考えてもらう癖付けをしてもらいましょう。

まとめ

新人エンジニアを育てることで重要なポイントは、

・質問が苦手な新人エンジニアは、共通して「失敗へのリスクを恐れている」

・質問をためらう新人エンジニアには、「教育者側のゆとり」と「コミュニケーションの頻度」と「関係性構築」が大切

・丸投げの質問を脱却させるには、「自分で考えさせる」ことが大切

となります。

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執筆監修者

記事監修

野村 鉄平

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

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